「韓国に行くな!」と大合唱されたら、行きたくなるじゃんよお…で行ってきました。初めての海外旅行ーソウル3泊4日の旅ーその1 前振り


2019年6月韓国内の裁判で、大日本国帝国、日韓併合植民地支配時代、日本の企業に徴用され働いた人たちへの賠償を求める判決が出された。

ウイキペディアによればー韓国政府は1965年の日韓請求権協定で「解決済み」としてきたが、大法院は日韓請求権協定で個人の請求権は消滅していないとしたため、日本政府は日韓関係の「法的基盤を根本から覆すもの」だとして強く反発した。安倍晋三首相は「本件は1965年(昭和40年)の日韓請求権協定で完全かつ最終的に解決している。今般の判決は国際法に照らしてあり得ない判断だ。と述べたー
これをきっかけに日本と韓国の間に深刻な軋轢が生じ、経済制裁の応酬に発展する。すでにネット上には溢れていた嫌韓の気分は、週刊ポストをはじめテレビのワイドショーに拡大し、あからさまなヘイトスピーチが横行し、国を挙げての嫌韓反韓一色に染まっていってしまった。

韓国内でも日本製品の不買運動が活発化し、大挙して訪れていた日本への旅行客は激減。いつも人が溢れていたはずの札幌の狸小路にも、円山公園にもスカスカの風が吹いていた。もちろん逆も。かつての「冬ソナ」ブームの時とは違い、若い世代を中心に超盛り上がっていた韓国への観光旅行者も激減。新千歳からの直行便Lccは減便されてしまった。

2012年、わたしがツイッターをやりだした、かれこれ7年前。まだ何も知らなかった。たまたま娘が進学した大学の先生のアカウントを見つけたことが始まりだった。韓東賢さん。大学のオープンキャンパスで見かけた、まだ若い女性の先生だ。

あ、あの先生だね。と気安くタイムラインを眺めているうちに、だんだんと背筋が寒くなってくる。先生のつぶやきの下にぶらさがる、返信ーリプライーは、まともではなかった。内容に全く無関係にー在日朝鮮人と女の助教授ーを誹謗中傷する恐ろしく薄汚い言葉ばかり。

そのときは、ヘイトスピーチという言葉を知らなかったし、まだ世間に認知もされていなかったと思う。在日コリアン差別について全く無知だったわけではない。日本と韓国の歴史的な知識は一通り持ってはいたけれど。当時は、すでに韓国ドラマ『冬のソナタ』での大ヒットの後で韓流ブームもすごかったし、そんな悪どい差別が生き残り、特定個人に向かって、多くの日本人が寄ってたかって吊るし上げるような現実があるなんて、想像することはできなかった。

でも、そこには確かに、そういう現実が存在していた。その他にも在日コリアンのライターや作家の柳美里さん、みんな女性ですが、ツイッター上での誹謗中傷、差別の有り様は、苛烈を極め、想像を絶し、唖然とし、恐怖するしかなかった。

一体、何なんだこれは?

安田浩一ー2012年(平成24年)『ネットと愛国 在特会の「闇」を追いかけて』により日本ジャーナリスト会議賞 および第34回講談社ノンフィクション賞受賞 (ウイキペディアより)

時を同じくするころに出版された、安田浩一さんの本を読み、在特会(在日特権を許さない市民の会)なる差別集団の存在を知る。彼らによる根拠なきヘイトデモ、ヘイトスピーチを批判する動きが出てきたころから、より頻繁に東京、その他での行状が報道されるようになり、ヘイトに反対するカウンター運動も高まるようになった。

わたしは、その様子を見ているだけで、何かをしたわけではない。せいぜいネット上で「ヘイトスピーチは絶対ダメ!」と訴えたり、ツイッターの違反報告をせっせとやり続けるくらい。在特会のヘイトデモは、札幌へも進出しカウンターも行われたが、出かける勇気は、なかった。ヘイトする人たちが恐ろしくて…。

そうしているうちに、時はみるみる流れ、極右団体や神道、勝共連合、統一教会などカルト宗教団体を支持母体とする(そうなんですよ)安倍政権は、6年も続いた間に、いつのまにか日本の社会全体が、在特会のようになっていた。嫌韓、韓国の悪口をいうことは世間話の一種のようになり、ネットは言うまでもない。差別デモや暴力に晒される当事者の恐怖は、極まっている。

なんでこうなるのか? 

わたしにはさっぱりわからない。経済問題や各論についてはさておき、ただただ韓国や、朝鮮人とひたすら悪く言う人たちの根拠は、まるで理解できない。日韓併合植民地時代に支配者であった日本人が行った苛烈な暴力、非人道的な所業について過去を反省するのは、当たり前のことだとしか思えない。

ことさら従軍慰安婦問題には、怒りを通り越すほどに怒りを感じてきた。日本軍の軍人や兵隊を英霊として讃えながら、その兵隊さんのために奉仕し体を投げ出し、挙句に戦争の塵となった、多くの女性たちへの感謝も尊敬の気持ちも一つもない。

ただの売春婦だの金をもらっていたのだから性奴隷ではないだの、侮辱し続けて当然と居直りかえり、二度と戦争で女性の尊厳が踏みにじられることがないようにと祈られる「平和の少女像」に対し、日本と日本兵を侮辱するものだと訴え、家族を守るために戦った我々のおじいさんを傷つけるな、などと言い募って、世界中から非難される。

「慰安婦」を侮辱する人々にとって「我々のおじいさん」と、当時は、日帝ー日本だった朝鮮半島から連れてこられ奉仕させられた女性たちは、決して対等ではない。同じ人間の扱いはされない。戦争の犠牲になったのは同じ命のはずなのに。男の命は上等で、その性欲を受け止めた女は、下等であり続け、存在を否定され続ける。

なぜなの? どうしてなの? いやどうだったとしても。

わたしには、それを許すことはできない。絶対に許せない。それを認めれば、必ず同じことは繰り返される。女は、弱い立場の者は、いつもそうされてきたように。

そう強く憤りながら。果たして、わたしが何を知っているというのだろう。

結局は、何も知らないんだよ。

韓国なんかに行くな。日本人が韓国に行ったらひどい目に合う。テレビで雑誌でネットで、そういうけど。本当だとは思えない。この国とメディアを挙げての嫌韓運動(?)に、何も考えないで乗っかるなんてありえない。

そんな思いで、もやもやと過ごしていた時、天から声が降ってきた。

>最近韓国へのツアーがお得な価格になっているという話だから、ちょっと2,3>泊の旅行にでも行こうかな。
>ツイッターでは韓国に旅行に行った日本人が韓国人に殴られたとかいうデマが流>されているみたいだけど😡、それどころか超楽しかったよ~!って言ってやり>たい。
>韓国行ってみたい方、いっしょにいかがですか?
>秋にでも。


ビックイシュー札幌の事務局長を務める、平田なぎささんからの呼びかけだった。



例によって長くなってしまったので、つづく。


















この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?