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自筆遺言書の書き方

こんにちは。
本日は「自筆証書遺言の書き方」についてお話します。

たとえばずっと住んでいた家のこと。
頑張って働いて残してきたお金のこと。
それを、誰かに残すために、今「自筆証書遺言」の書き方を検索されているのではないでしょうか。

皆様が自筆証書遺言を書くために必要なポイントをできるだけ分かり易く、簡単にお伝えしていきますので、ぜひ最後までお読みください。

1.自筆証書遺言とは

①自筆証書遺言とは「遺言者が、その全文・日付・氏名を自分で手書きし、押印して作成した遺言書」です。

②そして、遺言書とは、「自分の財産を、誰に、どれくらい、残すのか」を記した文書です。

自筆証書遺言の書き方の際には、上記①と②、2つが大きなポイントとなります。
【準備編】【執筆編】【保管編】に分解して、それぞれ簡単に説明していきます。
ぜひ、皆様もご自分で遺言書を書いてみてください。

【準備編】

1.「誰に」残すのか確認する

まずは、遺言書で誰に残せるのか、誰に残さなければならないのかを確認しましょう。
法定相続人」という、法律上財産を受け取る権利を持つ人がいます。
簡単に言えば、配偶者と血族ですね。
財産を受け取る優先順位や、受け取る割合についても法律で決まっています。

「法定相続人」の範囲と優先順位をイメージ図でお伝えすると下記の通りです。
配偶者は必ず法定相続人となり、優先順位も一番です。
配偶者以外の法定相続人は優先順位が決められており、例えば被相続人の子供がいる場合には、原則として相続をすることができません。

自筆証書遺言の書き方 誰が相続するのか

この法定相続人以外にも任意の方に財産を渡すことができます。
法定相続人以外に財産を渡すことを「遺贈」といい、財産を受け取る人を「受遺者(じゅいしゃ)」といいます。
たとえば、婚姻届けを出していないパートナー、仕事でお世話になった方、介護でお世話になった方にも財産を残すことができます。
※後述する「遺留分」の制限があります。

3.財産を確認する

次に、残すべき財産を確認しましょう。
財産については「財産目録」を作ると、後からの確認も簡単になります。

自分の持っている財産は改めて調べるまでもない、と考える方もいらっしゃいます。
しかし、実際に10年以上前に開設した口座に100万円ほど残っていたが、口座の存在を忘れていた、などのケースもあります。

不動産、銀行口座、貸金庫、株券、車、など自分の財産を整理しましょう。

【執筆編】

1.絶対に守るべき3つのポイント

遺言書は、どのように書くべきかについて、法律でルールが決まっています。
そのため法律的に正しい遺言書であるために、3つのルールを必ず守ってください。

自筆証書遺言の書き方 3つのルール

それぞれのルールについて簡単に説明しますね。

①手書き
→タイトル、本文、日付、署名、すべてを手書きで行います。パソコンは使えませんので、ご注意ください。

②日付
→いつ書いたか、というのがとても重要です。
 例えば「9月大安吉日」などのように書いても、何日に書いたか特定できないので、NGです。
「20××年〇月〇日」や「令和〇年◎月〇日」と明確に書きましょう。

③署名押印
→誰が書いたか、を明らかにするものです。
 ペンネームや通名ではなく、戸籍謄本に記載されている氏名を署名しましょう。
※押印については実印が望ましいです。

2.財産を記載する際には「特定」させましょう

さあ、いよいよ本文ですね。
何を残すか、その対象となる財産は特定できるように書かなければなりません。

例えば、「東京のビルを、長男に」と書いてしまうと、東京のどこにあるビルなのか、1つなのか2つなのか、何も特定できていません。
上記の例であれば、「住所・家屋番号・種類・構造・床面積・名称」を記載しましょう。
これらの情報は登記簿謄本に記載されています。

いやいや、家族ならそこまで書かなくてもわかるよ。
そもそも1つしか不動産なんて持ってないよ。

そう思う方もいらっしゃると思います。

ですが、遺言書は相続の手続きの中で、例えば名義変更などの添付書類にもなります。
家族だけがわかる、では手続きがスムーズに進みません。
せっかく大切な人に残す遺言書です。
大切な人がその後の手続きもスムーズにできるように、書いてあげましょう。

3.「漏れ」のない記載をしましょう

財産を記載する際には、特定だけでなく「漏れ」がないかも確認しましょう。

例えば、「長女に○○銀行××支店 口座番号・・・の預金1000万円を相続させる」と記載した場合、注意が必要です。

しっかり銀行名まで記載し、特定できています。
しかし、ここで注意したいのは金額です。
銀行預金の場合、引き落としの対象になっていたり、利息が生じたりなどして、金額が変動します。

