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四書五経【大学】03 「経」一章 〜総論 孔子の教え〜

大学は下記構成から成り立っています。
・「経」一章 (総論 孔子の教え)
・「伝」一章〜十章 (それに続く解説文 曽子の意見)
  ※曽子=孔子の教えを正しく継承したと言われる弟子

まずは総論にあたる「経」一章 + その前に記載されている宋朱熹章句を読んでいきたいと思います。(学びのまとめです。)


■ 宋朱熹 章句 〜学びの順序〜

<現代語訳・解釈>
程子(程兄弟)が言うには、「大学」は孔子が残してくれた遺書のようなものであり、初学者が徳を身につけるための入門書である。

本書のおかげで我々は古人がどのような順序で学問を進めていたのかを知ることができる。

「大学」の次に学ぶのは「論語」と「孟子」である。
儒学を学ぶ者は「大学」から始めれば間違いない。

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■ 大学の道は明徳を明らかにするにあり

大学の道は明徳を明らかにするに在り、民を親(あら)たにするに在り、至善に止まるにあり。

大人(だいじん)の学問の三つの目標  =「三綱領

明徳を明らかにする
 人が生まれつきそなえている四徳を発揮すること。

▷民を親たにする =親民
 四徳に沿った行動をすることで周りの人に影響をあたえ、汚れを取り去り
 新生させるようにすること。

至善に止まる
 自分を高めて、至善の境地にとどめておくこと。
 至善=ものごとの理の境地

■ 止まるを知りてのち定まるあり

止まるを知りてのち定まる有り、定まってのち能く静かに、静にしてのち能く安く、安くしてのち能く慮り、慮りて后能く得。

<現代語訳・解釈>
至善の境地にとどまることの大切さを知れば、進むべき方向がはっきりする。
進む方向がはっきりすれば、心は乱されなくなる。
心が乱されなくなれば、安定が保たれる。
安定が保たれれば、物事をよく考えるようになる。
物事をよく考えてこそ、至善の境地が得られるのである。

■ 物に本末あり、事に終始あり

物に本末あり、事に終始あり。先後する所を知れば則ち道に近し。

<現代語訳・解釈>
-- 物事は何が根本で、何が末のことか。
-- 物事はどう始まり、どう終わるのか。
物事の本末終始が分かるようになれば、ほぼ学問の基本を身につけたことになるであろう。

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■ 平天下・治国・斉家・修身・正心・誠意・致知・格物

<現代語訳・解釈>
古代の聖人は、
天下に明徳を発揮するため、≪平天下≫
まず国の安定を心がけた。≪治国≫
国の安定を保つには、家が斉(ととの)っていなければならない。≪斉家≫
家を斉えるには、まず我が身を修めることだ。≪修身≫
我が身を修めるには、心の正しさが求められる。≪正心≫
心を正しくするには、思いが誠実でなければならない。≪誠意≫
思いが誠実であるには、知性の裏付けがなければならない。≪致知≫
知性を身につけるとは、事物の道理を究めることにほかならない。≪格物≫

■ 格物・致知・誠意・正心・修身・斉家・治国・平天下

<現代語訳・解釈>
事物の道理を究めれば、≪致知≫
知性がすみずみまで働く。≪致知≫
知性が働くようになれば、思いが誠実になる。≪誠意≫
思いが誠実であれば、心は安定する。≪正心≫
心の安定が得られれば、身は修まり言動が正しくなる。≪修身≫
身が修まれば、家庭は円満に。
家庭円満であれば、国はよく治まる。
国が治まれば、天下はおのずと安定するのだ。

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■ その本乱れて、末治まる者はあらず

天子よりもって庶人に至るまで、壱是(いっし)皆修身をもって本と為す。その本乱れて末治まる者は否ず。その厚うする所の者薄うして、その薄うする所の者厚きは、未だこれ有らざるなり。

<現代語訳・解釈>
天子から庶民にいたるまで、すべて我が身を修める(我が身を整えて四徳を修める)ことを根本とする。
我が身も修まらないのに、天下を治めようなど、しょせん無理な話である。
家をほったらかしで、国や天下がよく治まった例なぞありえない。

参考文献:
・大学/宇野哲人全訳注
・マンガ孟子・大学・中庸の思想/蔡 志忠著

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