山下さんインターン写真2

【関係人口インタビュー】私が地域に惚れたいきさつ【長野県上伊那郡辰野町】

このインタビューでは、出身やゆかりの地ではないのに、地域に惚れ、地域に根付いていった方々にそのきっかけやプロセスを伺っていきます。
(なぜこのインタビューを始めたかの経緯は以下をご覧ください)

第3回となる今回は、長野県辰野町と東京の二拠点生活をされている山下さんをご紹介します。

都会で生まれ、「地域」に馴染みがなく過ごしてきた山下さん。しかし、大学時代のインターンシップの経験をきっかけに、長野県辰野町に惚れこみ、現在は東京と辰野町での二拠点居住をされています。このライフスタイルに至るまでの経緯や、想いについて伺ってきました。

山下さんプロフ

山下実紗さん
・1993年 千葉県生まれ、大学卒業時まで千葉と東京を拠点に生活。
・もともとは海外に関心があり、大学では外国語学部に進学、大学時代に1年間ブラジルに留学。
・卒業後は政府系貿易機関に2年間勤務。
・2015年より長野県辰野町に通うようになり、2019年より、辰野町へ生活拠点を移す。


山下さんの二拠点生活までの辰野訪問経緯

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辰野町訪問のきっかけ 

 初めて辰野町を訪れたのは、大学時代に町で開催された3週間のインターンシップに参加したことがきっかけでした。翌春に入社する予定の会社が、中小企業を始め、地方や日本全体の活性化に注力している会社だったので、入社する前に「地方で頑張っている中小企業の人たちを間近で見たい、地域を実際に体験してみたい。」という思いを持ち、インターンに参加することを決めました。

 インターンの受け入れ団体は、辰野町で積極的にまちづくりを行なっている一般社団法人で、私はインターン2期生でした。内容としては、「フューチャーセンターを辰野に建てよう」という趣旨のもの。1期生の手によって出来上がり、オープンしたてのフューチャーセンターについて、「どうすれば町の人に愛され、多くの人が利用する施設になるか」と考え、イベント開催などを通してPRしていく活動を、2期生インターンの4人で実行していきました。

信州フューチャーセンター
2016年10月にオープンした、「市民が集い、町の未来について話し合う場」。
市民のためのコワーキングスペースや、カフェ、貸し会議室を備え、月に一度施設前でマルシェも開催されている。

 この活動は当時学生だった私たちにとって難しい挑戦でしたし、実際にその現場で何ができたかと問われても、正直なところ明確には答えられません。でも、受け入れ先の人たちが、私たちに「なにかやってね」と丸投げするのではなく、「経験させてあげよう」という風潮で、のびのびと活動させてくれたことがとても嬉しかったんです。辰野町では、そこにいる全員が生きている感じがして、面白い大人がたくさんいました。大学時代に1年間留学していたブラジルでの経験よりもカルチャーショックが大きかったのが辰野町でした。町にいると、「息を吸っているだけで楽しい」という感覚になることができたんです。

山下さんインターン2

                                             (インターン当時の写真)

 都会で育ってきた私は、「働く=会社に勤める」というものだと思っていました。でも、辰野町には個人事業主や自営業の方も多く、その方々の「日々自分たちがやっていることに自信を持っている姿」や「楽しく生きている姿」がとても印象的でした。辰野町には憧れる人がたくさんいたんです。「その人たちに会いに行きたい」そんな理由から辰野町に定期的に訪れるようになりました。

その後の辰野との関わり

 インターン終了後も、3ヶ月から半年おきに町を訪れていました。初めは、イベントの参加者として訪れていましたが、最終的にはイベントの企画、実行を、同期のインターンの仲間たちと一緒に行いました。例えば、進路に悩む辰野の大学生のために、実際に東京からゲストを呼んでイベントを開催してみたり。町の方々も、たまに⾠野町に帰って来るインターン⽣たちとの関係をとても⼤切にしてくれていました。また当時、⾠野町では、活躍するプレイヤーが段々と増えている時期で、彼らと⼀緒に町の未来を考える時間はとても楽しかったです。

辰野の風景2


 就職後もコンスタントに町のイベントに関わり続け、2018年10月頃に、インターンの時からお世話になっていた辰野町の方に「一緒に一般社団法人を立ち上げないか」と声をかけていただきました。それがきっかけで「一般社団法人◯と編集社」の理事になり、そこから辰野町と東京の2拠点生活が始まりました。それまでは2拠点というよりも、たまに帰省するイメージでしたが、正式に仕事ができたことで、可能な範囲で町に通うようになりました。最初は「副業」という形で関わっていたのですが、2019年の3月に東京の会社を退職し、これから辰野町での仕事をメインに活動をしていく予定です。

