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音楽活動とお金の三か条

この3年間イギリスで音楽活動をしてみて、メジャーレーベルのバックアップがないとはいえ、物事の進展をスピードアップさせるため、個人でもそれなりの予算をかける必要があった。初めて『音楽弁護士』に相談に行った時、イギリスで音楽活動するためにはとにかく金がかかるしそんな金があったら使わない方がいいと言われた(その時のムカついた体験はこちらに書いている)。今個人的な体験から言えることは、資金があって、家族を養う責任もない年齢で、健康で野望があるなら、とことん資金と時間を費やして挑戦するべきだということ。

しかし出費のうち、『これは無駄だった』『これは価値があった』という出費に大きく分かれる。また、項目ごとに出費の割合も異なる。この3年間の収支をエクセルシートで見ながら、自分の例を掲載したいと思う。

・項目別の出費の内訳

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1.音源制作

2.ビデオ制作

3.宣伝広告

4.ライブ

やはり一番の出費は音源制作費。様々なプロデューサーにアレンジしてもらい、EP2枚、シングル2枚、アルバム1枚をリリースした。また、制作してもらった音源を全てリリースした訳ではない。試してみて、少し違うなと、発表を見送った曲もある。

ビデオ制作は、オンラインでのプロモーションで必要不可欠な要素。リリースしなかった音源を除いたら、音源制作と同等になるかもしれない。しかしこれも、作ってみてイメージと違った映像もあったので、トライアル&エラーの要素もある。

宣伝広告は、PR会社に宣伝依託費として支払った経費。決して無駄ではなかったが、実はこれが一番疑問に思う項目。誰かにアドバイスするとしたら、この出費は一番慎重になるべきだと言うと思う。それは、宣伝活動をしてもらったからといって、数字や収益に繋がる保証はないからだ。

ライブは間違いなく価値がある。音楽活動の中で、一番自分を成長させられる経験になるからだ。かといってバンドは大幅に経費がかかるので、普段の弾き語りはループマシンで工夫し、バンドライブは年に1度だけ行った。

これらの経験から、3つのことが浮かび上がった。

「音楽活動とお金の三か条」

①初期投資は予算と時間をはっきり決める

メジャーでもインディーズ活動にしても、規模は違えど初期投資なしには何も始まらない。
自分の場合、10年間日本で貯めてきた資金を3年間のイギリス生活に投資したわけだが、もちろん底なしにあるわけではないので、はっきり限度を見極めることが大事になってくる。つまり予算と期間をはっきりと決め、それを過ぎてもリクープできなければ潔く他のオプションを探す。(音楽活動をやめるのではなく、活動形態を変えるという意味)

②「残るもの」に投資する

「残るもの」は物理的なモノ(音源やビデオ)だけではない。「経験」(ライブ、イベント)そして「知識」(学問)もそうだ。音楽活動とは別だが、昨年大学院で学べて、人生を通して宝となる貴重な経験と知識を得ることができた。

「残らないもの」といえば、前述した宣伝費。イギリスには様々な宣伝サービスがある。自分の曲が音楽サイトで紹介されると、営業メールが来る。『月額〇〇でラジオ局に宣伝しますよ』『ソーシャルメディアのアドバイスしますよ』などなど。このような宣伝やコンサルなど、形に残らないサービスを提供する業者には要注意。もちろんプロモーションは音楽を広めるには欠かせない要素だが、収益に繋がる保証はないし、形に残るものでもない。マネジメントも、毎週ミーティングをしてそれらしいことを話し合っても、計画が実績に繋がらないと意味がない。今の時代はコンテンツさえあれば個人でもシェアできる時代。だったら、規模が小さいうちは残るものに投資するべき。形に残っている限り、何年後かに偶然発見される可能性もあるからだ。

③お金に「価値」はない

本当に「価値」のあるものは、経験、チャンス、出会いなど、必ずしもお金で買えるものではない。何よりも音楽や芸術とは、ゼロから何かを創り出すアイデア力だから。どんどん手軽な予算で作品が作れる時代になっている。

例えば、ソダーバーグ監督のNetflix映画『ハイ・フライング・バード -目指せバスケの頂点-』は全てiPhoneで撮影されたという。アイデア次第で、どんどん技術がお手頃になっているのだ。



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