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私の好きな映画のシーン(22)「北北西に進路をとれ」

 ヒッチコック監督の作品を何度も何作も観てきました。『レベッカ』、『ロープ』、『ダイヤルMを回せ』、『裏窓』、『知りすぎていた男』、『めまい』、『サイコ』、『鳥』、そしてこの『北北西に進路をとれ』。
 L.A.在住時は、『鳥』の舞台となったボデガ・ベイまで行き、ついでにサンフランシスコからミッション・サン・ファン・バウティスタ(教会)などを車で巡りました。
 特にサスペンス好きではありませんご、ヒッチコック作品の底辺にある、静かな恐怖がなんともたまらなく好きなようです。
 『北北西に進路をとれ』は、1959年に米国公開された、ヒッチコックが60歳のときの作品です。他の作品も同じでしょうが、ストーリー・ラインは緻密に計算が成されていて、未だに古さを感じません。
 私が好きなシーンはやはり、あの広大な畑地で、主人公が複葉機に狙われるシーンです。
 都市部、高級住宅地そして広大な畑地。人のすり替わりや実在怪しい人物等の細かなストーリー・ラインが複雑に絡みあうところから、やがてストーリーの骨格が見えてくると、ニューヨークの都市部から徐々に舞台は広がっていきます。
 裏社会の困惑を背負った主人公が、争い、そこから逃げ出したいという心理描写のひとつが、この広大な畑地のシーンではないかと思っています。
 中嶋雷太
 

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