見出し画像

大気中CO2濃度は、産業革命前より5割以上増加

前回の記事では、「グローバルカーボンバジェット(世界の炭素収支)」に関する報告書(Global Carbon Project, 2022)の中から、二酸化炭素の排出量がコロナ前より高いレベルになったという話をしました。


今日は、大気中のCO2(二酸化炭素)濃度に関するデータを紹介します。

同報告書によると、2022年の大気中CO2濃度は417ppm*でした。Global Carbon Projectでは、産業革命以前の炭素濃度を約277ppmと推定しており、これと比較して51%、つまり5割以上増加したということになります。

1960年以上の大気中CO2濃度を示すグラフは以下のとおり。

出典:Global Carbon Project, 2022


このグラフから分かること。

カーボンは、増えている。

その勢い、留まることなしに。


大気中CO2濃度は、産業革命前、約6000年という期間にわたり280ppm前後で安定していました。産業革命以降、化石燃料を大量に消費するようになり、2019年までに累計2兆4000億トンもの二酸化炭素が排出されました。(IPCC第6次評価報告書)

大気中に放出されたCO2は、数10年~1000年以上も、残り続けます**。

2020年、コロナによる経済停滞でCO2排出量は減少しましたが、大気中CO2濃度は減ることなく、増え続けています。


つまり、
二酸化炭素の排出量が減っても、大気中の濃度はすぐには減らない。

だから、大気中の二酸化炭素濃度を減らすためには、
それよりずっと前から、継続的に、排出量を減らさないといけない。


先週からエジプトで開催されているCOP27(国連気候変動会議)では、各国が宣言したNDC(国が決定する貢献:どれくらい排出量を削減するかの目標値のこと)をどれくらい引き上げられるか、どうやって具体的に実施するか、が争点となっています。


※   ppmは、大気中の分子100万個中にある個数を指す単位
※※ 大気中CO2の寿命には諸説あります。他の温室効果ガスと違い、二酸化炭素は大気中で消失せず、大気と地球上を循環しながら長期間にわたって残ります。そのため、「寿命」をどう捉えるかで計算方法が異なってくるのです。最近の研究では、大気中CO2の一部は数10年、一部は1000年以上存在し続けると言われています。



#COP27 #地球温暖化 #気候変動 #二酸化炭素 #排出量 #温室効果ガス #カーボンバジェット #カーボンニュートラル #SDGs #環境問題 #地球環境 #グローバルカーボンプロジェクト #SDGsへの向き合い方 #科学

この記事が参加している募集

SDGsへの向き合い方