見出し画像

感じきること ②

~融和~


前回の続きです。

お腹を空かせてつらい思いをするくらいなら、何事もぐっとこらえてやり過ごそう…
気持ちにフタをすればいいだけだから…

知らず知らずのうちに生き延びる術を身に着けた前世のMさん。

次に見た重要な場面は、50歳くらい。
あんなに嫌だった「おじさん」のひとりと夫婦となり、ふたりの間にできた息子も20歳くらいに成長した場面でした。

真っ暗な台所で、息子に何度も何度も、胸を刺されていると言います。

なぜ…!
どうして…!

それは、息子の心の声でした。

どうしていつも反応がないの?
なんで愛してくれないの!?
もっとこっちを向いて!!

お前なんている意味がない…!

刺されながらも抵抗することなく、Mさんは「そうだよなぁ」と淡々と受け止めていると言います。まるで息子ではなく見ず知らずの人に刺されているようだ、とも。すごく感情をぶつけられているのに、ごめんねという気持ちもなく「ああ、そうなんだ」と。
そんな凄惨な場面なのに、淡々と語る様子に凄みすら感じます。

首からいっぱい血を流し、ついに息絶えた前世のMさん。魂だけになって
自分の肉体と息子を上から眺めています。

正気に戻った息子はことの重大さに驚き、両ひざをついて何度も何度もむせび泣きながら謝っています。

「お母さんの私を愛してくれていたのに、かわいそうなことをしちゃったな」

「でも、今はとても安らかな気持ち。やっと終わって、とってもホッとしています」
と、Mさんの本音が垣間見えました。


その後、息子の魂を目の前に呼び、ちゃんと向き合ってこられなかったことや、愛情を注げなかったことを詫び、許し合うと、2人の魂は真っ白で柔らかな光に包まれていきました。

この人生を振り返ると、

「制約が多かったし、世界がすごく狭かった。宗教的なことや女性であることとか。解放されて自由に生きていきたい」

「おじさんたちにもひどいことをされたけど、恨む気持ちはない。生きるのに必死だったし…。でも、あんなにひどいことをしなくても幸せになれる方法を見つけてほしかったな…」

と、少しずつ本心を見せてくれるようになりました。

そこで私は、「じゃ、おじさんにそれをぶつけましょうか。その気持ちを包み隠さずに」と、おじさんの魂を目の前に呼びました。


目の前に現れた「おじさん」は、ムスっとしています。
バツの悪そうな感じが伝わってきます。

Mさんが言いたいことを伝えると、おじさんはどんどん小さくなっていきました。

「許してあげる」

とMさんが一言いうと、おじさんはぱっと元気になった様子。
そこで和解の握手をしました。

しばらく光に包まれたあと、私はMさんに聞きました。

「感情をぶつけることについて、まだ罪悪感のようなものは感じる?」と。


そうすると、Mさんの目の前に、違う時代の、別の人格が現れました。

大きな権力を持った、女王様のような強い存在。

画像1

40代くらいで、感情的に振る舞い、周囲を威圧していると言います。
怒り、恐怖心、情熱、そして自分は強いんだという自負。
みんなを負かしてやるという暴力的な感情がほとばしっていると言います。

そこには、「私が国を守っていかなければ」という強い責任感もあるようでした。

塔のように高い城から腕を組んで下を見下ろしているイメージが伝わってきます。


次回はこの女王様のお話です。

つづく。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?