ロシアのフェイクアカウントについて その㉟:陰謀論からの脱出

【私の経験】

不肖私めも、恥ずかしながらかつて陰謀論にハマったことがあります。毎年決まった日に髭を生やした巨体の怪人物が夜中に人々の家を訪れて、一年の善行を評価して回る、、、という陰謀論。無茶苦茶ハマりました。怪人物に手紙を書いたり、怪人物を一目見ようと眠らずに頑張ったりしていました。最終的には陰謀論から脱出しましたけど。

陰謀論の内容から誰がデマを流しているのか推測できる場合があります。このケースで言えば、サンタクロース実在説(デマ)を唱えていたのは私の両親であり、小道具(プレゼント)を用いて舞台を演出していたのも両親でした。今風に言えば、「DS(裏で糸を引いている奴)の正体は父母であった」という言い方になるのかも知れませんね。

年齢が上がるにつれて子供同士の人間関係の中で「あれ、お父さんとお母さんだよ」みたいな噂が立ち始めました。最初は陰謀論に対する反論を信じていませんでしたが、周りが陰謀論から離反してゆくにつれてだんだんと私も頭の中で「あれはデマだ」納得するようになってゆきました。

現代日本社会においては、多くの人が一度陰謀論にハマりそこから脱出した経験を有しています。

【陰謀論にハマる人】

反ワクチン運動にハマった人の体験談などは、ネットでも拾えます。
 ・無線通信の5G基地局がコロナウィルスを拡散させている
 ・ワクチンを打つと体にマイクロチップが入り政府の支配下に置かれる
みたいな話を信じ込んで、ネットで情報収集したり、集会に参加するようになったりするらしいです。

身近に陰謀論にハマった人がいる場合に、頭ごなしに「馬鹿なことを言うな」と否定すれば相手も反発するでしょう。こちらの話を聞かなくなり、自分と話しの通じる人とだけコミュニケーションをとるようになり、ますます陰謀論に没頭してゆくと思います。話を聞いてあげて、別の視点からの判断材料を提示しながら気長に待つと、フラットな視点に戻ってくることがあるようです。

ウクライナ侵略に関する陰謀論にハマった親露派は、さらに厄介です。SNSで相手にしていると、侵略を受けた側を貶めた上で更に上から目線で説教してくるので、本当に腹が立ちます。

しかし、本来腹を立てるべき相手は裏でデマを垂れ流しているロシアの情報機関であり、そのデマに引っかかった親露派を相手に死闘を繰り広げてしまうのは、相手の思う壺です。
 ①親露派に対しては、陰謀論から脱出するように促す
 ②世の中に対しては、ロシアの情報戦に対する注意を呼び掛ける
といった姿勢が望ましいと思います。①に関しては、簡単には脱出しないので、腹の立つことを言ってきてもあまり拘らずに気長に付き合うつもりで相手するのがよいと思います。サンタさんを信じていたあの頃を思い出しながら、相手をしてあげましょう。

【ロシアの情報機関】

SNSにおける親露派アカウントが主張する様々なデマは、色んな経路を経て伝播しているにしろ、大本は「ロシアの情報機関が吹き込んだ」ということになります。

SNSで発言する親露派アカウントの多くが同時に反ワクチンを主張することは、見ての通りです。またプーチンを擁護するにあたって「プーチンは世界支配を企む闇の勢力(ディープステート)と戦っている」といったQアノン+馬淵睦夫に由来する主張を展開することも、見ての通りです。

状況から判断して、「ロシアの情報機関が反ワクチン集団やQアノン集団を利用している」と指摘してよいと思います。反ワクチンやQアノン由来のデマを語り合っているコミュニティの中に工作員アカウントを潜ませておいて、徐々にロシアに都合の良いデマを吹き込んでいるのでしょう。

【タイミング】

ウクライナ侵略に関して言えば、ウクライナ軍の反撃が進むにつれて親露派インフルエンサー(馬淵睦夫/青山貞一、等)の主張が非現実的になってきています。こういうタイミングはチャンスだと思います。戸惑っている親露派に「あのインフルエンサーはロシアの情報機関の影響を受けているんだよ」と指摘してあげれば、「あれはデマだ」と目を覚ます人も出てくるかもしれません。

