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学生を留年させてしまった!(教職課程理解の重要性)

最近あまり大学職員っぽい記事を書いていなかったので、今回は大学職員のより具体的なお話をしようと思います。専門的な個所も多少出てきますが、基本的には何も知らない方でも理解できるようなお話しです。
タイトルからちょっと不穏な空気が漂いますが、気軽に読んでください(笑)


①私の現在の業務

私は4月に転職してから前職同様に教務課で働いています。業務内容は前職では一人で幅広く担っていたので、現職でもおおよその業務の理解はできています。ただし、その中の業務の一つに「教職課程」があります。これに関しては前職でもあったのですが、ほとんどタッチしていなかったので、現在勉強しながら業務にあたっています。今回はその教職課程にピックアップしてお話ししていきます。

②「教職課程」とは

教職課程と聞いて、皆さん何のことか分かりますか?
これは教員になるために必要な教員免許を取得するために履修する課程のことです。つまり、教員になりたい、または教員免許を取りたいという人はこの課程を履修しなければいけません。通常の科目履修とは別に必要な教員免許のための課程、ということです。
教職課程は教員免許別に課程が分かれています。幼稚園からはじまり、小学校、中学校、高校、特別支援、養護学校といった形で分かれています。更に中学高校では科目別にも分かれています。それぞれの大学でどういった教員免許が取得できるかは、その大学の学部学科が認定されている教職課程によるので、それぞれの大学で調べてみてください。ちなみに保育園については「保育士資格」といって教員免許とは別になります(管轄が教員免許は文部科学省、保育士は厚生労働省と分かれているからです)。

③教職課程への理解

先ほどお伝えした通り、教職課程は通常の卒業に必要な科目とは別に、教員免許取得のために必要な科目があります。そのためどういった科目が免許取得のために必要なのか学生も職員も理解しておく必要があります。
(余談ですが、「教員」は「教育職員」の略称だと最近知りました。)
まずは学生。学校で行われるガイダンスへの出席はもちろん、配布される資料で自分に関係のある個所はしっかり理解する必要があります。特に必要な単位数とどの科目が教職課程に必要なのかは最低限把握しておかなくてはいけません。また、分からない、理解に自信が無い場合は遠慮せずに教職課程担当の職員に質問してください。
職員については大学の認定されている教職課程について理解し、学生や教員から来る質問に答えられるようにならなくてはいけません。特に法令根拠まで理解できれば100点ですが、なかなかそうもいかないのが現実です。だいたいが過去の事例を参照に回答しています。質問の内容もすぐに答えられるものから文科省や教育委員会に問い合わせが必要なレベルまで様々です。それがどこの誰に聞けばいいのか、そこを理解することが教職課程担当者の第一歩となります。

④教職課程を正しく理解していないと・・・

ではこうしたルールを理解していないとどういったことが起こるのでしょうか。
学生が理解していなければ、教員免許に必要な単位が足りず免許授与資格が無い、ということになります。それはまだ大学内で指導できる範囲です。
問題は職員側の理解ができていないケースです。以下の記事は過去に大学が何かしらの誤りにより教員免許の資格が無かったにもかかわらず免許を授与してしまい、後になって問題になったケースです。

おぉ・・・なんとおそろしい。教員免許の取り消しや卒業してから補講を行うなど、想像しただけで (´・ω・`) こんな顔になります。
学生の理解不足は学内だけで収まりますが、職員の理解不足は全国紙レベルのやらかしになるので、本当に大変です。
だからこそ細心の注意を払い、日々教職課程に対してアンテナを張って理解に努めることが必要です。

⑤実際に学生を留年させてしまった・・・

さて、ここからが今回のメインディッシュ。不穏なタイトルのお話しです。
前職では幼稚園教諭の教職課程があり、ほとんどの学生が幼稚園教諭の免許を取得します。つい数年前に再課程認定といって教員免許に関する課程認定について大きく変更がありました。当時、教職課程のある大学はどこもこの対応に追われていました。以前いた大学も同様に追われていました。私はそこでは教職は担当していなかったので、特にタッチすることはありませんでした。
あまり専門的な話をすると小難しい話になってしまうので詳細は省きますが、この通称「再課程認定」と言われる再編は、卒業した後に教職に必要な科目だけ取る、という場合複雑な対応が必要になります。こうしたルールの境目の年度で確認が必要であったにもかかわらず、当時の教職課程担当者は確認を怠り、従来のルール通りで今回も行けると思っていたようです。しかし、ふたを開けたら従来とは違い、今回はそれは通用しませんでした。
その学生は専攻科という+1年して資格を取得するコースに進んだのですが、そのルールが通用せず本来であれば1年で修了する所をそのせいで1年留年し、2年掛けて修了しました
こんな話普通裁判沙汰になるだろ、と思っていたのですが、どうやらあれやこれやと保護者含めて丸め込んだようで結局何もなく普通に留年して2年掛けて免許は取得しました。
そしてその確認を怠りミスを起こした職員には何もお咎め無し。私は釈然としないままその学生に同情していました。


まとめ・おわりに

いかがでしたでしょうか?
今回は教職課程にピックアップしてお話ししてきました。
こうした現場を目の当たりにしたからこそ、現在教職課程を担当している身としては責任をもって日々学び、教員を目指している学生のサポートができるよう精進しています。
何よりも大学の職員は学生のために働いています
今回の記事が大学職員を目指す人たちのために少しでも貢献できれば幸いです。

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