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ソシャゲのガチャが当たらずクレームを言いたいときに、お茶をぐっと飲みながら読むといいかもという記事

ゲームアーキテクトの米元です。

皆さん、ソーシャルゲーム…いわゆるソシャゲのガチャを引いたことはありますか?

基本無料のゲームではよくある機能ですが、ガチャ画面から詳細を見ると、レアリティごとの排出確率が書いてあるかと思います。が、何度も引いていると、よくよく考えて「何かこの確率おかしくない?この確率なら、もう少し当たりが引けるはずじゃ?」って思ったことはないでしょうか。

巷でも時々記事が出たりするのですが、例えばガチャの当たり確率が1%だったときに、100回引いて当たる確率は、どれぐらいだと思いますか?

「1%という事は、100分の1だから…100回引いたら1回は当たるでしょ!」と思ってる方は多いかと思います。

実は、残念ながら、そんな事はないんです…。

確率1%のガチャを100回引いて当たる確率は、大体63%になります。

100回ガチャを引いても37%の人はハズレ。つまり確率1%のガチャを100回引いても、3分の1以上の人が、当たりを引くことができないのです。

え?なんで?それだとおかしくない?

と思うかもしれません。

今回は、ソシャゲのガチャの当たる確率は、どういう仕組みになっていて、確率がどれくらいだと実際どのくらい当たるの?という疑問にお答えしていきたいと思います。



なぜ1%のガチャを100回引いても3人に1人が外れるのか?


さて、確率1%のガチャを100回引いて当たる確率は、大体63%で、3分の1以上の人が外れてしまうと冒頭でお伝えしましたが、それは何故なのでしょうか。

こう考えてみると分かりやすいかもしれません。

100回ガチャを引いて当たりが出ない確率というのは、すなわち

『100回連続でハズレを引く確率』であるということになります。


1回ガチャを引いたときにハズレを引く確率は、当たりが1%なので、

100% - 1% = 99% となります。

もし2回連続でハズレを引くとなると、最初にハズレを引く確率が99%、そして次にハズレを引く確率が99%になるので

99% × 99% = 約98% となります。(98.01%)


このように、99%を100回掛けていくと、100回連続でハズレを引く確率、すなわち100回ガチャを引いても当たりを引けない確率が計算できますね。

では、100回連続でハズレを引く確率はズバリ何%なのかというと……。

計算結果は、先程お伝えした通り、37%になってしまうのです。

↓グーグル先生のご回答です

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確率と平均値の罠


それでもなんか信じられない!…という方のために、少し解説させていただきたいと思います。

まず、100回引いて1回出るのが1%という風に認識している方は多いと思います。感覚的にはそうですよね。

ですが、この1%というのはいわゆる『平均値』なのです。

つまり、100回に1回出るのはあくまで平均であって、100回中0回ということもあれば、100回中2回当たったり、あるいは3回当たったりする可能性もあるという意味です。

ですので、確率で何%というのは、確実に何回に一回出るという意味ではなくて、大体平均的にこれぐらいの回数で出るよという目安になっている点が重要です。

同じように、例えば確率が5%の場合というのは、20回中に1回出るということですが、これは正確には「平均すると20回に1回出る」ということだと考えてください。


10万円ガチャを回したら1%を確実に当てられるか?


さて、ここからは少しゲームの運営っぽい話をしていきたいと思います。

例えば、よくある1回300円前後で引けるガチャがあったとします。

そこで、10万円ガチャに投資するとして『ほぼ確実に当たりを引くことができる確率』は何%になるでしょうか。


それにパッと答えるのは、実は結構難しいことなので、 1つ前提条件を置いてみましょう。

100人の人が10万円ガチャを引くとした場合に、ほぼ確実に全員当たりが出るようにするには、確率を何%以上にしたら良いと思いますか?

ちなみに、ガチャの値段が1回300円だとすると、ちょうど10万円だと半端な数になってしまいます。ですので、ここでは333回引いて99,900円使用すると仮定しましょう。

また、ここでは、いわゆる『天井設定』は考えないこととします。


何となく「100回引いたときの例と同じく、確率を1%にしておけば、333回引けば流石に当たりが出るんじゃないかな」と思うかもしれません。確率1%ということは、平均で300×100=3万円で当たりを引けるということですもんね。

ということで、今回も同様に99%を333回掛けていきましょう。

すると答えは、3.5%程度となりました。

これはどういうことかと言うと、300円のガチャを確率1%に設定すると、なんと10万円払っても当たりを獲得できない人が3~4人も出てくるということです。

なので、10万円払ったら確実に全員が当たりを引けるようにするためには、もっと確率を緩くしなければいけないということなんです。

この、ガチャの当たりが出る確率を、1.5% 2% 2.5% 3%として上げていくと、こちらのようになります。

■ガチャの確率

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10万円課金で全員当たるようにするには…?


この表の通り、1.5%だと、まだ100人中0.65人が当たらない可能性があるのですが、2%にすると0.12人になるので、この値に設定すればまずハズレを引く人は出ないですし、3%を超えると、0.004人になるので、ほぼ確実に外れなくなります。

なので、2~3%に設定しておけば、ガチャに10万円、333回分回してもハズレを引く確率が0.12%以下になるので、ほぼ全員が10万円課金すれば当たりを引くことができる、という設定ができることになります。

数字ばかりでちょっと難しい話ではありましたが、ゲームの確率設定を行う時は、基本的にはこういったことを踏まえて設定することが多くなっています。

この記事を読んでくださった方が、ゲームを遊ぶ側か作る側かは分かりませんが、設計する側の方はこのあたり注意して設計されていると思うので、当たり前の話だったかなと思います。ですが、意外と一般的には知られていなかったりするので、今回記事にしてみました。


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