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The Land of Enchantment

ニューメキシコ州は、「魔法の土地」という2つ名が付いている。昨日は「逢魔が時」と思いながら人気のないキャンパスを越えてたら、なんだか見たことのない色になっていた。写真じゃ伝わりにくいかもしれませんが。

すでに1600mの高地、見える山は3000m級。住宅街の外側には、砂漠に耐えるサボテンや低木が生える岩と石の風景が広がっている。空はたいてい青くて遠くて宇宙みたい。

そんなニューメキシコ州は、1600年頃にスペイン人がやってきてサンタフェに街をつくり、1821年にスペインからメキシコが独立するときにはメキシコになった。そのあとアメリカに割譲されて、1848年「アメリカ合衆国」の一部になった。先住民族も居を構えていて、いくつもの言語が話されている。今でもナヴァホ族などの先住民族の血を引く人々が多くいる。

アメリカの一部になってから約50年経ってようやく「州」に格上げされるのだが、そのときの州法はバイリンガルで運営することになっていた。これは時効をもうけられたものであったが、州内の過半数がスペイン語人口だったことをうけてのことだという。連邦政府はアリゾナとニューメキシコを束ねてひとつの州にするつもりだったが、言語的な事情が異なることで、別々の州になったという。アリゾナはそんなにスペイン語人口が多くなく、別にバイリンガルでの政府運営も法体系も教育も必要なかったので、対立したのだそうだ。結局ニューメキシコはニューメキシコとして独立し、今でもカリフォルニア・テキサスに次ぐマルチリンガルな州として独自の地位を維持している。

とはいえ、現在は州政府はバイリンガルで運営されていないし、バイリンガル教育校もあるが、ヒスパニック人口47%にたいし、家庭の言語がスペイン語という家庭の割合は36.5%と、数字に開きがある(2010年の国勢調査の結果)。親世代は家でスペイン語を話していたから、「継承語」はスペイン語だが、学校教育は英語で受け、スペイン語は聞いたら分かるが話すのはちょっと、という人も多いのだとか。やはり言語の差別意識というか、強い言語に寄っていくというのは仕方のないことなのだろうか。

とにかく、どの言語がいいとか悪いとかじゃなくて、どの言語も大事にしようねという姿勢は大事だ。けれども、言語には力があることも事実。以前どこかですれ違ったちょっと浮き世離れした異分野の研究者が「あと数十年で石油なんかも枯渇するし、こんな移動しないようになるしそしたらまた個々の生活にもどれるんじゃない」と言っていたけど、どうなんだろうなあ…。そうではない気がするんだけど。

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