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憧れのアリーナ席は流血の舞台

むかし初めて実際に東京ドームに行って、やっと「東京ドーム〇個分」の基準がなんとなくわかりました。で、そのときにふと思ったのです。
「コロッセウムとどちらが大きいんだろう?」

ローマのコロッセウム(コロッセオ)は紀元80年に完成したローマ帝国最大の円形闘技場です。
ここでは剣闘士(グラディエーター)同士あるいは剣闘士対猛獣(トラ、ライオン、ヒョウ、象など)の死闘、そして戦車競走、凱旋祝いが繰り広げられ、ときに芝居が演じられるなどローマ市民にとって最大の娯楽施設でした。
可動式の日よけの天幕も付いており、まさに今で言う全天候型ドーム。
いや、中に水をはって模擬海戦までしていたといいますから、現代のドーム以上に多機能だったのです。

その大きさは高さが約48メートル。上から見ると楕円形をしており、長い方の直径が188メートル、短い方が156メートル。そして約5万人の観客を収容できました。

一方、東京ドームの座席数は4万6000(アリーナにも人を入れると収容人数は5万5000人)。ということはコロッセウムとほぼ同じ。
そして東京ドームは高さが約56メートル。上から見ると角の丸い四角形で、1辺が約216メートル。
つまりコロッセウムがすっぽり入る大きさです。

ところで「アリーナ」という言葉はコロッセウムに由来します。
剣闘士たちが戦う舞台部分は取り外しができる板張りの床で、そこには白い砂(アレナ)が撒かれていました。これがアリーナの語源です。
なぜ白い砂を?
そう、飛び散った真っ赤な血がよく目立つようにです。双眼鏡などない時代、最上部の座席からでも舞台で何が起こっているかよくわかるように。

表紙の写真から分かるように、現在、アリーナの床板は抜け落ちてありません。アリーナの地下にある、剣闘士の控え室や猛獣のオリがむき出しになっています。
アリーナには奈落もあり、猛獣を舞台に突如出現させるような仕掛けがありました。

猛獣といえば、皇帝ネロの時代にはこのコロッセウムに放火犯という濡れ衣を着せられたキリスト教徒たちが集められ、そこへ腹をすかせた猛獣が放たれて、彼らは喰い殺されました。
いまも彼らを慰霊するため、コロッセウム内部に十字架が立っています。細くて目立ちませんが、ぜひ探してみてください。


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