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会然TREK 2K20▲03と賢さ

3月13・14日 Zepp Tokyo 開催予定の
会然 TREK 2K20▲03は、
改めて関係各位との相談を重ねたうえで
予定通り開催とさせて頂きます。

3月12日 公式HPでのみ発表された開催告知だった
残業中の会社のトイレにて喜びで震えた

コロナウイルス感染拡大予防を講じ、色んなアーティストのライブがことごとく延期・中
止となっていくのを見てきた
ライブ開始時刻直前に中止を発表したアーティストもいた
Twitter ではライブを敢行したアーティストに「非国民」という言葉を浴びせる人を見た
感染してもファンの自己責任という問題でもないからライブをやるべきではないと主張す
るアーティストもいた
ライブハウスがウイルス感染拡大の温床だと名指しで報道された
とにかく、様々な見解・お節介・事実・偏見が渦巻き、
私の初ライブ会然 TREK 2K20▲03が近づくにつれて開催が危ぶまれる情勢となっていく
のがわかった

それでも私は平沢進を見ることを諦めることは出来ず、ライブ中止のお知らせに日々おび
えていた
感染や感染してしまった後の周囲からの目が全く怖くなかったわけはないが、
それよりも平沢進のライブに行きたい気持ちの方が強く、頼むから行かせてくれ…!という気持ちだった

開催前日になっても更新されない平沢進・核P MODEL ライブ公式 Twitterを何度も確認

何かがおかしいと公式 HP にアクセスするとあっさり開催の決定が告知されていた、受動
的な自分が恥ずかしくなる
Twitter を避けて本当に情報を求めている人しか辿り着けないように出された開催告知
感染者が出るリスク・誹謗中傷に遭い面倒事が増えるリスクがある中で
ライブを中止とするのではなく、人によって「行く」「行かない」という選択肢を与えられ
たこと
本当に求めているものは「自分で探して、自分で選べ」と言われているような気がした。
ライブの開催告知ひとつでこんなに高度なコミ ュニケーションが取れるのは平沢進くらい
のものだろう。
(私は拡大解釈推進大臣なので何言ってんだと思っていただいて大いに結構です)

初めて平沢進のライブに行けるというだけで十分なのに、
行けるかどうかずっとわからなかったライブについに行けることが確定したというトッピ
ングまでされて
無事、会然TREK 2K20▲03初日公演を迎えた

3月13日は春らしい天気のいい日で
タ方まで友人と近所のカフェでお茶をして河原を散歩して別れ、
いよいよライブに向かう時、
これから本当に平沢進のライブに行けるんだともうすぐ地下に潜る電車から美しい夕日を
見ながら
腹をくくるような気持ちで、26年生きてまだこんな日が来るのかと思った時のことは忘れ
られない

会場に着く頃Youtube 配信は機材トラブルのため中止、と発表された
宅オを楽しみにしていた馬骨の皆様を思うと胸が痛かった
止まった観覧車がコロナの影響を思い出させた
お台場はいつものお台場じゃなかった
とにかく、この非常事態の中でヒラサワを見られることになった奇跡で改めて胸がいっぱいだった
(ちなみに6月現現在、Zepp Tokyo で最後にライブをやった人間は平沢進でした)

いよいよ私の初ライブはSPEED TUBEで始まった
ライブについて覚えているのはなんとなくの曲順くらいのもので、
その時その時を見逃さないようにすることに精杯だった

初めて生で聴いた平沢進の声は「聴く」というより 「浴びる」、場合によっては「食らう」
という表現の方がふさわしい
美しい高音は体中の毛細血管にまで染み渡るようだったし、
鬼気迫るシャウトは上から何かを叩きつけられたような抗えないものを感じた
高台からマントラアァー!!!!とかこれでよし!!!!とか神のメソッド!!!!とか言われると
ああこの人には絶対に逆らえないな、、と瞬時に脳が理解するような声

ひときわ、記憶に残っているのはヒラサワの立ち姿だった
スタッフ、観客のほぼ全員がマスクを着用し
ステージ上ですら会人、ドラムのユージ・レルレ・カワグチも顔を覆う中(これは元々衣装
だけど)
ヒラサワはただー人いつも通りの姿で堂々とステージに立っていた
華奢というかあまりにも細いのだが、立ち姿の品がよく重力を感じさせないような綺麗さだった
人類が滅亡して地球にただ一人になってもあんな風に静かに美しく佇んでいてほしい

あっという間に1時間半の公演は終了し、感想を共有できる人もいない私はあっさりと足
早に家へ向かった
電車に乗るときはだいたい音楽を聴いているが、
なんだかもったいなくて何も聴かなか
った

ライブ終了直後は心が静まり返って開演前の興奮からは予想もつかないほどあっさりとし
た気持ちだったが
翌々日、好きなアーティストの歌詞をプリントの裏に書く高校生の頃のように
仕事中突然紙にどうしても丁寧に「平沢進」と書きたい衝動に駆られる
ライブのことを思い出そうとしても思い出せずもったいない気持ちと焦燥感で枕を濡らす
など
どう考えても普通ではない状況に陥り、
自分で思っているよりもライブを通じてさらに平沢進が好きになったんだと気が付いた

私の脳は平沢進という存在に対してキャパが足りず、
いつも感動が数日後にやってくるようだ

こうして、どんなにしょうもない情報さえネットニュースに載ってしまう時代に
特に大きく騒がれることもなく平沢進は Zepp Tokyo という都内最大級のライブハウスでの2
日間のライブを完遂した

私が思っている以上にヒラサワの世間一般への認知度は低いのだろうということを加味しても
これだけインターネットが普及し、規模の大きなライブをすれば袋叩きにされてしまうよ
うな情勢の中で本当に何もなかった

馬骨は異様にネットリテラシーが高い集団なのだとつくづく感じた
Twitterフォロワー数 21万人(3月当時)と普段全くステルスしていないヒラサワは大事な場
面で見事なステルスメジャーっぷりを見せた
後日、馬骨はルリムスカリの写真と一緒に 「オマエタチも割とやるもんだな」 と褒められ

ヒラサワと馬骨の信頼関係は並大抵ではない

私は初日しか参加していないので残念ながら聴けていないのだが
2日目に演奏されたコヨーテでヒラサワは「もっと賢く逃げていただく」と言い放った。
それはもう無駄に精神を蝕むくだらない色んな事から、
ヒラサワと馬骨はこの会然TREK 2K20▲03において驚くほど賢く逃げ切った
うっかり「コヨーテ」だけがトレンド入りしたというオチも含めて完壁だった

自分で探し、自分で選び、賢く逃げろ

今のような非常事態下でも自分自身のまま十分に生きていくための術を示してくれた気がする
願わくば、賢く逃げ切った先でまた平沢進を観たい

会然TREK 2K20▲03初日公演のヴァーチュアルラビットで 「遠くコロナも届かない」 と
歌った時以外、
平沢進は今日まで一度も 「コロナ」 という言葉を私たちに浴びせていない

ヒラサワはいつも粋で無敵だ

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