この1ヶ月間、連日のように、
「良くエアコン無しで暮らせるね、熱中症に気をつけて」と
優しい言葉をかけていただきます。
7月末に故障し、
エアコンのない暮らしを余儀なくされた私にとって、
この言葉の数々にどれほど救われたか。
ただ、
振り返れば良いこともありました。
その一つに、
合氣道の上達があります。
技の精度が上がったとか、
出来る技が増えたということではありません。
伝えるのが少々難しいのですが、
“動じなくなった”
という表現が一番ふさわしいかもしれません。
先週のお稽古で“後ろ技”を行いました。
突然羽交い締めされることから始まる技なので、
殆どの方が後ろから攻撃されるたびに、
驚きと恐怖から“ビクッ”とわずかに
力んでしまう状態に陥っていました。
ですが、
私の場合、
最初から驚くことが全く無く、
されるがまま。
先生にも、
「猪越さんはなぜ全く動じないのですか?」
と聞かれても、自分でも分からず、
「なぜでしょう?」
としか答えられませんでした。
技の動きに慣れるまではスムーズに行かないこともありましたが、
動きに慣れてからは、
面白いぐらいに技が決まるように。
合氣道は相手が動き出す前に
相手の発する氣を感じることで初動のスピードが決まります。
緊張していても、
力んだ状態でも、
虚脱した状態でも、
全て初動が遅れてしまいます。
いかに静まっているかが大切で、
毎回必ず心を鎮めることを稽古します。
前回のお稽古終わりには先生から、
“動じない”ことに感心されるぐらいでした。
帰り道、
なぜ全く動じることがなかったのか、
自分でも不思議に思い考えていたところ、
“エアコンの故障のせいかも”と閃きました。
無いものはない、
涼しくする術もない、
汗は容赦なく流れおちる。
暑さに抗うすべが何も無い。
私に出来ることは唯一つ、
諦め暑さを受け入れるのみ。
この日々の繰り返しのお陰で、
抗うことを止め、
受け入れる癖がついたのかもしれない、
そんな風に思いました。
自己啓発系の本に、
“無駄なものは何もなく、起きる出来事は全て必然”
など書かれていることを思い出しました。
エアコンの故障ですら必然に結びつくかどうかは不明ですが、
今となっては有意義な時間だったかもしれません。
明日修理日を迎えます。
暑い部屋も今日まで。
環境が戻ったとしても、
この“動じない”感覚を忘れないようにしたいと、
切に願います。
美容スペシャリスト猪越理恵は美容業界歴29年、コーチ歴19年のキャリアを生かし、サン・ティトル株式会社を設立。大手化粧品会社や美容機器メーカーのコンサル・商品開発・メソッド開発・人材育成等を支援しています。 https://www.rie-inokoshi.com/