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<活動レポート> 春の田起こし・田植えを行いました(2020.05)

今春は、新型コロナウイルスの影響で自粛生活が続きましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。奈良市別所町に位置する私たちの田んぼでは、5月に田植えを行いました。今回はその様子をお届けします。

(お米を主食に!プロジェクトの概要を知りたい方は、こちらからご覧ください。)

と、その前に・・みなさん、田植えの前に「田起こし」という重要な作業があることをご存知でしょうか?

田起こしとは?土壌を最良の状態に整え、収量を増やすために行うもの。

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(トラクターで田起こしを行う様子)

明治時代までの田んぼは、ずっと水を入れたままの「湿田」が多かったのですが、現代ほとんどの田んぼは「乾田」と言われるもので、稲刈りの約10日前に水を抜く(落水といいます)のが通例となっています。落水する理由は色々とあるのですが、その一つに、土を乾かし春に耕すことによって、栄養分が整い収量が増えるという理由があります。そう、春の田起こしは、土の状態を整えるために行うものです。

「春の田起こしで、土の状態を整える」とは具体的にどういうことなのか、4つに分けてご説明します。


1.土を乾かし、窒素肥料を増やす
田起こしをすることで、土の中に空気が入って乾燥しやすくなり、フカフカの土壌になります。また、空気に触れることで、微生物による有機態窒素の分解が促進され、植物が吸収しやすい無機態窒素が増加します。昔から耕す作業は非常に重視され、「七回耕起は、肥いらず」「耕土一寸、玄米一石」などと言われてきました。


2.肥料を均等にまく
作物の成長を促進する肥料。それらをまいてから田起こしをすれば、土に肥料をまんべんなく均等に混ぜ込むことができます。


3. 有機物を鋤きこむ

稲の切り株や刈り草、レンゲなどの有機物を鋤き込むことにより、微生物やミミズなどが分解して、養分を作り出します。


4.雑草を防除する
雑草が生えると、稲の成長に必要な養分が奪われ、その分稲の成長が遅れます。田植え前の田起こしの作業で、雑草を抜き深く埋めることにより、発生を減らします。雑草の防除は田植えの後でも非常に重要な作業で、収穫時期まで継続して行います。

こちらが、田起こしが終わった田んぼの様子です。トラクターの力を借りて、あっという間にフカフカの土壌になりました!

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(田起こし終了後の田んぼの様子)

田んぼに水を引き、いよいよ田植え作業!

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田起こしで土の状態を整え、田んぼに水を引いたら、いよいよ田植え作業が開始できます。本プロジェクトで育てるお米の苗は、地元の農家さんから購入させていただきました。

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(地元農家の方が苗を育てているビニルハウス)

本プロジェクトは、苗の代金(農家さんではなく)企業がお支払いする仕組みとなっています。「農業のあるべき姿を追求する」という本プロジェクトのビジョンに基づき、そのような仕組みとしています。プロジェクトのビジョンや仕組みに関してはこちらをご覧ください。
https://note.com/rice_project/n/nba28e7ef477f


苗の植え付けは、田植機で行います。まず、苗を田植機に載せるところから。

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運転手の背中側にあるのが「苗のせ台」です。さらに、運転手の左右に予備の苗のせ台もあり、広い田んぼの真ん中で苗がなくなったとしてもその場で補充することができます。


田植機には「植え付け爪」が付いており、植え付け爪が苗のせ台の苗を掻き取ります。 そのまま上から下に引き下ろし、田んぼに植え付け、という仕組みになっています。

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(青の矢印が植え付け爪。苗を掻き取っているのが分かります)

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1カ所に苗3~4本を植え、それが1株となります。植え付け爪は一定の速さで高速回転しているため、等間隔かつ素早く田植えを実施することができます。見てください、この美しい苗の列。

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また田植機では、苗の定植と同時に肥料を散布することもできるんです。こちらも速度と連動しているので、均一にまくことが可能です。人の手だけだととてつもない重労働になる作業を、機械がサポートしてくれます。

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(奈良市別所町の田園風景)

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(地元農家さんと本プロジェクト代表 辻)


日本人の生活を支え続ける稲作。田植えにまつわるさまざまな神事が。

古くから米を主食としている日本では、作物が豊かに実り、毎日を安心して暮らせるよう、豊作を願う神事がたくさん行われてきました。米作りのスタート地点である田植えにも、「御田植祭」というお祭りがあり、現在も全国各地の神社やお寺で行われています。特に千葉県鹿取神宮の「鹿取神宮御田植祭」、三重県伊雑宮の「磯部の御神田」、大阪府住吉大社の「住吉の御田植」の3つが、日本三大御田植祭として知られています。

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(御田植祭で早乙女が田植えをする様子)

御田植祭は、稲作の農作業の様子を模した内容になっています。種まき、苗を育てる、田を起こす、田植え、そして収穫作業までの一年の農作業を表現しています。

こちらに詳しく載っています。
住吉大社「御田植神事」
http://www.sumiyoshitaisha.net/events/special.html#anchor01

また、田楽や能、歌舞伎をご存知でしょうか?田楽の起源も諸説ありますが、田植えの前に豊作を願う田遊びから発展した、と言われています。(現在は24もの田楽が、民俗芸能として国の重要無形民俗文化財に指定されています。)その後、観阿弥や世阿弥が田楽を洗練させ、能楽、さらには歌舞伎へと発展していきました。日本の伝統芸能にも、田植えが深く関係しているのですね。

以上、今回は春の田起こし、田植えをメインにご紹介しました。今年度の田んぼの様子も、随時お届けしていきたいと思います。

また、本プロジェクトは、複数の企業様に賛同いただき、今年度から作付面積を増やし、規模を拡大しました。お米の生産過程は、社員研修やチームビルディング、社員の家族を交えた稲作体験の機会として活用することも可能です。新しい社会的活動として興味のある企業様はお気軽にご連絡ください。


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