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大好きな人に会いに行くということ——「ヨナヨナ・フェス2022 in 野音」レポート

 こんにちは。

 去る4月17日、東京は日比谷野音にて「鷲崎健のヨルナイト×ヨルナイトpresents ヨナヨナ・フェス2022 in 野音」に参戦してきました。
 セトリとかあけすけに載せていきますので、ネタバレ的なご用心は各自のご判断でお願いいたします。

 知人やいつもライブハウスでお会いする皆様に向けて説明すると、このイベントは趣味で音楽をやりつつラジオパーソナリティを生業とする鷲崎健さんの深夜ワイド番組「鷲崎健のヨルナイト×ヨルナイト(文化放送)」の番組イベントで、鷲崎さん(バンド編成)はもちろん、火曜アシスタントの沢口けいこさんのユニットpredia(6月で解散を発表済み)と水曜アシスタントの青木佑磨さんのバンド学園祭学園、その三人で組んだ番組内ユニット オッド・アイ の全4組がライブを披露する音楽イベントなのでした。

 ことほど左様にいろんな立場の人向けのいろんな説明を随所に差し挟んでいきますのでご容赦くださいね。

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 まずもって僕にとっては、「こんなにも大好きな人に会いに行く」ということがすごく怖いことでした。

 こんなような理由というか心境で。

 僕の暗〜い学生時代を救ってくれたのが、逃げ込んだ先(=ラジオの世界)にいた鷲崎さんでした。
 今でこそって感じですが、約10年も前となると当時は世の中的にも個人的にも、今ほどこういう趣味をあけすけにできる感じではなくて、ゆえに一部界隈を除いて知人友人の前で鷲崎さんの名前を出したことはありませんでした。
 が、僕にとっては間違いなくここ10年間で一番のヒーローであり、なおかつ(ご本人は趣味とおっしゃるがそれどころでなく素敵な)音楽にも多大な影響を受け、こんにちの趣味嗜好やバンド活動、ソロワークにも滲み出ています。

 であればこそ、肉眼で見に行くのが怖かった。
 実は数年前に鷲崎さんと佑磨さんたちで仙台でチャリティーイベントを催していたことがあり、そっちの方が明らかにここ(福島)からは行きやすい機会ではあったんですが、それもやっぱりそういう理由で見送り。

 まして4thALの時のクラファン(後にも先にも唯一のバンドセットワンマン)にも参加できておらず、今日まで悔しい思いを引きずってきました。

 この10年で世の中の風潮も変わり、自分自身も社会に出て、推しを推すことの大切さを知り(ある程度自由に推せるようにもなり)、ラジオにもよりハマり、ラジオにハマっている自分を恥じるようなそぶりもなくなり(もとより恥じる意味もないのですが)、そして曲がりなりにも自分自身も誰かに推される身になったことも相まって、こういうチャンスに対し躊躇いを振り切って応募することができるようになりました。

 ヨナフェスで検索してここに来られた方向けに説明すると、普段は福島でしがないバンドマン(ベーシスト)をやってまして、ありたがいことにコアなリスナーの方々に推して頂いています。

 ずっと聞いてきた(だけだった)ラジオに、ようやくコミットできた今回。
 ああ、このラジオは本当にあって、みんな本当にいて、いつも聞いていたあの楽しい時間も幻想じゃなかったんだなって、それだけでもうまずお腹いっぱいになる野音入場列でした。

 開場前に、聖地と名高いタワレコ横浜ビブレにも行ってきました。ラブ……。

 ちゃっかり貰っちゃいましたけど、入場列でprediaのCD配っていた方って、あれはどういう……?
 ああいったファン活って現地ではよく見られるもんなんですか?(ファンの鑑だな、とは思いましたが。)

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「夕方から雨」というヨナフェス界隈にとっては最悪の予報でしたが、通して結局17時台に数滴雨粒を浴びただけで、予報は嬉しい大ハズレ。すごい。

 セッティングBGMの選曲も良かったんですよねえ……いくらでも流すものあるだろうに、その中であえて『その名は未来』とか『シャナナ』とか選ぶ(しかもなかなかの溶接)のが煽られてるみたいで最高でした。

 オープニングから『radio! radio! radio!』はやばいって〜。オッド・アイでトップクラスに好きな曲。
 Welcome to this radio landとはまさにこの時のための歌詞。レディオランドきちゃった〜って本当に思いました。
 2Aの歌詞がまんま佑磨さんすぎて(そして俺すぎて)最高なんですよね。鷲崎さんの「夜はこれから」も爆上がりポイント。直前まで「鷲崎もち」聞いてましたよ。
 フェードアウト曲の、最後の終わり方が知れる嬉しさに名前をつけたい。

