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マルタ島で死にたくはない(マルタ 旅行記〜その1)

2019年2月4日~2月10日、大学を卒業する私は、友達と卒業旅行に行ってきました。

行き先はマルタ。

マルタ? マルタってどこだ?

と思ったそこのあなた、世界地図を見てみてください。

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これです⤴︎ (画像はフリー素材)

え、見えない? 仕方ありません。マルタは淡路島の半分くらいの大きさしかないからです。しかし、地中海に浮かぶ美しい島として、日本人も多く訪れているそうです。

そんなマルタに一緒に行くことになったのは、大学で同じサークルだった丸田さんという女の子。

……。

……。

まるた……!?

本当なんです、「まるた」さんなんです。珍しい苗字です。この時点でネタの匂いがぷんぷんします。(以下、「まるちゃん」と呼ぶ)

この記事では、私が二年前に体験したマルタ の旅についてご紹介!コロナ禍で旅行に行けない今だからこそ、一緒に旅した気分になってくだされば幸いです^^


〜マルタ 旅行記 その1〜


さて、2月4日 23:35の飛行機に乗り、ドバイ空港で乗り継ぎ、たどり着いたのは2月5日の14:15。時差は−8時間なので、移動に20時間以上費やしたことになる。

ちなみに飛行機はエミレーツ航空。

でかい! 二階建てやん!

と興奮しながら飛行機に乗った。

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機内の設備もバッチリで、なんの不満もなく、10時間後に乗り継ぎ地点のドバイ空港までたどり着いた。

しかし、この時の私とまるちゃんは知らなかった。

これから待ち受ける、最大の試練を……。


さてはて、ドバイに降り立った私たちは、まず空港の見た目に度肝を抜かれる。

「キラキラしすぎやない?」「豪華すぎない?」

「てか、広すぎん!?」


そう。

広いのだ、とても……。

乗り継ぎの際には手荷物検査があり、手荷物検査を終えると次の飛行機の搭乗ゲートに行かなければならなかった。私たちはC12というゲートから乗る予定だった。

ところが、手荷物検査を終え、B~C搭乗ゲート行きのエレベーターに乗って、「さあ、ゲートだ!」と思い、見渡してみると。

「あれ……?」

おかしい。ゲートどころか、BやらCやらの表示すらない。

訝しみながらもまた少し歩いてみると、

「あ、エレベーター」

と、また同じようにB~C搭乗ゲート行きのエレベーターが出現。

再びエレベーターに乗り、扉が開くと今度はゲート行きのシャトルバスのようなものが現れる。

「あ、これじゃない?」

と二人で納得し、シャトルバスに乗り込む私たち。

「着いたー!」

シャトルバスがどうやらゲートらしきところに到着し、ホッと一息。ここまで来るのに20分はかかった。うん、あまりに遠くないですか。

しかし、私たちはまだまだ知らなかった。

本当の困難は、その先にあったことを。

「えーっと、B,Cゲートはっと……」

私たち二人が C12ゲートに向かうべく、案内表示にそって歩き出す。

しかし。

「B1から……30!?」

Cゲートに行くには、どうしてもBゲートゾーンを通り過ぎる必要があった。それに加えて、Bゲートは1から30くらいまである。なんという広さだ……。

その事実に困惑しつつも、私たちは歩く。歩いて歩いて歩きまくる。時刻は、現地時刻6:00ぐらい。飛行機できちんと眠れなかった分、疲労が蓄積されていて、頭が痛い。手頃な売店がなく、水すら買えない。

どれくらい歩いたか分からない。Bゾーンだけで、20分ぐらい浪費してしまった気がする。

「あ、Cだ!」

やっと、やっと見えてきたCゲートゾーン。かなり奥地という感が否めない。

悪い予感とは当たるもので、Cゲートの案内表示を目にした私たちは現実を呪いたくなった。

「うっそ……ゲート50まである……」

この絶望感。なんとも言い表しがたい。ようやく出口だ! と思って勇んで走って行った先の曲がり角で、超ド級の恐ろしい特殊メイクが施された幽霊が出てくるお化け屋敷みたいな。

