貸家をゴミ屋敷にされた挙句家賃滞納された話~その2

貸家が空き家になるピンチは免れ、一段落ついたとたんに家の仕事を手伝うことになり、平日は普通にフルタイムで働き、休日は車で40分ほどかけて移動の挙句半日拘束の毎日が始まりました。家の仕事なのでしんどくはなかったですが、とりあえず時間が拘束されるのが大変でいろんなことが後回しになりました。
4月に家を貸してから年最初のうちは確認できていた家賃の振り込みが年末までほぼ未確認で、しかしまさか家賃滞納されているとは夢にも思わず、年末に通帳を確認したらところどころ抜けているのを見つけ愕然としました。
早速仲介業者に連絡して確認してもらったところ、うっかりしていた、来月にでも振り込む、と連絡がありました。

計算したら3か月分、けっこうな額だし年末に一度に払うのは大変だと思ったので少しづつ月々の支払いに分けてくださればいいですよとお伝えしたのですが全部払うの一点張り。年明けに二か月分まとめて払われていたのを確認したものの、翌月にはその月分すら振り込まれず結局元に戻り、再び仲介業者に連絡したらやはり払うの一点張り。
その言葉をひとまず信じるものの、翌月、つまり3月には再び振り込まれずマイナスが増える始末。4月で契約更新でこちらはサインしてしまっていたので、業者はのらりくらりとしてあてにならないので直接家に行ってみることにしました。
後で聞いた話では、入居者の男性は離婚する際その業者を通じて家を売っていたらしく、業者的にはたいした利益にならない借家の仲介などより大事なお客さんだったもよう。そうはいってもこちらも慈善事業ではないのでこのままではいられません。

そして半年ぶりくらいにその家に行ってみて愕然としました。
その家はだだっ広い荒れ地の中の10坪ほどの平屋でしたが、家の中いっぱいにものが詰まっているのが玄関越しにでも見える、台所の窓にコーラの空きペットボトルがずらっと並んでいる、トイレの窓が割れている。そして空き地の部分には事業所で出るようなごみと普通に生活ごみも山と積まれている。とても人が住んでいるとは思えない有様でした。しかし車が止まっていたので多分賃借人は中にいると思い、インターホンを何回か鳴らしてみても誰も出てこず、まさか中で亡くなっているのではと思い合いかぎを使って入ろうとしたところでようやく戸が開きました。

時間は昼前でしたが眠そうに出てきた作業着姿の入居者の男性は、契約時の身分証の写真とはずいぶんと変わってしまっていました。まずかなり太られていて、髪は伸びて真っ白、すこし禿もみられる。短い黒髪に細身の写真からはほんの少しの面影を残すだけで別人のようになってしまわれていました。窓に並んだコカ・コーラのペットボトルが脳裏をよぎり、50代半ばで離婚されていて、これまで自炊なんかしてこられなかったはずで、まして健康管理なんかできるわけない。見た目の太り方、老け込み方から言って糖尿病や高血圧の既往症があってもおかしくなく、脳梗塞や心筋梗塞を起こしかねない、そうなったら自営業のこの方はこの家で孤独死しても誰にも気が付かれない、と瞬時に思ってしまい、家主であることを名乗った後に原状回復の上退去してほしい旨を告げていました。

家主としては、入居していただいたらよほどのことがない限り長く入っていただきたいものです。このケースも家賃さえちゃんとしていただけたらできるだけ話を聞くつもりでしたが、家とご本人の有様を見てもうそれどころではないと思いました。なんて人を紹介してくれたんだという業者への思いや、ちゃんと出て行ってくれるのか、あのごみはどうなるのか、いろいろな思いで頭がぐちゃぐちゃになり家賃だけで悩んでいたのが全然ましに思えてしまいました。

続きます。

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