リエジョ

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さんかく 千早茜著

 食事、人間関係への解像度が高い小説「さんかく」___  物語にでてくる食事だけでなく登場人物の心理描写にも舌を巻いてしまうほど素敵な作品でした。 高村夕香:京都の古い木造の京町家で一人暮らす40代手前の女性。フリーの             デザイナー。 伊東正和:大阪の厨房衛生用品の会社で営業として働いている男性。華と付き合っている。 中野華:京都の大学院生の女性。正和と付き合っている。  以上が簡単な人物紹介です。題名の「さんかく」とはこの3人の三角関係から来ている

    • 破局 遠野遥著 灯が許せなかったことについて

       遠野遥さんの作品「破局」は第163回芥川賞を受賞した作品です。ラグビー部の主将であった肉体も人生も鍛え上げた大学4年生の主人公陽介と幼馴染の恋人で成績優秀な麻衣子、そして陽介と出会いセックスをするにつれ性欲の権化のように変貌する灯。この3人の関係により「破局」がもたらされます。 灯は何が許せなかったの?  少し長いですが、これは灯が陽介に別れを告げる重要なセリフです。陽介が麻衣子と別れたあとに、深夜に麻衣子が家に来てセックスをしたことを麻衣子が灯に告げたことがきっかけで

      • カラマーゾフの兄弟 アリョーシャはなぜ父の死を嘆かなかったの?

         カラマーゾフの兄弟で主人公と位置付けられているアレクセイ(愛称:アリョーシャ)はゾシマ長老の死に対しては悲しみにくれています。ゾシマ長老が息を引き取る前に彼から「ドミートリー(アリョーシャの兄)に会うよう」言われ、ドミートリーに会いにいきます。敬愛する長老の意見は死期が近づいていたとしてもちゃんと聞きたかったのでしょう。  ゾシマ長老の最後の言葉を書き留める書記役をアリョーシャは勤めました。ゾシマ長老もアリョーシャのことが大好きで、アリョーシャもゾシマ長老が大好きでした。

        • うるさいこの音の全部 高瀬隼子著 小説家の葛藤

          芥川賞を受賞した高瀬隼子さんの「うるさいこの音の全部」を読みました。書評なんて立派なものは書けませんので、思ったことと感想を述べたいと思います。 ゲームセンターで働く長井朝日は早見有日として執筆活動をします。新人賞を受賞してからは周りの態度が変わっていき、芥川賞を受賞してからは・・・ というのがあらすじです。(雑ですが) これは小説家「早見有日」がデビュー作「配達会議」のレビューで「よく分からなかった」という感想を見た時のセリフです。 早見有日は<わたし>を分かってほ

        さんかく 千早茜著