見出し画像

プロダクトとしての本のデザイン

リモート生活が続き、1日に食べる量が結構減ってきました。大体、昼頃にご飯とおかずを食べて夜はほぼ素麺かサラダのみです。飲み物は牛乳か水。お酒もほとんど飲まなくなりました。このままいくとあらゆる欲がなくなって生気がなくなりそうです。…かろうじて野菜ジュースは飲んでました。
さて今回は「プロダクトとしての本」について書きたいと思います。

本のサイズをいくつにするか

ジャスパー・モリソン(Jasper Morrison)というプロダクトデザイナーがいます。イギリスのロンドン出身で、有名な作品だと無印良品のケトルやスツールがあります。彼は「スーパーノーマル」というデザイン哲学を掲げています。いわゆる派手で個性的なデザインではなく、極限まで要素を削ぎ落とし、シンプルな見た目にデザインを落とし込んでいます。(僕もこの哲学大好きです) なので彼がデザインしたプロダクトは日常の生活に馴染みながらも豊かな気持ちになるようなものばかりです。そんな彼が2015年に発行した作品集があります。この作品集の大きさは縦235mm × 横175mm。通常の雑誌などと比べると小さめの設計です。載せる作品が少なかったからではありません。さすがプロダクトデザイナーだな…と唸る理由があります。

通常の雑誌や他の作家、デザイナーの本は大体A4用紙(縦297mm × 横210mm)と同じくらいの大きさで作られています。ジャスパー・モリソンの本を買う人といえば、そういうデザインやアートの類に興味がある人が大半だと思います。そういった人たちは大抵沢山、本を所持していて本棚にずらっーと同じくらいの大きさの本が並んでいることが想像できます。ジャスパー・モリソンはそこに目をつけて、その本棚の中で素早く自分の本を見つけてもらえるように設計をしたんです。通常の大きさよりも50〜60mm小さめにしとけば、すぐ本を見つけられる上に、指を引っ掛けやすく取り出しも簡単。大きくしちゃダメなの?って思う人もいると思いますが、大きくしてしまうと、入らない本棚を持つ人がいるかもしれません。

デザインの発見_02

使用されている場面をめちゃくちゃ想像する

ジャスパー・モリソンがこの本を作る際にやったことは、「使用されている場面を想像する」ことです。プロダクトに関わらず、あらゆるデザイン物は使用される場面があります。例えば作品集をデザインする際に考えたことは、

01. 誰が読むのか
02. 本は普段どこに置かれると想像できるか

などだと思います。デザインするものがコップになったとしても、そのコップがバーで使われるものなのか、家庭で使われるものなのかでデザインが変わってきます。あとは何の飲み物を主に入れるものなのかでも変わります。デザインする方はそういったことを落とし込むまでにどれだけ想像できるかでクオリティが変わってくると思います。アートディレクターの佐藤可士和さんも昔「キリンレモン」という飲み物のパッケージの仕事でPC上でデザインしたものをプリンターで出力し、実際のボトルに貼り付けました。ここまでは割と皆さんやるのですが、可士和さんはそのボトルを冷蔵庫に入れて、家庭で実際に使用されてる場面を検証していました。いくらかっこいいデザインでも使われるのは家庭です。そこでの見え方に違和感がないかを見ていたんです。

診療をする

こういった状況を知るには依頼者からいろいろとヒアリングをする必要があります。よく言われるのが医者が患者の病状を聞くような感じと言われます。医者も患者の病状を知るために「いつから具合悪いんですか?」「お腹が痛いんですか?頭ですか?」「熱はありますか?」とかめちゃ聞くじゃないですか。あれと一緒です。医者からしたら病状がわからないとその人に合った薬(解決策)を出せないですよね。デザイナーの方たちはデザイン力だけでなくて、こういったことを聞き出せるヒアリング力も求められていると思います。ヒアリング力は=コミュニケーション力だと思うので普段から人と話す機会を多くすると良いなと思いました。

今回は以上です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?