テニミュ青学10代目卒業によせて


 2020年5月31日、本来ならばわたしは横浜のぴあアリーナMMにいて、青学10代目の、そして3rdシーズン全てのキャストの卒業を祝っていたはずだった。

 本来青学が何代目表記になるのは卒業後であり、今回、まだ卒業だと思っていないので現青学と書きたいところだが、便宜上10代目と表記させていただきたい。

 わたしはテニミュが好きだ。とはいっても、3rdシーズンも半ばの関東立海公演で初めてテニミュを観て、その後比嘉公演、ドリームライブ2018を経て青学9代目の卒業を見届けると同時に大学受験により劇場に足を運べなくなって、その後全国立海前編で出戻った、にわかもにわかである。

 ところで、わたしは青学9代目が大好きだった。正直、関東立海も立海のほうが歌上手いとこもあった。でも、あのキラキラとした、綺麗な輝きは青9だけのものだと思っていた。卒業公演である比嘉公演では、飛躍的に技術が上がっていて。あの熱の入った演技に泣かされもした。
 歌の平均点は70点くらいだったけど(もちろん上手い子もいた)、ユニゾンになると120点になる。そんな青9が好きだった。
 特に1番好きなのは不二先輩。なんというか、可憐。動きも綺麗で、わたしはあの不二先輩の高音の出し方が好きだ。
 キャストが並んだときのバランス感も良かった。身長や体格、顔立ち。そういう先天的なところの釣り合いが取れていたように思う。

 

 と、こういうふうに大好きで大好きでたまらなかった9代目が卒業して、リョーマ役の阿久津仁愛くんだけが続投で、あたらしく青学は10代目になった。



 先程も述べた通り、わたしは当時高校3年生。国公立大学を目指す受験生であったわたしは、5月末、なんとか頼み込んで青学9代目の卒業であったDREAMLIVE2018に行かせてもらい、その後舞台から離れた。
 だから、青学10代目を知らなかった。あえて目に入れないようにしていたのかもしれない。テニミュの曲を聴くときも、9代目がいたテニミュの曲を聴くようにしていた。新しいキャストのTwitterもフォローしなかった。


 つまりは9代目に囚われていて、新青学を受け入れられなかったのだ。


 そしてついにわたしが新青学と対面する日がやってきた。

 無事に受験を終え大学生になった夏、わたしは久しぶりのメルパルクホールに足を運んだ。
 物販も大して買わなかった。パンフレットと、リョーマと、あと立海の何人かのブロマイド。それだけ。

 結果から言うと、わたしは相変わらずずっと9代目に囚われ続けていた。

 幕が開けて現れたのは、知っているリョーマを囲む知らない青学。知らない青学と対峙しているのはよく知っているあの夏の会った立海。全然違う歌声、動き。全然違うビジュアル。
 舞台のうえにはしらない青学がいた。特につらかったのは、わたしが9代目で大好きだった不二先輩。なんか違うのだ。体格も、顔も、声も、動きも。別人だから当然なんだけど。

 そして季節は巡り、年末。ガラガラの御堂筋線に乗り、寒いなか、結局またメルパルクホールへ向かった。
 この試合、9代目で見たかったな、とか、他校は1シーズンひとつだから集大成に関われていいな、とか、そんなことを思っていた。

 でも、わたしは泣かされてしまったのだ。受け入れらていない、いや、キャストの卒業・交代を受け止められていないままここまできてしまったわたしは、それでも青学10代目のみせてくれた青学の姿に泣かされてしまったのだ。

 この10代目の卒業公演の千秋楽は2月16日、そしてその後Thank-you Festival2020という3rdシーズンの振り返りイベントが3/1まであった。そこまではギリギリ、やり遂げることができていた。

 中止になったのは、DREAM LIVEだけだった。

 

 DREAM LIVEは特別だ。わたしは自分の好きだった青学をちゃんとドリライで追い出せた。卒業のドリライは別格だ。普段の劇場の何倍も大きなステージで、最後の輝く姿を見られる、最高の場なのだ。
 しかも今回はもっと特別。3rdシーズン全部の集大成で、3rdシーズンとのお別れのパーティーになるはずだったのだ。

 3rdを彩ったさまざまな学校のキャストがずらりと揃って、歴代のOBさんもたくさんゲストに来てくれる。
 10代目と四天宝寺にとっては初めてのドリライ。そんな大舞台なのだ。

 それが中止になってしまった。渋谷109前からの中継に映るリョーマくんも意味をなくした。毎日更新されるカウントダウン動画は虚無を数えるものになってしまった。もう開催されないライブまでのカウントダウン。キャストのコメント付き。
 そのコメントに、最後のドリライ、初めてのドリライ、楽しみ、皆さんに会えるのを楽しみにしています、このメンバーで立てる最後の舞台だなんて言葉が並ぶ。泣きながら見た。毎日コメントが更新されるたびにめそめそしていた。


 そしてピアアリーナでのドリライが開催される予定だった日。3rd全国立海の無料配信が決定した。
 わたしは友達に広めてまわった。2.5は好きだけど、別にテニプリ知らんしテニミュ見たことないっていってる人みんなに見てくれって頼んだ。
 卒業ライブの機会を奪われてしまったけど、こうやって頑張っていた子たちがいたっていうことをどうにかみんなに、ひとりでも多くの人に見て欲しいと思った。

 キャストのみんなも一緒に見ていて、Twitterで#おうちでテニミュのハッシュタグを使って呟いてくれていた。オーディオコメンタリーならぬテキストコメンタリーだった。

 配信はスペシャルコンテンツも盛り沢山だった。ゲストに来てくれる予定だったOBさんからのコメント、そして何よりすごかったのは、あのアンコール曲のリモート合唱動画だ。

 ドリライ出演予定だった現役キャストみんなでのアンコール曲、Smile  and Tears 合宿動画、ヤバい。見た瞬間なにかが崩壊してめちゃくちゃ泣いた。4回目でようやく冷静に見れるようになった。それぞれ工夫してたくさん楽しませてくれた。泣いて、泣いて、そのあと、ドリライ、やってほしかったなあって思った。

 わたしは青学10代目が好きじゃないはずだった。なのに、いつのまにかこんなに好きになっていた。

 いまのわたしが望むのは、青学10代目に10代目のために書かれた、10代目だけの卒業バラードを歌ってほしいということです。リョーマ役の仁愛くんのための卒業バラードだけじゃなくて、10代目みんなで歌う卒業バラード。
 いつかこの状況が落ち着いたとき、10代目がきちんと卒業式できますように。3rdシーズンが綺麗に終われますように。



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