顔を見合わせて笑うしかない、私とまるちゃん。
不幸中の幸いで、Cゲートは1~25,26~50で左右に道が分かれていた。それでも、数字が大きいゲートの方が手前にあったので、結局また長距離を歩かなければならなかった。

うんざりしながらただひたすらに歩く。

眠い、頭痛い……と思いながらもう無言になって歩く私たち。

もはや早くマルタ島のことを書きたくてこっちが終わらせたいわ! というわけで、ようやくC12ゲートに到着。

乗り換え時間は2時間もあったのに、ゲートに着くなり搭乗開始時刻になっていた。

そんなこんなでようやく乗り換えの飛行機に搭乗してほっと一息。そこから約4間半乗ってキプロスで一時待機、さらに2時間乗って、ようやく見えて来たのがこの景色!

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見えますでしょうか。

これはマルタ群島の一つ、ゴゾ島の海。

島の際の海の色が、ありえないくらいのスカイブルーで、思わずここでテンションだだ上がり。

海なし県出身のまるちゃんと、海はあるけれどとても綺麗とは言えない海しかない県出身の私は、あまりの綺麗さに絶句。途端にマルタ島に着くのが楽しみに。

そしてそして!

ついに!

マルタ島に到着〜!!

……しかし、到着時のマルタ島はあいにくの雨。雨ばかりでなく、風もビュンビュン吹いている。長旅でただでさえボサボサになった髪の毛が、さらに爆発して大変なことに……。

空港に到着すると、風雨のせいで呑気に写真を撮ることもできず、すぐにマルタ島での主要交通機関であるバスの12回券を買い、滞在予定のホテルがある地域行きのバスに乗り込む。

ちなみにバスの12回券は€12。日本円にして約1800円なので、とても安い。しかも2時間以内の乗り換えならノーカウントだ。これで5日間の移動に使えた。京都の市バスなんて、1日券で600円もするのにね。

さて、バスに乗り込んだ私たちですが、乗ってびっくり、なんという運転の荒さでしょう!!

そもそも風が強く横嬲りの雨が降っていたため安全運転をしてほしいのに、交通量が多いのに輪をかけるように、周囲の車も速い速い。

バスも、たくさんの乗客がいることなんて知ったこっちゃない! という感じでビュンビュン飛ばす。進む。曲がる。急カーブ。

左右に揺れるバスで転げ落ちないように必死に前の手すりにつかまりながら、早く着いてくれ〜と祈っていた時。

ドンっ!

と、不吉な音がバスないに響いた。きゃあっと、他の客の悲鳴が漏れるのと、私の右半身に鋭い痛みが襲って来たのは同時だった。

「いたっ!」

何が起こった分からないまま通路を見ると、少し前の床に転げ落ちるスーツケースと、持ち主の女性が慌ててそれを拾いに行く姿が目に入った。

なんということだ。

空港発のバスにはスーツケースを持った乗客が多いため、バスの中央の右側に荷物置き場がある。棚は三段あって、落ちて来たスーツケースは、一番上の棚に置かれていたものだった。

そして、私とまるちゃんが座っていたのは、その向かい側の席。まるちゃんが窓側で、私が通路側。

つまり、バスの運転が荒いために降って来たスーツケースが、私の右半身に直撃したというわけだ。

「大丈夫!?」

私と同じく突然の出来事に驚いたまるちゃんが心配してくれたが、幸いスーツケースがぶつかった右手と右膝にあざができる程度で済んだ。

「だ、だいじょうぶ。たぶん……」

そう言いながら、頭の中でサーっと血の気が引いてゆく。もしスーツケースがぶつかったのが腕や足ではなく、頭だったら……? 絶対に脳震盪を起こして病院行きだ。いやだ、そんなの。まだマルタに来たばっかりだぞ! 初日から海外保険が適用されるなんて、ドジにもほどがあるじゃないか。

ああ、まだ死にたくない。

脳裏に何度も浮かんだのは、そんな不吉な言葉だった。


〜つづく〜


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