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商業出版する方法#54〜SNS時代の「本の売り方」について元KADOKAWAの編集者が「これだな」と思うことをシェアします。

元KADOKAWAのビジネス・実用書出版コンサルタントの渡邉です。


まず初めに告知です。
1)関わった本が続々重版中!
3月〜4月にかけて、私が携わらせていただいた本が続々重版されています。
まずは、渡邉の出版のコンサルティングから著者になられたクライアント様の御本。

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アマゾンのご購入はこちらから→https://amzn.to/3fOZpzY
女性向けの美容やリラクサロンのエキスパートであり、経営コンサルタントとしてご活躍の岩山ひろみさんの御本です。発売して1ヶ月以内ですが、重版となりました。いわゆる「ビジネス書・実用書」であり「目的買い」のジャンルではありますが、やはりこのビジネスジャンルは根強く課題意識を持っている読者や顧客層が多いようで(みんな稼ぎたいのに稼げない)、そうした”ファン”に支えられての重版ですね。

引き続き、クライアントの著者さんの御本(画像クリックでAmazonへとびます)

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元サントリーで「金麦」などのブランドマネジャーとして活躍され、現在は主に女性向けの起業家・経営者・個人ビジネス者に向けて「ブランディング」「マーケティング」を教えていらっしゃる村本彩さんの本。
出版でもそうですが、「先にブランディングを考える方が、ほんとうまくいくでしょう」って思います。
ビジネス上のブランディングが立っていないのに、出版ではうまくいかないです。なんてったって、差別化とオリジナリティ、ポジションが見つけづらいですからね。
お金を稼ぐ方法・やり方、も大事だけどそれ以上にブランディングこそが、ビジネスの全てだと渡邉は考えます。

こちらは、KADOKAWA時代に手がけ、文庫化として再度プロデュースを行い三笠書房の文庫で出されている本です。この度5刷がかかりました!(画像クリックでAmazonへ飛びます)

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Amazonだけではなく、リアル書店でもしっかり販売がなされている文庫版です。ノート開発・販売で日本で一番有名なコクヨ全面協力のもと、制作させてもらいました。
この時コクヨのスタッフのみなさま、編集に協力いただいた外部スタッフの方、本当に感謝の念でいっぱいです。こうしてリニューアルしても、引き続き売れていくのはとても嬉しく思います!

本を売るために必要なのは、決して出版社の営業力・・・だけではないと思います。頑張って作って営業して、棚とったり、平積みしたりワゴン販売しても・・・売れ行きが芳しくなければ、あっという間に書店からは姿を消します。それくらい、「売る現場」は非常にシビアです。

よく発売1週間が大事!と言われることがあります。「初速の状況」ってやつです。発売後1週間の購買の様子・動きをみて、営業部では今後の販促や営業の方針、ひいては重版の準備をするかどうかを判断します。

本当に申し訳ないし、何度も繰り返すようですが、最近は本屋さんに並べられているから・ネット書店で売り出しているから、だけで本は売れなくなりました。
その証として、そもそも「本屋さん」というのが、減少傾向にあることはリアルに否めません。売る「場」がそもそも減っていっているのですから、そりゃあ、新刊の認知は当然下がります。

出版業界の責任もありますが、いっぽうでどう足掻いても揺るがない事実があります。
それが「SNS」の台頭です。
みんな情報をとるために、本屋へはいかないのです。もっといえば、紙の媒体に頼らない。
何をまず見るのか、活用するのか。

紛れもない。スマホです。
SNSです。
ネットです。

ここなんです。本を読んだり雑誌や新聞で情報をとるのが「第一ステップ」ではなくなりました。
まずは「スマホ」。まずは「ネット」なんです。

むろん、高齢者の方達はスマホやネットを使い慣れていません。だから紙の媒体に頼らざるところは得ない。
でも昭和や平成初期のようにスマホが出てくる前と違って、今や紙の媒体で一次情報を受け取る人は減少傾向にあることは否めない。

みんな本が出たこと、自分に必要な本が出ている!と知る場所も「SNS」「ネット」なんです。

だから渡邉は声を大にするのです。

SNSを味方につけるといいよ!と。

コロナ禍で、易々と人をたくさん集めてセミナーすることもできません。その意味でも「オンラインを武器にする」ことはすでに常識となりました。オンラインが信じられない、だの、ネットは難しい!とか言ってた人でも「活用が必然」となり、嫌否でもそのスキルは身につけてしまった。
そして「リモートワーク」は主流となっています。

この流れの中だからこそ、本も同じことがいえます。新刊の情報を「新聞で知る」人はやはり減少傾向です。新聞だって発行部数が減ってきていますからね。
ということで、やっぱりSNS・ネットが第一なんですよね。

3)本の販促もネットでやるのが当たり前の時代
実際、重版した上から2冊の本は著者さんの方でもSNSを駆使して、読者やファンを集客したり、イベント企画も立ち上げたりすることで、新刊認知の拡散に繋げていった結果の重版です。

現在では「Facebookで出版応援のグループページ」を作って、そこで一緒に出版の記念的に開催するイベントを盛り上げたり、クラウドファンティングも活用しながらの「巻き込み型販促」が新たな”本の売り方”の王道にとって変わっています。
実際、SNSを活用した販促を行っている著者と行わない著者とでは、やはり売れ行きのスピードには差があることは否めない。

だからこそ、SNSでのファン作り、は真摯に行っておく方が特に個人で本を出そうと思った場合は有効なのです。

ちなみに『コクヨの結果を出すノート術』においては、SNSでの販促活動を活発には行っていません。いわゆる「企画力」で勝負して売れています。

ただ、すでに賢い方はお分かりかと思いますが、なんと言っても「コクヨ」という会社の知名度の高さ、「ノート開発・販売」というビジネスの浸透力・その歴史と実績が半端ない!ってこと、あとはコクヨの社員がどうノートを活用しているのか、を「覗き見できる」という好奇心が満たされるといった心理的な部分をカバーしています。
担当編集としてはっきり言いますが、まさにこれは「狙って」出した本であり企画です。
「みんな読みたいだろーな」「興味あるだろーな〜」というシンプルな点を、完璧に追求し、そんな企画にコクヨさんものってくれた!から、結果がついてきたわけです。
実際コクヨさんに企画の話をしにいった時は、大いに乗り気!というよりは「あー、そうですか。じゃあまあ、やってみますか・・・」という淡々としたノリでした。むしろコクヨさんとしては、こっちのテーマを本にしたかったようです。

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まあこの本も重版はかかっていますが、やっぱりノート術の本ほどではありません。
お分かりでしょう。著者のがわが「出したい!」というのは、残念ながら「みんなが知りたい」「読みたい」とは一致しないことの方が多いのです。

ということで、知名度が高い場合の方が本を売る、という時点に至っては圧倒的に有利です。
でも、誰もがコクヨのように知名度が高いわけではありません。だからその知名度を作っていくのにも、商業出版を目指すビジネスパーソンはSNS・ネットが必要なのです。
コクヨほどの歴史や伝統、知名度の高さがなくても、知名度や認知をある程度まで向上することができるからです。それも無料や格安でできたりするでしょ?
そこが狙いなんですよね。

ということで、本を書く・出す、だけではなく「売る」を視野にしれて出版を考え、「仕込み」を行わないと本当の意味で「成功できる出版」には至らない。
ぜひ真の意味で成功する出版の道を歩いて欲しいと思います。

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