 セトリは都度都度綺麗に並べるつもりはありませんが、おそらく文中で全曲網羅できてるんじゃないかなと思います。

 出順としては学園祭学園(以下GSG)がトップ。
「新曲やります」とさらりと宣言して始まる展開に素でアガったの、久しぶりだったなあ。その名も『サーチライツ』。楽しそうな四人(小松さんは不在)。
 2曲目はどうやらサウナの歌とのこと。3曲目『Dawn Song』は楽しく聞けたものの「フェスに5/8拍子の曲を持ってくるとは……」と恐れ入りました。
 確かこの辺で木の葉がはらはらと落ちていって、夕陽に照らされてか風に舞い上げられてか、それがすごくよかったんだよなあ。客席もやや仰ぎ見てた感が。

 僕が福島の人間だとさっきも書きましたが、水ヨナリスナーの方ならご存知の通り佑磨さんにも縁浅からぬ土地で、数年前に会津大学の学園祭に出演されていたのを観に行ったこともありました。唯一GSGに関してはこの日2度目まして。ゆえ、後半の楽曲には馴染みがありましたし、『wants』で肖像権パージするのも知ってました。
 夕方に聞ける『ももいろ』の尊さよ……。『走れ』のくだりはライブでしか聴けないから嬉しいですね。『wants』には鷲崎さんとホッタさんも参戦。たくさん撮りました。

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 フェスど素人永井、ここで油断して転換時にトイレへ。惜しいことにprediaの一曲目『DRESS』を聴き逃し、席取ってるくせに音漏れ勢になってしまう失態。

 prediaもガチほどではないにせよ『ファビュラス』『カーテンコール』あたりはヘビロテしてたもんで、M2以降『禁断のマスカレード』『Close to you』、新曲『Thank you for all my dia』を挟み『カーテンコール』を生で聞けたのはかなり嬉しかった。特に『カーテンコール』の間奏のダイナミックな感じとか横並びのユニゾンダンスとか本当かっこいいんですよねえ、、、時間帯になぞらえて『Hotel Sunset』とか聴けちゃわないかしら、というのは流石に欲張りでした(それが正直一番好き)。
『Paradise』『The Call』も格好良かった。湊さんとドビドビ歌うますぎて、、、と思ったけどけっけもあの大舞台でしっかり歌えてるんだからすごいよ。けっけもしっかり職業エンターテイナーなんだなと思いました(何様)。

 解散を控え、個人的には人生最初で最後の生prediaでした。
 最後まで頑張ってほしいなあ。

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 鷲崎さんバンド、生で見ちゃったらもうそれだけでボロボロ泣いちゃうんじゃないかとすら思ってましたが、流石にそれは杞憂に終わりました。
 一曲目『ヨナヨナ〜』はいうまでもなく、続く『Sweet Soul Music』が意外&嬉しすぎて……「個人的に群を抜いて好きな歌だけど今日は聞けないだろうと思っていた曲」ナンバーワンだったもの。悲鳴もんでした。バンドはもちろん、鷲崎さん自身の歌い方も結構音源準拠で嬉しかったなあ。
 その点で言えば『桜』ももちろん嬉しかったんだけど、個人的に上に書いたようないろんな思いをパンパンに詰めてきた今日だったから、虹コンに思い馳せられていたのを見て(それはそれでもちろん尊いんですが)「好きな子と喋っていたら別の男子の話ばっかされる」みたいな感覚がしてちょっと妬けちゃったなあ。でも歌は最高でした。そもそもが好きな歌ですし。
 稔さんも喋ってくださって嬉しかった。あといつもの嘘バンド紹介。

 ここで「致死量の美人」ことpredia参戦。一緒に『What a Pastaful〜』と、なんとまさかの『愛・おぼえていますから』を披露。女子を呼んだということは『Radio Prayer』『Baby! 人生はあっちゅー間!!』あたりかなと思っていましたが、ポアロ曲とは思わんて〜〜(『あっちゅー間』はのち回収されることとなりましたが)。先んじて『ももいろ』を聴いていた影響もありつつ、『愛おぼ』のサビ合唱はじ〜〜〜んときちゃったな。古参リスナーの方々が抱えてるそれとは同じではないと思うけど、僕は僕で来るものがありました。

