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作詞家大塚利恵の『ことばのドリル』vol.21♫一人称を使わずに過ごす

Vol.20のドリルはいかがでしたか?

今日一日、なるべく一人称(私、僕、俺など自分自身を表すことば)を使わずに過ごしてみて下さい。
いつもとどんな違いがあるでしょうか?

一人称を使わずに過ごすのは、大変でしたか?
それとも、楽チンだったでしょうか?

何か一つのことばを普段の会話からマイナスすると、自分にとってのそのことばの重要度が分かりますね。
ブログやSNS、様々なことばの表現、すべてにおいてそうだと思います。

私は、昔自分のことにいっぱいいっぱいで「私は、私は」となりがちだったので、ある時から意識して抑えるようにしてきました。
それでも、楽しく話している時とか、気持ちが盛り上がって暴走してしまう時はあるのですが…(お酒を飲んでいる時とか!)

それはそれで個性として、多少はまあいいか、と思うようにもなりました。
他人にどう思われるか気にしすぎず、のびのびしていることも大事ですものね。

ただ、自分のことばのクセに気付いているかいないかは、表現をする時に大きな違いとして表れてきます。
気にし過ぎは良くないけれど、頭の片隅で「あ、また‘私は、私は’になってる」と観察できること。
俯瞰して自分を見る視点。

それが、次に続く会話のベクトルを新鮮なものに変えてくれたり、表現を新たな発想に導いてくれたりします。
逆に、一人称がほとんどなかったという人は、敢えて「私は」を意識的に多めに使ってみるのも新鮮だと思いますよ。

ところで、作詞を教える際は、「歌詞の一人称は必要最低限に」と伝えています。
本来、歌詞に無駄なことばなんて一字もないのですが、特にキケンなのが一人称なんです。

伝わりやすくしようとしたり、日頃のクセなどで、「私は、僕は」とつい入れてしまいがち。
でも、歌詞の中で一人称を多用したり、メロディの目立つところにのせたりすると、“強調”になってしまうことも多いんです。
「わーたーしーはっ!」みたいに。

強調したい時はいいのですが、そうでない時は最初に削ると良いのが一人称。
歌詞は字数も限られるので、「私は、僕は」を削ることで、もっと必要なことばを入れられるならなお良いですね。

と、書くと、まるで一人称が悪者のようですが、そうではありません。
大事なのは“適切に使う”ということ。
使う理由があり、必要なら、一つの歌詞の中に100回出てきたっていいわけです。

会話にも欠かせない一人称ですから、普段からちょっと意識してみるといいのではないでしょうか。


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《ことばのドリルVol.21》

放物線のような文章を一つ考えてみましょう。

ボールを投げた時のように、真ん中が一番高くなるようなイメージです。

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シンガーソングライター、ボイストレーナーのサイトウミュウさんから、「ことばのドリル」の感想をいただきました。(2016年メルマガ配信当時)
ミュウさん、素敵な感想をありがとうございました!

『私は一瞬で感動する、絵や写真や景色を「視覚言語」だとしたら、
《歌詞》というのは「言語映像」だと思っています。

映像が浮かぶ歌詞。感情が届く歌詞。そこにシンガーの声の力や歌唱の技術が噛み合って「圧倒された〜」という作品になるかと。。

大塚利恵さんの作る歌詞はまさに、映像が浮かぶ歌詞、感情が届く歌詞、だと思っています。

何度も泣かされました。笑

彼女のレッスンは、彼女自身が作詞家大塚利恵を育ててきたメソッドそのものを惜しげもなく細やかに、そして楽しく手の内を明かしているものだと思います。

それは本当に自信がないと出来ないこと。

わたし自身もこのメルマガでまた新たな「ことば」や「気持ち」の出会いがあることを楽しみにしています。

サイトウミュウ』

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「アーティストキャンパス千駄ヶ谷 ボーカル&ミュージックスクール」
http://www.artistcampus.jp

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2016年にメルマガで連載したものにちょこっと加筆しています。全100回。 作詞の勉強をしたい方はもちろん、自分の言葉を磨きたいすべての方に。 長年作詞を指導してきたノウハウを目一杯詰め込みました。 最初は易しめですが、じわじわ効いてきます。 エッセイを読むだけでもヒントを得てもらえるように書いていますが、実際トライしてもらうと、さらに言葉の感覚が大きく変わっていくのを実感してもらえるはず。 大塚利恵の作詞レッスンでは、ドリルへのアドバイスも行っていますので、ぜひ。


ありがとうございます!