反ワクチン信者も同様に「ワクチン打ったけれどなんともなかった」という人が増えてくれば、だんだんと下火になってくると思います。

事実を提示しながら気長に相手をするというスタンスが、結局はロシアの情報機関の世論工作を無力化します。

【陰謀論をまき散らす人】

自分ではデマと判断しながらもなお陰謀論を煽る人たちがいます。私は現時点で以下のように分類しています。

<①ロシアの情報機関に近い人>
ロシアのウクライナ侵略に関するデマに関して言うと、馬淵睦夫はロシアの情報機関に買収されて情報発信しているとしか思えません。同様に、スコット・リッター/リチャード・ブラック/ダグラス・マクレガーなども買収されているとしか思えない言動を繰り広げています。こういう輩の情報発信を和訳して紹介するアカウント(マヨ/MK/Акичка)なども、周辺にロシア人が絡んでいそうです。

<②YouTuber/ブロガー>
アクセス数を稼ぎたいので、コンテンツとしてデマを生成して拡散させている人です。アメリカ発祥のQアノンを日本に広めた集団はいくつかあるようですが、その一つである神真都Qの岡本一兵衛は、元々YouTubeのアクセス数を稼ぎたくてこういうことを始めたようです。反ワクチン+反ディープ・ステートを主張していました。

日本にQアノンや反ワクチンを広めた人がロシアの情報機関の影響を知っていたのかどうかは分かりませんが、結果的にロシアの情報戦に利用されています。

因みに、神真都Qの岡本一兵衛に「Qアノンはアクセス数を稼げる」と唆したのは、JOSTARジョウスターという人物だそうです。この人物のやったことは民主主義の劣化につながり、そこをロシアの情報機関は利用しています。自分のやったことをどの程度理解しているでしょうか。

source : http://japan.hani.co.kr/arti/opinion/43051.html

<③政治家>
アメリカでいうなら、トランプはQアノン集団と共依存の関係にあり、トランプはQアノン集団の熱狂を利用しています。また、トランプもQアノン集団を刺激するツイートを投稿します。

日本なら参政党が陰謀論を利用しています。反ワクチンのスタンスを取っていますし、また国際金融資本/グローバリスト/ユダヤ系といった、Qアノン+馬淵睦夫に由来する陰謀論にまつわるキーワードを口にします。

陰謀論にハマる人は頭の中で「良いことをしたい」と思っているケースが多く、参政党はその心理を悪用しています。また、この政党は馬淵睦夫や篠原常一郎といったロシアと関係のある人物と距離が近く、時々関係者が親ロシアのスタンスで発言しています。

【民主主義への悪影響】

民主主義的な集団における意思決定は、有権者に責任感/判断力/協調性が備わっているとみなして、十分な情報を公開してから多数決で判断する手順を踏みます。意図的にデマ集団を形成して暴走させる、という行為は民主主義に対する攻撃です。

例えば仮に親露派が増殖していったとして、有権者の過半数を超えたらどうなるでしょう?「プーチン支持。経済制裁解除。これが日本の民意だ。」という展開になったら、まともな民主主義と言えるでしょうか?

ロシア軍は隣国を不法侵略して犯罪の限りを尽しています。これを擁護する輩は日本にもいますが、現時点で法的な対応を受けていません。

国家/社会の品格が問われる部分だと思います。「自分を尊重して、相手も尊重する」が民主主義の哲学です。「不法侵略+大量殺人」を是とする言論を表現の自由/信教の自由と言い張るのは、民主主義の悪用です。デマをデマと知って垂れ流す人に対しては周囲が反省を促すべきですし、本人は程度に応じて社会的責任を問われるべきです。

【まとめ】

陰謀論にハマった人に対しては、脱出を促す姿勢で接するべきだと思います。個人的には、徐々に信者が離反してゆき最後に汚い真似をした奴が浮かび上がる、という展開を期待しています。

プーチン政権のプロパガンダに協力した人の責任は、社会的に問われるべきです。ウクライナ人から見ても反戦派ロシア人から見ても大多数の日本人から見ても国際社会から見ても、許しがたい存在です。

【補足1:実体験】

①参政党のマインド・コントロールに浸かってから脱出し、今は脱出支援をしている人の投稿です(こちら)。

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