民法#79 根抵当権③
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共同抵当①
共同抵当②
【復習 共同抵当】
共同抵当権は一つの被担保債権を担保するために複数の抵当権を設定することである。このような場合には必然的に共同抵当権として成立する。以下の場合によって割付が異なる。
①同時配当
※一番抵当が共同抵当権で二番がそれぞれの目的物に抵当権設定されている場合
→まず一番抵当権者が優先弁済を受けた後に、それぞれの担保目的物の二番抵当権者が弁済を受ける。
②異時配当
※一番抵当が共同抵当権で二番がそれぞれの目的物に抵当権設定されている場合
→まずは一番抵当権者が優先弁済を受け、残りをその目的物の二番抵当権者が弁済を受ける。それでも弁済しきれなかった価格につき、もう一方の共同抵当権目的物だった目的物に一番抵当権者に代わり、一番抵当権を実行することができる。
共同根抵当
→通常の共同抵当権とは違い、設定と同時に登記をしなければ効力は生じない。
→しかも、登記は厳かであり、根抵当権者、債務者、債権の範囲、極度額がそれぞれの抵当権につき同一でなくてはならない。
→一度、共同根抵当権が成立するとその後の処分として、債務者、債権の範囲、極度額、債権譲渡(全部譲渡、一部譲渡、全部譲渡)をすることができるが、共同抵当権すべての目的物に登記をしなければ効力を生じない。
→なお、共同根抵当においてはどれか一方に元本確定事由があれば全体として元本確定する。一つの被担保債権につき、複数の債務者のいる根抵当権を設定した場合はいづれかに元本確定事由が発生しても、他の債務者において債権が生じる可能性がある場合は全体として確定しなため、区別しての理解を要する。
【用語 純粋共同抵当】
設定当初からの共同根抵当のこと。追加して設定する場合と区別するための概念。いづれにせよ、設定と同時に登記をしなければ効力を生じない。
累積根抵当
→複数の不動産に同一の根抵当権者が根抵当権を有する場合であるが、共同根抵当とは違い、共同抵当における割付は対象外となる。
→各不動産に設定された抵当権は原則別個独立した存在であるため、別個に競売をかけることもできるし、割付もない。
→債権の範囲や極度額も異なってもよい。
【コラム 共同根抵当と累積根抵当】
①登記につき、前者は要するが(効力の発生において)後者は必要としない。
②一つの不動産につき元本確定事由が発生すると、前者は全体において確定するが、後者においてはその抵当権目的物との間の根抵当につき元本確定する。
③前者は根抵当権者、債務者、債権の範囲、極度額は共同根抵当権間で同一でなくてはならないが、後者については債権の範囲や極度額が異なってもよい。
④一つの目的物につき競売が発生し、すなわち異時配当となった場合、前者は割付が生じるが、後者は生じない。
→すなわち、前者においては異時配当の割付が適用されるため、競売の配当金から一番抵当権者が優先弁済を受け、残りをその目的物の二番抵当権者が配当を受ける。さらに、それでもまかなえない分は共同抵当目的物だったものに一番抵当として物上代位する。
→後者においては一番抵当権者が優先弁済を受けた後、その目的物の二番抵当権者が、残りの配当を受けてそれで終わり。
共有根抵当権
→潜在的な持分があるだけなので、その共有の性質は合有とされる。組合と同じものである。
→登記を有するが、上記のため、持分登記はしない。
→基本的に弁済は債権額に応じて同順位で弁済を受けるが、元本確定前に優先の定めにて優先順位や弁済割合を定めて登記をすることができる。
→優先の定めは元本確定前にしなければならないが、その登記は元本確定前にしろとは条文記載されていない。なお、優先の定めは登記事項である。
→共有根抵当は譲渡することが可能であるが、設定者とともに、他の共有者の承諾を要する。承諾があってもできるのは全部譲渡のみである。
→共同で譲渡する場合は全部譲渡、一部譲渡、分割譲渡すべて可能である。