「一般社団法人◯と編集社」
「ディレクションや企画、建築、デザインという方法を使って、その人、その企業、その地域の今を際偏見して、再編集(re;vision)する。未来にワクワクする人を増やす」ことをミッションとし、まちづくりを行っている会社。

地域に根づいた理由 

 東京での仕事は、規模も大きく、やりがいやインパクトもあります。その点にも魅力は感じるのですが、やはり大きい会社は、規模が大きすぎて「手触り感」を感じることが難しい。それに、「ワクワクするか」が基準にならない場合の方が多いので、そういうところに対する葛藤がありました。もっとどっぷり地域に関わったり、自分がプレーヤーとして仕事ができるフィールドに行きたかったので、辰野町に行く決意をしました。
 今まで東京8割、長野2割で生活していましたが、今後東京2割、長野8割になっていく予定です。本当は5:5くらいにしたいのですが、先ずは辰野町で家を借りるので、町での生活を固めます。

東京にも拠点を残す理由 

 東京にも拠点を残す理由は、東京での仕事や暮らしも好きだからです。東京で
は、街や⼈を通しての雰囲気、トレンドなど、勉強になることがたくさんあり
ます。
 現在、東京のソーシャルバーで⽉⼀店⻑を 1 年半くらいやっていますが、その
ような場で、東京の⼈々に⾠野を紹介できる機会も多いんです。東京と⾠野の両⽅に拠点を持ち、それぞれの場所での出会いを⼤切に繋げていくことが、⾃分を活かせる⼀つの⽅法なのではと思っています。

辰野町に関わり続けることへのモチベーション

 学⽣の時にインターンシップで関わるまで、⾠野町という名前も知りませんで
した。たまたま出会った⾠野町ですが、そこには⽣き⽣きと⾃分を活かして働
く⼈がたくさんいました。都会と⽐べたら限られたリソースではあっても、「な
いなら、つくればいいじゃないか」という精神で挑戦している姿は衝撃的で、
今も忘れられません。この⾠野町での学⽣時代の 1 ヶ⽉は、⼤⼈になること、
そして未来への希望を与えてくれた時間だったと感じています。
 今もその⼈たちといると、ワクワクして「何か⼀緒にしたい、つくりたい」
いう気持ちが湧きあがるんです。

辰野現在

(山下さんが所属する「○と編集社」が主催した、トビチマーケットの様子。山下さんがプロジェクトマネージャーを務めた。トビチマーケットでは、シャッターが多くなった商店街の空き地空き店舗16箇所を使って、全国から54のお店が集まり、4000人の参加者が来場した。)

編集後記

 山下さんが、初めて辰野町を訪れたのはインターンに参加した大学時代のことでした。そこで、辰野の大人たちの働き方や価値観に影響を受け、その姿に憧れを抱き、インターン終了後も、町に通い続けることになります。
 社会人になる前の「学生」の期間に、憧れる大人たちに出会えたことは、山下さんにとって、その後の生き方の指標となる経験だったのでしょう。山下さんと共にインターンに参加した4人中3人が、現在、辰野で仕事をされているそうです。
 地域に関係人口を生み出していくためには、その土地に、「憧れや、尊敬できる人がいる、自分を表現できる場がある」といった、「そもそもの地域コミュニティの魅力」がある上に、「地域で活躍する人と出会える場」が用意されていることも、重要な要素となってくるのではないでしょうか。




住民の想いを活かして、関係人口を増やしていくまちを一緒に作りませんか?

リディラバ では「住民の力で関係人口(移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域や地域の人々と多様に関わる人々)をつくる」ことを目指し、地方自治体・地域のみなさまと一緒にツアー企画、催行を行なっています。
(過去取引自治体)
福島県南相馬市、兵庫県香美町、長野県信濃町、広島県世羅町 等

リディラバが地方自治体に提供する価値:

①地域住民の主体性の向上
住民対象のツアー作り研修「たびづくりスクール」を企画。ツアー企画を通じて地域の魅力を再確認してもらうことで、参加した地域住民が、地域課題解決の新たな担い手として活躍していくきっかけを作ります。

②関係人口の創出
地域住民が企画したツアーを実現するため、リディラバが地域外に向けて参加者を募集。ツアー当日も同行し、参加者が住民の想いに触れ、その地域へ深く関わる関係人口となっていくサポートを行います。

③ツアー企画を自走するためのノウハウ委譲
将来的に重要なのは、地域の力のみで関係人口を生み出していくこと。リディラバが蓄積してきたツアー企画・コンテンツ作成ノウハウを、複数年かけて地域住民や地域の団体等に委譲し、ツアーが自立的に生み出せる地域づくりを目指します。

詳細は以下URLよりご覧ください。
http://bit.ly/2X3yIPw

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