相談のボール

日々、連携室は増員傾向。
専門職の立場では、あまり歓迎する状況ではない。
その理由は、2つである。

1つは、一人当たりの対応件数が減少することである。
以前、最も労働時間の長い外科系の病院長が「医師のワークライフバランス」の旗を振った。

その対策として、各診療科の医師が大幅に増員された。
内科系の医師からは、「家族のイベントへの参加や夏休みが取れる」と歓迎ムードであった。

しかし、外科系医師から、
「手術経験数が下がる」と猛反発があった。

病院長も以前は、「毎日手術をして、50代を超えたときに、ようやく見えてきたものがある」と発言していた。

つまり、MSWを専門職として捉える。そして、専門職としての資質向上を考えると、増員は必ずしも歓迎することではない。

2つ目は、看護職の異動である。
病院のマジョリティ(最大与党)である看護職は、連携室もあくまでも「異動先の一つ」である。

ある程度の年数を経過すると、他の部署への異動や管理職となり、連携室実践から離れるため、日々、未経験の看護職が異動してくる。

ここで問題となるのが「相談のボール」の投げ込みである。

連携室は「よろず相談」的機能を有しているため、あらゆる相談がやってくる。

ベテランになると、相談内容の骨幹を捉えて、速やかに「より適切な機関・部署」を紹介することができる。

新人や新規異動者は、それができない。

そうすると、「相談のボール」が溜まっていく。
「相談のボール」が溜まるだけでは問題はないが、それに対するレスポンスがないと苦情に発展するため、新人のバーンアウトの真因であると感じることもある。


また、連携室新人への洗礼であるが、「これは連携室の仕事ではない」というボールも回ってくる。

ベテランであれば、「連携室の仕事ではない」ときっぱりと言えるが、新人であれば、その振り分けができない。

ボールを受け取っても良いが、すぐにどこかに打ち返す。
まずは、これを教えることが、ベテランの日々のルーチンとなる。

ただし、新人が多い場合は、そこまで管理できないことも増えてくる。
実践経験が減り、対外からのクレープなどの厄介ごとが増え、新人の管理を行う。

増員は、必ずしも歓迎すべき状態ではない。

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