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【ミュージカル】『ローマの休日』を観て当たり前のありがたさに涙した話

Rickyです。

今回は(も?)長文です(笑

RENTカンパニー、第二報がでましたね。再検査の結果、陽性の方が増えた模様。
私が観劇したあの日、元気にステージに立っていたキャストの中にも、です。
もう、ホントにお気の毒としか。。。😭
みんながみんな症状があるとは限らないでしょうが、どうぞお大事に。

23日の再開は、なかなか難しいのではないかという気がしますが、今後は、東宝が、どう腹を括るかが注目されると思います。『コロナ出た→打ち切り』という脊髄反射みたいな対応だけはやめてほしい。今後のエンタメ業界のためになるような、時代を切り拓く意思決定をして頂けますように。
祈る事、願う事しかできませんが。。


さて、気のせいと言われればそれまでですが、振り返ってみると、人生の重要な局面には、必ずミュージカルが寄り添ってくれていると思っています。勘違いかもしれないし、もしかするともはや宗教観に近いレベルの心の持ちようなのかもしれないし。

人にはそれぞれ、心の拠り所があります。

それがミュージカルだっていいじゃない!

というわけで、観劇記録をちゃんとどこかに書き残そうと思い立ったきっかけは、先月観た『ローマの休日』でした。

『ローマの休日』公式サイト

⭐︎東京は終演しておりますが、この後、名古屋、博多と地方公演があります。

『ローマの休日』は、東宝の制作によるミュージカル作品です。題材は、かの有名な映画『ローマの休日』ですが、曲も脚本も、日本で作られた作品なのです。
ストーリーは、ほぼ映画と同じ。あの世界観がそのまま舞台で再現されます。

大きなお屋敷も、ローマの街中も、イタリアの陽気な人々との交流も、そのまま。
王女さまの一夜の冒険と成長の物語です。

で、ミュージカルを海外から持ってくるのではなく、日本で作るって、なにがそんなに違うの?って思う方もいるでしょう。そりゃもう大違いなんです!

ひとつ例をあげるなら、曲が日本語に合わせて書かれてます。当たり前です。
これが、ものすごく大きい。

近年、たくさんのブロードウェイミュージカルが日本で上演されていますが、訳詞が上手くいってない作品は、案外と多いものです。
楽しみにして行って、翻訳でがっかり。。。という経験は、ミュージカルファンなら必ず1度や2度では済まないはず。
業界的に、大きい声で言っちゃいけないやつかもだけど、はっきり言います!

翻訳、舐めるな。

閑話休題。翻訳をかましてない『ローマの休日』に関しては、つい口ずさんでしまうほど、曲が心地いい。それは日本オリジナルだから、音符と言葉がぴったり合っている、というのが大きいと思います。

ちなみに作詞は、斉藤由貴さん。
彼女の紡ぎ出す言葉たちは、時に情熱的に、時にコミカルに、素朴で飾り気がないのに、心にしっかり届いてきます。

本作品、もうひとつ特筆すべきは、帝国劇場での公演って事。
帝国劇場の舞台は回転します。
奈落も広いし。

いろんな仕掛けがやり放題の劇場なんですね。

というわけで、王女様が屋敷から抜け出すシーン、回る舞台を存分に使った演出で、素晴らしかった。
美術さんの力作!

どうやら、地方公演では、劇場の設備の関係で、異なる演出になるようです。
ですので、あの演出で観られるのは帝劇だけ。
ご覧になった方はラッキー♪

ローマの名所を再現した、数々の舞台美術も見どころ。
今、おいそれとローマ行けないしね。
アン王女に、ローマ観光に連れて行ってもらった気分でした😊

さて、メインの3人のキャストは、ダブル。
私が観たキャストはこんな感じでした。



朝夏さんは、安定のアン王女。
物語前半のおてんばな感じも、ローマの街を好奇心いっぱいで冒険する様も、後半の自分の生きる道をしっかり自覚するに至る心情の表現も、どこを切りとっても完璧でした。
アン王女の気高さと天然な感じのバランスも絶妙。
実年齢は役柄に対して上だから、どうなるかなと思ったけど、いやいや可愛い。めちゃ可愛かった。

