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スタートアップ経営と組織

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スタートアップ企業に長く勤務した経験をもとに組織人事や経営についてよもやま書いています。
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記事一覧

【059】スタートアップ企業の採用ブランディングではずせない2つのポイント

【059】スタートアップ企業の採用ブランディングではずせない2つのポイント

企業の採用において、優秀な人材を惹きつけ、企業文化を築くための採用ブランディングという戦略が一般的になってきました。

採用ブランディングとは、簡単に言うと企業の特徴や強みを明確にし、独自のアイデンティティを築くことで、適切な人材にメッセージを届け続けるプロセスのことです。このアプローチにより、企業は自らの魅力を正確に伝え、ターゲットとする人材を惹きつけることができます。

採用ブランディングの一

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【055】スタートアップに3回訪れる採用モテ期と落とし穴

【055】スタートアップに3回訪れる採用モテ期と落とし穴

自身のスタートアップ経験および人事・エージェント経験から学んだことですが、採用が難しいと言われるスタートアップ企業にも、特定のターゲットを惹きつけるフェロモンが出るモテ期が3回あるように思います。

そのタイミングをキャッチして適切に対応すれば、身の丈以上の優秀人材を採用することも可能ですし、逆に対応を誤ればミスマッチ採用という負債を抱えるリスクにもなります。

今回はその3回のモテ期について、モ

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【056】スタートアップのひとり目人事の役割と採用タイミング

【056】スタートアップのひとり目人事の役割と採用タイミング

スタートアップ企業の経営者によく聞かれるのが「ひとり目の専任人事はいつ採用するべきか?」という質問です。
ちなみに、ChatGPTに尋ねても「その時期は、業界や競合環境、企業の戦略や成長スピードによって異なります」というような一般論しか返してくれないので(ある意味正しいけれど、何も答えてくれていない)、ここでは「ひとり目人事の採用」に関する個人的な学びを主観も織り込みながらまとめてみました。

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【017】採用の原則「迷ったら採らない」の結果、超・同質性の高い組織になってしまうリスク

【017】採用の原則「迷ったら採らない」の結果、超・同質性の高い組織になってしまうリスク

採用の大原則で「迷ったら採らない」という掟がありますが、諸刃の剣だと感じることがあるので、書き出してみます。

スタートアップの初期には、事業のスピードが大事なのでコミュニケーションコストがかからない組織が理想的です。「あうんの呼吸」が通じるチームで、高速運転するのはとても気持ちがいいです。そんな局面では、採用ミスを最小限に抑えるためにも「迷ったら採らない」で、ほぼ間違いない。

でも、創業初期の

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【049】採用失敗の原因は面接官にある?正しい採用スキルで求人応募者数を増やす方法

【049】採用失敗の原因は面接官にある?正しい採用スキルで求人応募者数を増やす方法

採用面接に臨む人向けのハウツー本やネット情報では、候補者の見極め方を中心とした、質問の問い方やチェックすべきポイントなどがフォーカスされることが多いですが、面接官の聞くスキルについての重要さが語られることはなかなかありません。

個人的には、相手の能力や考えを引き出すためには、見極める能力と同じくらい、面接する側の聞く能力が重要だと思っています。

単に相手の話を聞いているだけでも、その人の人柄や

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【023】「社長は宇宙人」とよくいわれるけれど?

【023】「社長は宇宙人」とよくいわれるけれど?

世の中には、言動が理解を超えていたり、突飛なひらめきで行動しているように見える経営者が一定数いるらしく「社長は宇宙人だから」なんて言葉をよく耳にします。

自分の経験から、宇宙人系社長と呼ばれる背景をこんなふうに考えています。
(1)思考レベルや、発想の進化のスピードが猛烈に早い
(2)思考の背景を社員に共有しようとしない

宇宙人は情報を吸収して熟考するスピードが高速で、結果として出てくる意思決

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【048】エンジニアの習性に学ぶ:採用するなら自分より能力の高い人

【048】エンジニアの習性に学ぶ:採用するなら自分より能力の高い人

採用においては、「自分よりも優れた人材を採用するべきである」とよく言われます。これは当然のことで、既存メンバーよりも能力の高い人を雇用し続けなければ、組織がその総合力を高めることができないからです。

でも”採用あるある”なのが、採用責任を持つハイアリングマネージャが自分の組織内のポジションが下がることを恐れて、自らの上位互換になる優秀人材を採用したがらない、という現象です。

そんな、お山の大将

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【035】スタートアップ企業はその未熟さこそが人を惹きつける強みになる

【035】スタートアップ企業はその未熟さこそが人を惹きつける強みになる

私が新卒の春に入社したベンチャー企業の社長面接での忘れられない思い出です。

社長は当時私より5歳上の27歳。創立2年目でまだ社員は10人も居ないという、乃木坂のマンションのワンフロアで展開している広告系のベンチャー企業でした。

私が「御社のビジョンを教えてください」と就活マニュアルに出てきそうな定番質問をした時のことです。

私「御社のビジョンを教えてください」
社長「あー、ビジョンね、ビジョ

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【046】社員株主の視点から見た株主総会 オーナーシップを持って働くことの面白さ

【046】社員株主の視点から見た株主総会 オーナーシップを持って働くことの面白さ

先日、自分が働いていた古巣でありかつ投資先の一つでもあるサイバーエージェントの株主総会に参加してきました。

サイバーエージェントがマザーズに上場した後の2002年、同社に入社した際に、私はわずかばかりのストックオプションをもらいました。すでに上場した後のストックオプション付与だったうえに、ITバブルが弾けた後のネット不況期…内心は経済的な価値は期待できないだろうなというのが本音でしたが…それでも

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【043】社員が腹落ちするまで社長に説明を求めることが会社の成長を阻害する

【043】社員が腹落ちするまで社長に説明を求めることが会社の成長を阻害する

あるスタートアップ企業の社長から聞いた話です。

”社長の直感による判断を(社員が)納得できるまで言語化して欲しい”という要望に応えることに苦労していると。

以前書いた「『社長は宇宙人』とよく言われるけれど」でも似たようなことを書きました。私は社長の脳内には、社員には到底理解できないサンドボックスのような領域が存在するのは当然であると考えています。

社長が事業や経営について費やしている時間と、

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【042】スタートアップの採用で役職アサインはNG?採用に役職を結びつけると起こる3つのリスク

【042】スタートアップの採用で役職アサインはNG?採用に役職を結びつけると起こる3つのリスク

スタートアップ企業の採用で”あるある”なのが、優秀な人材を引き抜きたいけれど現職以上の年収を約束できない場合に、CXOや執行役員などの役職を抱き合わせにして採用しようとすることです。

これはリスクが高くてメリットが少ないのでやめた方がよいという話です。私の経験的には確信に近いレベルのものです。

具体的なリスクとしては、少なくとも三つはあげられます。
(1)役職を武器にした採用を続けることによる

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【029】ブラック企業かどうかは、他人が決めるものではなく、自分が決めるもの

【029】ブラック企業かどうかは、他人が決めるものではなく、自分が決めるもの

これは個人的な昔ばなしです。

労働基準法がもっとゆるかった時代の、”当時は合法の”ワーカホリックな個人体験も含んでいるので、よいこは真似しないでください。

私は大学を卒業してから、社員数が10人ほどのベンチャー企業に入社しました。30年前、”ベンチャー企業”という単語が市民権を得る前の時代のことです。

大学4年時は地元(青森)の地方銀行に早期に内定をもらっていたので、東京のラスト一年はアルバ

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