仮に遺言書に記載されていた金額よりも多い数字だったら・・・?
このようなケースだと、相続人同士が揉めてしまう場合も多いんです。
おススメなのは、「具体的な預金額」を記載しないことです。
特定された口座に入っている金額は○○に相続させるよ、と書くことで、相続人が揉めることを防止できます。
大切な人たちが諍い合うことを防ぐためにも注意しましょう。

4.遺留分(いりゅうぶん)に注意しましょう

ここまでで、「誰に」「どの財産を」相続させたいかを決めてきました。

どうでしょうか。
財産の割り振りは公平でしょうか。

法律では、法定相続分という規定があります。
法定相続人ごとに、残された財産を受け取る割合が決められているのです。
法定相続分の早見表は下記のイメージ図を参考にしてください。
※実際には法定相続人の構成や人数によっても異なりますので、あくまでイメージ程度に参考にしてください。

自筆証書遺言の書き方 法定相続分

しかし、多くのケースで財産の割り振りが偏ってしまいます
当然ですね。
これまでの関係などが大きく影響するのが、遺言書作成です。

極端に言ってしまえば、「すべての財産を1人に相続させる」という遺言書も書けますし、法的にも有効です。
ですが、ここで注意しなければならないのが「遺留分」です

遺留分とは、法定相続人の最低限の取り分のことです。
つまり、絶対に遺留分だけはもらえる、という法定相続人の権利ですね。
「誰か1人に」としてしまうと、もらえなかった人は不満に思うでしょう。
それまでの行いが悪かったといえばそれまでですが、しかし、法律上「遺留分」という権利が保障されてしまっているのです。

そうなると、あなたが「この人に全部上げたい」と善意から思って用意した遺言書が、その大切な人に大きな負担を強いてしまうのです。
多くの財産を相続することになった方が、他の相続人から不満をぶつけられ、裁判になり・・・といったケースは残念ながらよくあることなのです。

だからこそ、遺言書を書く時には「遺留分」にも注意してあげてください。
誰に相続させなければいけないのか、その割合はどれくらいか、を確認しましょう。
確認したうえで、それでもやっぱりこの人には財産を残したくない、と思う場合には、後述の「付言事項」を活用してみてください。
※このようなケースでは後に相続人同士が争うことが多くなりますので、できれば専門家へ相談したほうが安心できます。

5.付言事項でメッセージを残しましょう

最後に、「付言事項」を活用してください。
遺言書とは、財産の分け方を示した文書です。
しかし、同時に「大切な人へ渡す最後の手紙」でもあります。

付言事項とは、財産の分け方などではなく、なぜこの遺言書を残したのか、大切な人へのこれまでの感謝や想い、といった内容の文章です。
丁寧に書くことで、遺言書に書いた財産の分け方などへの理解を得ることができます。
また、これまでの想いなどを遺言書の中で伝えることにより、相続人間のトラブルを防止する効果も期待できます。

「どうかこの遺言書に書いた私の想いを理解し、尊重し、家族みんながこれまで通り仲良く過ごせるよう、全員で協力してほしい」といった文章で、ただ財産を分けるだけの文書ではなく、大切な人からのメッセージであるとみてもらうことが大切です。
法律的には付言事項を一切書かなくても問題ありませんが、自筆証書遺言を書く時には、特にこの付言事項が重要になると私たちは考えています。
大切な方へのメッセージを、丁寧に書いてください。

【保管編」

自筆証書遺言保管制度

自筆証書遺言を書いたら、大切に保管しなければなりません。
例えば災害や火事などで遺言書を失ってしまったり、
考えたくはありませんが相続人が勝手に書き換えてしまったり、
ドラマの中のようなお話ですが、実際に問題になるケースがあります。

そして自筆証書遺言を保管することは思ったよりも難しいです。
なぜなら自筆証書遺言は「時期が来るまでは絶対に見つからないことを望まれ」る文書であるにもかかわらず、「時期が来たら絶対に見つけてもらわなければならない」文書だからです。
分かり易いところに隠しては意味がありませんし、かといって自分にしかわからない場所に隠しては読んでもらえません。
そこで、紛失の恐れがなく、かつ、時期が来たら必ず相続人の手に渡る【自筆証書遺言保管制度】のご利用をお勧めいたします。
この制度については、前回お話しましたので、ぜひ改めて参考になさってください。

【参考記事】
自筆証書遺言保管制度について

最後に

いかがでしたでしょうか。
少し文量のある記事となりましたが、最後まで目を通していただきありがとうございました。

どのような遺言書が必要になるのか
書いてみたけど正しいかわからない

など遺言に関する疑問については私たちにご相談ください。
皆様の大切な方へのメッセージを作るサポートをいたします。
※初回のご相談は無料です。

行政書士法人 全国理美容コンサルティング
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