宝塚の元男役さんは、ほんとに芸達者さんが多いです。

加藤和樹さんは、すらっとした風貌が、朝夏アンとのビジュアルバランス最強。
でね、映画版よりもちょっとチンピラっぽいスパイスか効いていて、個人的には、かなりツボでした。
そうなのよ。ジョーは、基本はチンピラなのよ(笑
記者としてスクープを取りたい理由は、1番にお金、けして名誉じゃないタイプなんだから、腹黒というか、チンピラというか。

でも、その一方で、どこかワルになりきれない品の良さが見え隠れしちゃう。きっとお育ちがいいんだろうなぁ。ふつうにインテリで。自分でもダッサいなと思いながら、そんな自分も嫌いじゃない。

そんな事は、セリフとしてはまったく仰らないですけど、雰囲気で醸し出していらっしゃった。
そこそこ敏腕っぽいのに、イタリアに飛ばされて、クサクサしてる(?)記者。しかも独り者っぽい。どんな人生を歩んで来たの?と、なんだか気になる大人の色気。

世間知らずの王女様が、恋に落ちるのも当然。

ま、つまりイケメンって事です←まとめが雑すぎ🤣

ぜんっぜん違うタイプの役で、またお会いしたいなぁ。
コメディとかも合う気がする。

そして、藤森アーヴィング。
この方、ものすごく真面目で、勘の良い方なんだろうなぁ、これに尽きます。

思いきった配役だし期待していましたが、期待以上に熱演でした。
芸人さんですから、セリフ回しはお手の物。

歌やダンスは、技術で言ったらカンパニー最低レベルだったのかも知れませんが、でも、雰囲気を掴むのがお上手で、遜色なく見える。
ちょっとしたしぐさ、歩き方、身体の使い方、視線の使い方が、ベテランの舞台俳優さんにも引けを取らない。

最後に、各国の記者がアン王女に接見する場面では、王女の前に進み出て、挨拶をする仕草が、記者役の中でダントツにアメリカーンでした。
他の人は、みんな、日本人だったよ。。。😅

本気でレッスンしたら、いいミュージカル俳優さんになるだろうなぁ。そもそも良い声だし。
なんて妄想してました。
余計なお世話かしら💦

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この『ローマの休日』は、劇場での観劇としては、実に3ヶ月ぶりの事でした。
その間、動画や、生配信などで、わりとちょいちょいいろんな作品に触れてはいました。
むしろ、こういうご時世だからこそ、画面越しに色んな作品に触れる機会が、格段に増えたし。

ところが、配信でいっろんな作品見たはずなんだけど、なんだか印象に残ってない。
よくできた作品もあったし、『あー、やっぱ生じゃないとな』とがっかりした作品もあった。。。気がする。

「ローマの休日」は、実はものすごく好きなジャンルのミュージカルかと言われると、実はそうじゃないんです。
でも、ご縁があって観に行かせて頂いて、ほんとにハッピーな時間を過ごす事ができた。
好きなジャンルの作品を、オンラインで10本観るより、「ローマの休日」一回の方が、ずっとずっとステキだった。

「生で舞台を観られる」という事はすごい事なんだ!

2歳半から劇場に通ってて、こんな当たり前の事に、今更気づくなんて!

「ローマ休日」の名シーンといえば、アン王女が一夜の夢から覚め、屋敷に帰っていくシーン。
ジョーは何も言わずに、ただ見送る。
駆け落ちしちゃうとか、告白しちゃうとか、なんか劇的な事が起こるんじゃないか、と観客は期待するけど、起こらない。
ただ2人は、出会う前の厄介な日常に戻っていく。。。

って思って、今まで観てました。

でもね。2人が戻って行ったのは、単なる出会う前の日常ではなく、出会ったからこそ自分で選択した未来、自分の手で掴んだ未来なんですね。

同じ日常なんて、ないんですよ。たぶん。
戻れないんです。人生は!

つまり、戻る先にあるはずと思ってた当たり前の世界なんてないんです。
ほとぼり冷めたら、また今まで通り、観劇が楽しめると思ってたけど、そんなわけはなくて、突きつけられたのは、「劇場で生の舞台を観られるのはすごい事」という新しい当たり前。

この当たり前な事に感謝するために、公開の場所で書き残しておこうと思います。楽しんで観劇して、そのワクワクを伝えていければと思っています。

それが、私の選択した未来につながると思うから。

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