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フランスと私 第一章「出会い」

「ふらんすへ行きたしと思へども ふらんすはあまりに遠し...」と萩原朔太郎は言った。そのあとの時代を生きる私たちにとって、少し距離は縮まってフランスはそんなに遠くなくなったけれど、今またとても、いや、さらに遠くなってしまった。次はいつ行けるのか。自分の年齢を考えたら、もう行くことはないのかもしれないとさえ思えて、やりきれない気持ちになる。

私はこれといって特別な趣味がない。会社員時代は絵を描くのが趣味だったが、それが仕事になってしまったからとりあえず無趣味。ただ、ちょっと小金ができると1週間とか10日とかフランスを旅する。雑誌やテレビなどで特集をやっていると必ずチェックする、年始には「今年こそはフランス語を上達する!」と年始の誓いをたて学習し始める(春までもたない)、機会あればフランス飯とワインを堪能したくなる、青山ブックセンターに行くとつい「ル・モンド」(フランスの新聞。殆ど読めない)を買ってしまう・・・etc、つまり、そう、私はフランスが好きなのだ。フランスが唯一の趣味なのだ。
そういうわけで、これからしばらくの間、「フランスと私」をテーマに描いてゆこう。せめて想いを馳せることでこの寂しさを紛らすことにしよう。

ところで私は、なんでこんなにフランスが好きになったのだったか。
そもそも出会いはいつで、何がきっかけだったんだっけ?
まずはそこまで遡って思い出してみることにする。
しばしおつきあいのほど。


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