LGBT/東京レインボープライド/プライド月間/D&I/SDGsへの賛同アクションをしたい企業の皆さまへ
会社員として働く傍ら、2016年から名古屋でLGBTQ+の若者のための事業を頑張っている「りぃな」です。
※2016年から名古屋で取り組んでいるLGBTQ+の若者のための事業「名古屋あおぞら部」についてはこちら
会社員としても、
LGBTQ+の若者のための事業を頑張っているLGBTQ+当事者の1人としても、
D&IやSDGsへの取り組みを進める企業の担当者の方とよくお会いします。
特に日本ではこの時期(3〜6月)に、
・国際女性デー(毎年3月8日)
・東京レインボープライド(毎年4月後半)
・プライド月間(毎年6月)
があることから、
このタイミングで自社のD&I・SDGs・LGBTQ+への取り組みを公表したり、D&I・SDGs・LGBTQ+に関連したイベントを開催する企業がとても多く、この時期に合わせてご相談をいただくこともあります。
※プライド月間とは
企業の立場でD&I・SDGs・LGBTQ+への取り組みを頑張る方にお会いしてここ数年感じていることがあり、今回はnoteにまとめようと思いました。
それは、
確実に日本国内の「D&I・SDGs・LGBTQ+への取り組み頑張る企業」のラインが変わってきている
ことです。
正直なところ、2010年代までの日本国内であれば、「D&I・SDGs・LGBTQ+への取り組み」を「やっている」もしくは「やる気があると表明する」だけでOKでした。
実際に、取り組みのレベルとしても、その水準の企業が多くありました。
ただ、2020年以降は確実に違います。
確実に日本国内の「D&I・SDGs・LGBTQ+への取り組み頑張る企業」のラインが、引き上がっています。
これまでみたいに「やる気があると表明する」「やったフリをする」みたいなことは通用しなくなってきています。
例えば、東京レインボープライド(TRP)やプライド月間に合わせてアクションをする企業に対しては、LGBTQ+当事者などから、
「本当にプライドに賛同してる?」
「対外的なことだけで、社内は全然ダメなんじゃないの?」
「チャリティって書いてあるけどちゃんと寄付してる?寄付先どこ?」
「というか、LGBTQ+以外のイシューにもアクションちゃんとやってる?」
という視線が強く向けられるようになっています。
上記以外にも、過去には、
・チャリティ商品の寄付先を明確にしない企業
・チャリティ商品の一般客向けのサイト/店頭ポップにはLGBTQのことを一切言及しない企業
などがあり、当事者から強く問題視されてSNS等でも批判が投稿されました。
こうした観点は、LGBTQ+に限らず、いまビジネスを行う企業どこにでも求められる視点ではないかと思います。
小手先だけの「やっている感」は、インターネット社会では簡単に見抜かれてしまうし、分かりやすく批判が起きます。
だからこそ、今企業にできることは、「丁寧に着実に取り組む」ことと「完全ではないなりに頑張ってやっていることを真摯に表明していく」ことなのではないかと思います。
加えて、LGBTQ+当事者の1人としての気持ちですが、
マイノリティの問題は、非当事者からしたら「
1年に1時間くらい関われば良いこと」かもしれないです。
でも、当事者からすれば「365日24時間、嫌でもずっと関わらないといけないこと」なんです。
そこの経験の差は大きいです。
当事者の日々の想いや、社会で生きる上でどのような障壁があるかなど、詳細にわかっているのはやはり当事者です。
その差を決して見捨てないで欲しいと思います。
こうした気持ちから、LGBT/東京レインボープライド/プライド月間/D&I/SDGsへの賛同アクションをしたい企業の皆さまへ私なりの助言を以下の4つにまとめました。
参考にしていただけると幸いです!
①社内でアクションをする
②社内の当事者の存在を忘れないようにする
③社外イベントに参加・協賛する
④当事者の存在を想定した商品開発&チャリティを行う
①社内でアクションをする
変革を始めるにはまずは、周辺から。
対外的に動き出す前に、まずは社内の環境から少しずつ変革していくようなアクションがおすすめです。
具体的には、
・自分たちで社内勉強会を開催する
・外部講師を呼んで社内講演会を行う
・社内ルールをLGBTQ+の観点で読み直して改訂する
・社内にALLYグループを作る
※ALLYとは
とはいえ、何か始めたら良いの難しいと思うので、いくつか参考になりそうな団体を提示します。
企業のジャンルや規模に合わせて、方法をカスタムしながら、社内でのアクションをまずは取り組んで見ていただきたいです。
※全国規模ではなく、地方でご活躍される企業の場合
何か企業としてコンサルティングを依頼する場合には、上記のような全国規模の団体ではなく、出来るだけその地域の団体に依頼するようにしてください。
その地域に根ざした知見で学んだ方が絶対に良いですし、何よりその地域の団体を継続させることがその地域のマイノリティの生きやすさに直結するため、地域への強い貢献にも繋がります。
地域の団体については、後述する日本各地のプライドパレード実行団体へ問合せて、団体の紹介を依頼することをお勧めします。
【企業×LGBTQの観点なら絶対読むべきな書籍】
【LGBTQについて学びたい方へおすすめの書籍】
②社内の当事者の存在を忘れないようにする
実はここがすごく重要だと思うのですが、周囲の話を聞いていると結構忘れられがちです。
当事者不在のまま、経営陣や人事部だけで「たぶんこうしたら良いだろう!」で突き進んでしまうパターン、何事にもありますよね。
企業の進め方として仕方ないと思われるケースもあるかもしれませんが、マイノリティの社員からすると会社の方針・アクションが「会社への居心地(=勤務を継続したいか)」に直結します。
※私自身も、いくつかの企業の話を聞いた上で、「当事者社員の声を大事にしながら、LGBTQ当事者の社員が働きやすくなるように福利厚生のルールを変えた」と感じられた企業に新卒入社しました。
私の新卒就活エピソード
社外に対して「弊社LGBTQのこと取り組んでます!」と大々的に出す前に、ちゃんと
社内で勉強、取り組みを整備
→社内で周知
→社内でも取り組み実施
→当事者社員から、率直に意見をもらえるような関係性を築く
というのが、健全な進め方だと思います。
③社外イベントに参加・協賛する
社外向けの具体的なアクションとして、わかりやすいものは社外のLGBTQ+に関連するイベントに企業として参加・協賛することでしょう。
ただ、ここで気をつけて欲しいのは
東京だけ参加しがちだけど、地方にも来て!