 最後は『ワルツ』。
 ここでC列に遅れてきたサラリーマン風のお客さんが入場。正直かなりいいところだったのに気散りまくりですごく残念ではあったのですが、『ワルツ』の歌詞のおかげで、彼には彼なりの闘いがあるのだと思い、むしろそういう演出のような気すらして許せました。お疲れです(これが『愛おぼ』の時だったら多分許せなかった……?)。

 生『「I Love You」のある世界』や、生『Silly Walker』、生『ダーリンダーリン』生『Babyにならないで』が聞けなかったことは心残りだけど、限られた時間の中でこの選曲はマジでベストバウトだったと思います(またも何様)。
 スタンドマイクもちろん格好いいし比率でいったらそっちの方がきっとレアなんだけど、ああしてアコギ持って歌ってる姿が見れたこともとってもメモリアルで嬉しいんだよなあ。地方民はお気軽にあさがやドラムとかアコギFunのチケットも取れないので……。

「うっとりしたか!!」「「「「はい!!!」」」」

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 全俺を代弁する泣きっ面で登場した佑磨さん、そしてけっけと共に、舞台はオッド・アイパートへ。
 けっけ向け改良なのかアイドルソングナイズなのか、ややテンポの落ちるオッド・アイ版『ヤーヨ』は未だもって慣れ切らないけど、歌いこなし、歌い尽くしてるけっけに心の中で大喝采でした。
『全部、好き』、例えばsupercellの『さよならメモリーズ』とかにも感じるような「失恋という崖に向かってそうと知りながら全速力で向かっていく感じの疾走感」があって、それが堪らなく好きなんですよね。
『24時〜』はタオルを持ってなかった(物販一切購入せず)のでひたすら拍手を……しかしスタッフやバンド、プロンプターからすらも「好きだよー!」の文字。すごいなあ。その愛の大きさも、物販としてのエポックメイキングも。

 そんで「全てを連れての大団円」。グランドエンディングは先にも触れた通り、まさかの『あっちゅー間』。
 あのソウルフルな女性コーラスは湊さんがやらんで誰やんのってくらいどハマりしてて最高だったな。「ベイベ!」の置き場所とかかなり細かく準備されてて嬉しかった(この記事で嬉しかったって何回言ってんだ??嬉しすぎ)。一生に一度は生で聴きたい曲のひとつだったので、心から感謝。【多幸感】の鉄塊をどっかり投げつけられた気分。
 GSGは60年台バンドみたいなコーラスしてて笑っちゃいました(その上お召し物も総じてモノクロ)。

 地震の影響で福島行き新幹線の最終が20:56だったため、押したり予想外のアンコールがあったりすると(間に合わないってことはないにせよ)ご飯は買ってけないなあと思っていたので、今回もクロノスだった鷲崎さんには頭が上がらない。けっけも「フェスでこの読み……怖……!」の一言。

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「ラジオってのはブースの中で100%完結すべきものなんだけど、時にはこういうスペシャルがあってもいいよね」と鷲崎さん。そう。そうなっているからこそ、あの大盛況の野音だったんだと思いますよ。心から大声で集客できなかったってのにこの入りはすごい。個人的には片隣が空席で過ごしやすかったけど……。
 ラジオはもちろんだけど、鷲崎さんのガチワンマンがもう一度見られるチャンスが訪れるまでは死ねないな、と改めて思いを強くしました。

 冒頭に書いたような憂いは、思いのほか杞憂でした。
 鷲崎さんは肉眼で見てもちゃんと鷲崎さんだったし、いつも見て聴いているあのブースの延長というか、飾らない、変わらないあの人がそこにいて、あまつさえ同じ一枚の写真の中に収まれて。変わるだの変わらないだの言っていた自分の方がむしろ、と思いました。それはそれで大切な悩みだったんだけどね。
 限りあるラジオ人生でこんなに幸せなことがあっていいのかしら。最後列とはいえど真ん中だったし、何よりイベントが無事行われたことも幸いで。

 きっとこれからも続いていくであろうラジオ人生の、この日が大きな大きなチェックポイントになったことは間違いないなと思います。が、それでも「何も変わらず」また今日から従来通りラジオを聴いていけることが本当に幸せに思います。

 新幹線大好きなんですけど、寂しさが止まらなさすぎて、延々収まらなさそうな余韻と共にずっと乗ってたいと思ってしまいました。
 乗る前にホームの隙間から見える高層ビルの明かりが好きです。あれを見ながらため息ついてコーヒー飲んでるあの時間の中にずっといたい……いやいや、もとい、あの素敵すぎた夕闇の野音の中に。

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