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関節リウマチとへバーデン結節

更年期に突入したくらいから
自分の先行きに
それまでとは違った不安を覚え、
と同時に
ずっと忘れていた「夢」と再会し
それを叶えようと決断したのが
ちょうど50歳の頃だったと思います。

その「夢」というのは
長年憧れていたエサレンを学び
ボディワーカーへ転向することだったのですが
実は
この転向は
夢を叶える以外に
もう一つの深刻な理由がありました。


関節リウマチでエステティシャンを続けられなくなった人

それまでわたしはエステティシャンとして活動していました。
ボディよりフェイシャルが得意で
ほとんどのお客様がフェイシャル目的でのご来店でした。

フェイシャル技術はボディよりも繊細な触れ方と動きが求められます。
なぜなら「顔」という小さな場所にたくさんのパーツ、
その部位ごとの皮膚の厚みや強度の違い、
そして小さな筋肉が縦横無尽に走っている複雑さがあるからです。

ボディの平坦さや大きな筋肉を触れるのとはまったく違うので
フェイシャル技術のみで施術者のクオリティが判別できるほどです。

わたしのフェイシャルは
子供の頃に学んでいたピアノが大いに役立ちました。

手指に余計な力をかけず
体幹の力を両手指に伝え
指一本一本を独立させ
左右均等に動かす基本動作。

ピアノの基礎練習をしていたからこそ
苦労することなく習得できた動きだったと思います。

「人の指の動きとは思えない!」
何度このような嬉しい言葉をいただいたかわかりません。

だからわたしはフェイシャルを施すのが
本当に楽しくてしかたありませんでした。

さて、そんなある日のこと。
長年わたしを贔屓にしてくださっていたお客様(故人)から
ショッキングな話を聞きました。

それは故人が
わたしとのご縁がつながる以前のことです。

故人には元々贔屓にしていたエステティシャンがいました。
故人とわたしとの関わり方を考えると想像に易いのですが
二人は信頼し合って
とても親しいお付き合いをしていたそうです。

故人にとっては「お抱えエステティシャン」のような感じで
彼女以外の人に自分の肌を任せる気はさらさらなかったと言います。

そしておそらくは
彼女もそのつもりだったことでしょう。

しかしあるとき彼女は故人に
「もうお手入れをしてあげられない」
という辛い告白をしました。

理由は「関節リウマチ」を罹患したからでした。

関節リウマチは免疫異常による全身疾患ですから
手のこわばりや腫れや痛みだけにとどまりません。
きっと断腸の思いでの決断だったと想像します。

故人は彼女をあきらめるしかありませんでした。
それから程なくして、わたしとのご縁がつながったのです。


絶対に痛めるわけにはいかない

故人からその話を聞いたのは
わたしがまだ30代の頃だったと記憶してますが
決して他人事とは思えませんでした。

病気、ケガ、事故…
わたしたちは
どんな些細なことでも手や指を痛めてしまったら仕事になりません。

ちょっとした切り傷でも仕事に支障が出ます。

料理の最中に包丁で指を切ってしまったり
うっかりドアに手を挟んでしまったり
慣れない作業をして腱鞘炎になったり…

そのたびに悔しい思いをしてきました。
しかしこれらは数日経つと完治するので
その後の仕事に影響を与えることはありません。

ところが全身性の疾患や
大きなケガなどに見舞われてしまうとそうはいきません。
故人の前任エステティシャンのように道が断たれてしまいかねません。


母のへバーデン結節

わたしの母は器用貧乏とでも言いますか
なんでも自分でこなす気力と行動力の持ち主なのですが
(それも一因となったのか)
重度のへバーデン結節を患っています。

両手の指すべての第一関節が気持ち悪いほどに折れ曲がり
そのせいか指に力が入らなかったり
細かい作業ができなかったりします。
ですから
本人的には一生懸命丁寧に作業しても意志通りに指先が動かないので
結果的に雑な仕上がりになってしまいます。

わたしは母の様子をずっと見てきたので
もし自分がへバーデン結節になったら施術の質が落ちてしまうと
密かに恐れを抱いていました。

関節リウマチは全身管理をしていれば避けることができる
と考えていましたが、
へバーデン結節の大きな原因は
①加齢(女性ホルモンに関係)
②指の使い過ぎ

と言われているからです。

わたしはどちらも避けることができません。
母を見ていると尚更…

そして案の定、更年期を迎えた頃から症状が出現してきてしまいました。

最初は右小指の第1関節から。
腫れと痛み、熱感に襲われ、
不安で夜も眠れなくなりました。

仕事をしていても
時折ズキン、ズキンと痛みが走ります。

マッサージで小指をメインに使うことはないのですが
他の四指をサポートする重要な役割があるので
とてもストレスを感じます。

「このままではいけない」
症状を進行させないため
エクオール(サプリメント)をいろいろ物色しましたが
なかなか良いものに巡り合えません。

いろいろとためしている間も痛みや腫れは引かず
他の指も次から次へと症状が出てきてしまいました。

ようやく効果を感じられるエクオールに出会ったときには
右小指はすでに変形しており眺めるたびに気落ちしました。


迷わずボディワーカーの道へ

エクオールのおかげで
なんとか母ほど酷い状態にならずに済んだのですが、
それでも母指以外の指はすべてへバーデン結節を患いました。

変形はやはり右小指が一番酷く、
次いで左小指、左中指の変形が目立ちます。

ただ、指先へ力や意志を伝えることに異常は感じないので
「ギリギリセーフ」といった気持ちですが、
だからといって以前のように仕事ができるわけではありません。

腫れや変形が落ち着いた現在でも
「もしかしたらできるかも」と思ってチャレンジすると
途端に痛みに襲われ、しばらく自由に動かせなくなってしまいます。

ですから50歳を過ぎてすぐに憧れを抱いていたエサレンと再び出会い
迷わず飛び込めたことは
わたしにとって「奇跡」としか思えないほど幸運なことでした。

エサレンで学ぶ技術は
それまで学んできたマッサージ技術の中で最も体に負担をかけず
最も高い効果を出すものでした。

クライアント(お客様)に対して非常に繊細なアプローチでありながら
指先に細かな負担は一切かけません。

完全にwin-winの状態でクライアントさんと体験を共有できます。

わたしの選択は正しかった!
感謝の気持ちでいっぱいです。

また、現在わたしが提供するサービスの中に
「フェイスヒーリング」というものがありますが、
これは指に負担をかけないように設計した
エステティシャンとして経験してきたことの集大成のようなものです。

そしてこれは非常にシンプルでありがながら
人体の仕組みを的確に捉えたものなので施術効果は絶大です。

どのような分野でも共通していることと思いますが、
洗練させていくと結局は
「基本」「シンプル」
この二つに尽きるんですよね。

わたしは生涯現役で
ひとり一人のお客様と向き合い続けることを目標としています。

だからもしかすると
そんなわたしに
へバーデン結節は最大のチャンスをくれたのかもしれません。

わたしは
どんな病気もケガも意味のないことはないと考えています。

ですから
そこから学び、それを生かし、それを伝えることが
わたしの役割の一つだと思っています。

さて、今日はどんな体験を共有できるでしょうか。
わたしにとってクライアントさんと過ごす時間は
何よりもかけがえのない素晴らしいひとときですから!






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