見出し画像

木綿のハンカチーフ。欲しいのは彼も?

恋人よ、僕は旅立つ。

日本の名曲、木綿のハンカチーフ。


歌詞を見ると、

彼が悪いみたいになっているが、決して、そんなことはない。


東へ向かう列車へ、はなやいだ街へ行く彼。

都会へ染まらないでと思って、別れを告げる彼女。

そこから、物語は始まる。


半年が過ぎ、久しぶりの連絡。

逢えない代わりに、都会の流行りの指輪をあげるよ。

でも、彼女は、いいえ。

そんなものより、あなたのキスがきらめくの。


そこから、徐々に、悲しき溝が生まれてくる。


素顔で口紅につけないままの恋人を思い、

都会でスーツ着た僕の写真を送るよ、と言うも、

草でねころぶ、あなたが好きだったの、

やんわり断ながらも、でも、からだに気をつけてと、


彼女の中での、

昔のあなたと今のあなた、でも、好きなあなた、

の葛藤、が見事に描かれ、

歌は、最後のサビへと向かっていく。


君を忘れて、変わっていく、ぼくを許して。

でも、毎日、愉快に過ごす街角、僕は、帰れない。


あなた、最後のわがまま、贈り物をねだるわ。

涙拭く、木綿のハンカチーフください。

ハンカチーフください。


と、締めて、歌は、ポップながら哀愁たっぷりで終わっていく。


太田裕美が、かわいい感じで、唄い、

彼女パートのイメージが強いため、

別れを告げた、彼が悪いと一般的には思われる。


しかし、彼は、彼女が嫌いな訳でもなく、今も尚思っている。

でも、都会の煌びやかに、染まり、僕は帰れないと言っている。


そう、彼は、都会に、良くも悪くも、染まっていき、

その狭間で揺れながらも、

帰れない、という苦渋な決断をして、別れを選んだだけ。


この曲が、発表されたのは、1975年。

日本は、まさに高度経済成長期で、

東京へ憧れ、上京する若者が多く、

その時代の世相も、この歌に、色濃く残している。


都会と田舎、煌びやかさとスローライフ、

変わることへの憧れと、変わっていくことで無くしていくもの。

そこで、すれ違う、二人の男女。


それを見事、失恋に落とし込み、悲しき失恋ソングとして、

今の尚、木綿のハンカチーフは、歌い継がれている。


ただの失恋ソングではなく、

その背景で歌われる、

「都会」への憧れ、変わっていく彼、

にも着目して、また、ぜひ聞き直してほしい。


木綿のハンカチーフを欲しいのは、彼女だけでなく、

きっと、都会に憧れた、彼も、かもしれないのだから。






















この記事が参加している募集

私のプレイリスト

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?