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馬車から自動車へ (1449文字)

  西洋の馬車にエンジンを搭載したのが自動車の起源なんだろうと思います。
 馬をエンジンに置き換えるという発想はすぐ湧いたのだろうと思います(もちろんエンジンの発明には大変な努力と苦労が必要だったと思います。)。

 一方、馬車の馬が引く部分(人が乗る部分。キャビン cabin (小屋、個室))の役割に注目してサスペンション(懸架装置)を作り出した人の慧眼にも頭が下がります。

 エンジン出現前の馬車を映画で観ると、車輪が四輪の場合、前輪は角度が変わり方向転換が容易になる工夫があったり、前後輪にリーフ(leaf)式の板バネが付いているものがあります。少し現代の自動車に近い感じがしますが、前輪の仕組みは次の通りです。
 右前輪と左前輪を繋ぐ車軸が一本あって、その真ん中あたりに一箇所馬車と繋がっていてそこを支点にして両輪が回転するという仕組みで、源田いん自動車とは違いかなり簡単な仕組みです。馬が右に行こうとすると右前輪は少し後退し、左前輪は少し前進し馬が進む方向への車輪による抵抗を少なくする作用があります(御者が前輪を操舵することはできないようです。)。

 リーフ式のバネは、車輪間を結ぶ車軸と馬車の車体間に装備されちる板バネで映画で見る限り木製でした。それでも、バネがないときに比べると、乗り心地はかなり改善されたことでしょう。

 木製の車輪がゴム製のタイヤになり、おそらくそれとほぼ同時期にトーイン、キャンバー、シャスターといった車輪取り付けと走行性能との関連性が発見されていったのでしょう。
 また、自動車は一般的な乗り物の中で珍しく旋回時にキャビンが円の外側に傾きます。自転車やオートバイ、モーターボートなどは旋回時に円の内側に傾きます(自転車やオートバイは傾けるというべきでしょうか。)。
 この自動車の特性に着目してキャビン(というか車体)を安定させるための車輪取り付け方式も進化しています。レーシングカーで使われているダブル・ウィッシュボーン・タイプ・サスペンション(double wishubone type susupenshion)が有名です。プラモデルを作る方なら「あああれ。」と思われるでしょう。

 なお、やはり映画で見かける自動車ですが、タイヤのホイールキャップの周りに沿って白くて太いドーナツ上の円が描かれているのがあります。ホワイトリボンタイヤといいますが、あれはタイヤが日光等で過熱するのを防ぐ目的があるのかと思っていたら、装飾なんだそうです。ゴム製のタイヤが登場した当時、人々は黒いタイヤに慣れていなかったので、違和感を緩和するために装飾したそうです。意外でした。

 自動車で革新的進歩が見当たらない装置としては、ブレーキがあります。
 最も大きな進歩は、ドラムブレーキ(drum brake 鼓状ブレーキ)からディスクブレーキ(desc breke 円盤ブレーキ)への転換でしょうか。ディスクブレーキは航空機のブレーキの転用で、自動車が独自開発したものではありません。
 ブレーキは、ドラッグスター(dragster)のブレーキ用パラシュートを別にして、対外は車輪とともに回転しているものを押さえ付けて摩擦で回転を遅くしてさらには止めようとするもので、運動エネルギーを熱エネルギーに転換しているわけですが、この性能向上にはタイヤの数を多くしてブレーキ数を増やす他ないのでしょうか。
 そうなると、『キャプレン・スカーレット』の追跡戦闘車みたいになりそうです。
 そうなると、あれだけのたくさんのタイヤの維持費用が大変ですね。

#創作大賞2024 #オールカテゴリ部門 #馬車 #自動車

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