婚活女子はデスゲームを踏破する

今日のワイドショーも、高校生の集団失踪の話で持ち切りだった。


今月だけで18件、全国各地の高校が校舎ごと消失する事件が頻発してる。

中にいた生徒や教師もまるごと消失、数日で校舎ごと帰還するケースもあれば、何ヶ月も帰ってこないケースもある。


そして戻ってきた校舎のほとんどはボロボロに破壊され、生徒は皆一様に返り血を浴び、死んだ目つきで『仮面の人形に殺し合いをさせられた』『バケモノに襲われた』『荒れた未来に飛ばされた』とうわごとの様に呟くばかり。

信じられないかもしれないが、この国では今デスゲームとやらが頻繁に行われているようだ。
アタシも先程まで半信半疑だったけど、こうして赴任先の高校も転移してしまった以上、この異常事態を速やかに鎮圧しなければならない。

「とはいえ、アタシに出来るかな…たった一人で」



アタシは着慣れた警備会社の制服に身を包み、割り当てられた部屋のロッカーから拳銃を取り出す。

長く伸ばした金髪をヘアゴムでくくり、戦闘態勢は万全だ。



聖ゴルゴダ学園、新人用務員。
上地・アリソン・チキンバスケット(34)。

今年で三十路も終わりだし、いい加減こんな仕事から足を洗いたい気持ちはある。
だが仕事は仕事だ。密命により、全校生徒と教師たちの護衛にあたる。

「この学校にはいい男がいるといいなあ」

……言うまでもなく、あくまで身辺警護のことである。
ええ、下心なんて一切ございませんことよ?


【続く】

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