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太平洋戦争の原因は (1870文字)

 私が小学校の終わり頃に読んだ本に「日本はなぜ太平洋戦争をはじめたのか、と聞かれればそれは日本がバカだったからだとしかいいようがない。」という一文がありました(以下「開戦原因バカ説」といいます。)。

 最近も自民党が与党でありつづけることについて、その原因を「日本人が劣等民族だから。」(以下「日本人劣等民族説」といいます。)と言った自称ジャーナリストがいたとネットで知りましたが、今振り返ってみると「開戦原因バカ説」は「日本人劣等民族説」と似たようなものだったなぁと思います。

 後者の「日本人劣等民族説」は、自称ジャーナリストが、めっきり数が減った左翼の仲間内で強がって言っている感が強いのと、客観的証拠がなにもない点で非科学的であり非論理的であるところから「マルクスが墓の下で泣いている。」感がひしひしと感じられます。
 私は、その自称ジャーナリストに日本人全体をバカにした責任は取ってもらいたいと思いますが、所詮劣等な左翼ジャーナリストがはしゃいで言った戯言(たわごと)として軽く扱えます。真剣に考えません。

しかし、前者の「開戦原因バカ説」の方は、当時の私には重く感じられました。その当時の私は太平洋戦争史をほとんど知らず(知っていたのは、映画『トラトラトラ』で描かれた真珠湾攻撃のことと、沖縄決戦それに核爆弾投下の事実くらいでした。)、学校の先生もその多くが教職員組合に入っており、授業中公然と反日的発言を行っていたので、半(なか)ば「そうなのかな。」とぼんやり思っていました。共産主義思想に洗脳される入口近くにいたのかもしれません。
 でも、自国を悪く思いたくないという強い気持ちがあるわけでないので、吉田拓郎や井上陽水といったフォークソングやミッシェルポルナレフに逃げ込んでいました。完全な現実逃避です。
 気晴らしにと深夜放送の『パックインミュージック』も聞いてはいましたが、たまにパーソナリティの野沢那智さんが左翼的発言をすることがあったので、だんだんと縁遠くなっていきました。はっきり言うと、そういうのは面倒臭かったのです。何か自分の意見を言いたい(ハガキにかいて送りたい。)と思いはしましたが、「自分の意見を言いたい。」と強く思うだけで、それを文章にする技術も知識もありませんでした。

 そういう気持ちが長期間続きました。それはずっと喉の奥に魚の小骨が引っ掛かっているような、傷とも気のせいとも言えないものでした。

 それからかなり経ち、多種多様な本を読む生活を続けていると、いろいろな知識を得るようなりました。
 そして、「開戦原因バカ説」の人は太平洋戦争の中間期以降のアメリカ軍が圧倒的物量と高い工業力によって日本軍を徹底的に攻撃してきた時期の先頭記録に過剰に反応し、アメリカの強大さに恐れおののき、「この圧倒的軍事力を持つアメリカに挑戦すること自体、バカがすることだ。」と結論づけたのだろうと思うに至りました。

 太平洋戦争やそこに至る戦役で日本は数多くの成功と失敗をしでかしていますが、それは欧米諸国も同様で別に日本が彼らから特別責められる謂れ(「いわれ」 理由)はありません。
 逆に、欧米諸国が植民地にどういうことをやったのかを考えれば、「どの面(つら)下げて『自由とか平和とか平等』って言ってんだ。」と思わないではありません。

 話がそれてきましたが、現在私は「日本は人種差別的いじめにあったがゆえに対米開戦に踏み込んだ。」と理解するに至っています。
 戦後、演劇界や映画界それに言論界と教育界には左翼的人間が多くいたので、しきりに終戦前の日本を悪く言っていたのだろうと思います。この状況はつい最近まで続いているので、テレビも新聞も古色蒼然とした左翼論調です。映画は若い監督がでてきたので少し変わって来たかもしれません。演劇は縁がなくて行けていないので、変化があるのかどうなのか分かりません。教育界は、私が大学の頃はまだマルクス主義の残滓(「ざんし」のこりかす)がありました。

 なお、前述の「人種差別的いじめ」ですが、アメリカ、イギリス、オランダが日本に貿易圧力を掛けてきたのはまだ理解できます。白人の国ですから。
 でも「ABCD包囲網」のCは中国です。
 つまり、中国人は有色人種なのに、白人とともに日本に対して人種差別的いじめを行っていたことになります。

 12月8日の開戦の日までまだ3か月ありますが、「またテレビでは日米開戦の上っ面を撫でるような番組が放送されるのか。」と思うとげんなりします。

#太平洋戦争 #ABCD包囲網

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