さ、ひっくり返そう

2020年、そごう・西武の正月広告を覚えている人も多いと思います。
一読するとネガティブな文章が続いてます。

大逆転は、起こりうる。
わたしは、その言葉を信じない。
どうせ奇跡なんて起こらない。
それでも人々は無責任に言うだろう。
小さな者でも大きな相手に立ち向かえ。
誰とも違う発想や工夫を駆使して闘え。
今こそ自分を貫くときだ。
しかし、そんな考えは馬鹿げている。
勝ち目のない勝負はあきらめるのが賢明だ。
わたしはただ、為す術もなく押し込まれる。
土俵際、もはや絶対絶命

https://www.sogo-seibu.jp/ss/topics/page/award20-watashiwa-watashi.html

最後まで読むと
"ここまで読んだくださったあなたへ、
文章を下から上へ、一行ずつ読んでみてください。
逆転劇が始まります。"
と書いてあります。

勇気づけられる、背中を押してもらえる素晴らしい広告です。
ですが、私はこの広告を読むと苦いものがこみ上げ来るのです。

友人が癌と闘っているとき、
友人は「癌になんか負けない、まだやることがあるんだ」と常々話していました。
私は彼女の力を信じ、この広告の文言を送ったのです。
ですが、すでに癌は末期でした。
抗がん剤の治療もむなしく、体はやせ細り、食事もなかなか喉を通らない状態でした。
本当は、もう頑張らなくていい、ゆっくり休んでと言いたかったのですが、
それを言ってしまうと、本当にいなくなってしまいそうで、怖かったんです。
だから、もっと頑張れとこの広告を送りました。
あの時、本当に彼女にかけるべき言葉はなんだったのか・・・
「充分がんばったよ」という言葉だったのでしょうか。

言葉の問題じゃない、ただ黙って手を握っていればよかった、ただそれだけなのだと今になって思います。

しんどかったり、つらかったりと弱音を吐ける相手がいる人は弱音を吐こう。
でも、それがいえない人には「無理しないで」というメッセージを送ることも必要なんです。

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