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やっぱり

どのくらい疲れているかという疲れ自慢をするつもりはないのだが、今のわたしは、もうこれは限界まできたよ、という話をするしかない。

今日はムスメの入学式で、なんとか起き上がって用意して出かけた。お天気が良かったのがせめてもの救いだった。受付で、ムスメが小学校からずっと仲のいいSちゃんが同じクラスだと知り、それも嬉しかった。

式は30分で終わったが、別室に移されて「PTAの係選びの儀」が行われると知ったときから「あ〜、これはダメなやつやん…」と憂鬱だった。先生が一生懸命説明しても、暖簾に腕押し状態で、とにかくみんなは目をそらして黙っている。わたしはこの沈黙に耐えられないのだ。先生が苦しげに言う「これが決まらないと、お子さんたちのいるHRには移動できないんですよ…」それでもみんなは黙っている。

この沈黙に耐えらえず、PTAの役員や係を何回も経験してきたので、わたしは知っている。たいした仕事内容ではない。年に何回かちょっと面倒な作業や、出席しないといけない会合がある。世の中がPTAは必要ないと言うのもわかるが、不要のものでもないと思う。この微妙さ。やってもいいよと言いたいが、今のわたしには体力に自信がないし、仕事も忙しい。実家のこともある。

後ろの席にいた、Sちゃんのママが質問をした。「何人必要ですか?」先生が答える「何人でもいいんです」なんだこのアバウトさは。だから誰も手を挙げないんだよ。わたしはチラッと振り返った。「やりますか」と彼女が言った。あなたがやるならわたしもやりますよ、というテレパシーを受け取って、わたしは小さく頷いた。二人で「はい」と手を挙げた。
教室中から拍手が起こった。いや、拍手を送るのはこちら側だよ。みなさんお見事だ。よく耐えた。わたしは耐えられなかったよ。Sちゃんのママもきっと耐えられなかったのだ。彼女は福祉の仕事をしている。誰もがやりたがらない仕事も、いいですよ、と引き受けるタイプの人だ。今朝、学校にむかいながら、「中学では3年間PTAやってきたから、もう高校では絶対にしない」とわたしに言っていたのに、やはり。

家に帰るとひどく疲れていたのか、懇々と眠ってしまった。夕方の歯医者の予約に遅れそうになって、慌てて出かけた。帰り道にスーパーに寄って、夕食の買い物をしていたとき、「くら寿司に行くよ」とLINEに届いていたのに気づかなかった。スーパーのレジで気づいて電話した時にはもう遅かった。

電話口でオットが静かに怒っていた。これは長引く。家に帰るとムスメも不機嫌だ。慌てて夕食の支度をしたが、二人は無言で食べている。これはPTAの話など持ち出しにくい。「寿司食べ損ねたな」とムスメにオットが呟いた。ムスメは「別にいい、晩ごはん食べれたし」と一蹴。

そのあとも、オットはずっと不機嫌。このしんどさに上乗せするストレス。身体中がピリピリと痺れるような痛み、奥歯が浮いたような感じ、まぶたが重くて目が開けられない。あちこちに蕁麻疹が出ている。友人が、病院に行け、病院に行け、と毎日連絡をしてくる。ありがたい。明日こそ、行けたらいいな。



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