というか、拠点のある地元でこそやって!
ということです。
確かに東京の方がイベントも多いし、本社機能も多くてアクションに移しやすいかもしれませんが、1番困っている社員はたぶん地方拠点にいます。
※地方×LGBTQの観点で大変勉強になる一冊
じゃあ地方ってどんなイベントあるの?と言われたら、まずは各地域のプライドパレードをおすすめします。
東京そして大阪・福岡・名古屋くらいは協賛企業が十分な数集まることもあるようですが、それ以外の地域では協賛企業が足りないor協賛企業がほぼゼロで資金難という状況です。
東京ならXXX万円払って協賛しても、何百社もいる協賛企業のうちの1つでしかありませんが、地方であればその地方のプライドパレードの存続を強く支える存在になれます。
その地域のLGBTQ+の人たちと、ちゃんと関わってちゃんとサポートすることができます。
上記などから、私は地方のプライドパレードへ参加することを強くおすすめします!
※地方のプライドパレードは、(東京に比べて遥かに)クローゼット状態のLGBTQ当事者が多く参加しており、会場内での写真撮影などには細心の注意が必要です。
HPや社内報に掲載したい場合には、事前にプライドパレードの運営団体に問い合わせることを強くお勧めします。
※クローゼットとは
日本各地のプライドパレード
◾️北海道
◾️東北
※実際に私がふくしまレインボーマーチに参加した際の様子(2023年)
◾️関東・甲信越
◾️東海・北陸
◾️近畿
◾️中国・四国
◾️九州・沖縄
※掲載漏れがあったらごめんなさい🙏
※敢えて、東京は記載していません
他にわかりやすくまとめている方のサイト
あと、プライドパレードも含めLGBTQ+や社会課題向けのイベントの企業ブースによく思っていること。
ブースにメッセージ書く系、なんなの!?
マイノリティとしてそういうメッセージ書かされすぎて飽きたというか、
私のマイノリティとしての想いを込めたメッセージを書いた結果、どうなるの?
企業として何を頑張ってくれるの?
とそろそろ疲れてきたところがあります。
私たちの言葉が搾取されてるというか、「大変なんだね」「可哀想だね」って言葉を受け取って終わりにされてしまっている感じ。
メッセージを書いてもらうならば書いてもらったその日に見てそれでおしまい、、、には絶対にせず、それに対して企業として何ができるのか、その地域に対して何ができるのかという次のアクションに繋げて欲しいです。
そして、翌年のイベントで前年のメッセージを元に挑戦したことを展示してくれたらめちゃくちゃ嬉しいな!!!
④当事者の存在を想定した商品開発&チャリティを行う
BtoC企業限定かもしれませんが、自社の取り組みをアピールするためにも、LGBTQプライドカラーの商品を新しく開発することもあると思います。
※プライドカラーとは?
自社の取り組みをアピールするための商品開発で、「当事者の存在を本当に想定できているか」がちゃんと忘れず出来ているかが売れるかの分かれ道だなと色んな企業を見ていて思います。
そして、その時に気をつけて欲しいのは、
「自社の取り組みを適切に公表しているか」
「取り組みに応じて適切なチャリティを行ってその内容を公表しているか」
です。
この点について私がとてもよく出来ているなと思ったのは、ファミリーマート。
取り組み初期には公表内容が不十分との指摘があったけれど、その指摘をきちんと取り込んで、
「自社の取り組みを適切に公表しているか」
「取り組みに応じて適切なチャリティを行ってその内容を公表しているか」
に真摯に対応しているな、と思います。
とはいえ、どのような団体をチャリティ先にすべきかの選定は、とても難しいと思います。
現時点でいくつかの企業がチャリティ先にしている団体の情報を分野ごとに紹介させていただくので、ぜひ参考にしていただきたいです。
◾️LGBTQに関する全般的な取り組み(全国規模)
認定NPO法人虹色ダイバーシティ
プライドハウス東京
◾️LGBTQに関する全般的な取り組み(地域ごと)
※前述の各地のプライドパレードの運営団体を参照
◾️LGBTQ×若者向けの取り組み
にじーず
ReBit
◾️LGBTQ×子育て/家族の取り組み
こどまっぷ
にじいろかぞく
LGBTの家族と友人をつなぐ会
◾️LGBTQ×医療・障がいの取り組み
ダイバーシティキャリア
にじいろドクターズ
◾️同性婚など結婚に関する取り組み
結婚の自由をすべての人に(=マリフォー)
ビジネスマリフォー
以上の4つの観点を忘れずに、
社員のためにも、社会のためにもなる取り組みを進めてくださる企業が1社でも増えることを心より願っています!
ちなみに、私は名古屋でLGBTQ+かもしれない若者向けの事業を頑張っていて、これまでいくつかの企業と若者のためになる取り組みを一緒にやらせていただいています。
ご関心あればぜひ↓