
非直接雇用者を含む全スタッフのマスタを作るのは誰の仕事?
多くの企業では、直接雇用の従業員は人事システムで管理されています。しかし、業務委託などの非直接雇用を含む全スタッフのマスタは、どの部門が、どのように管理すべきでしょうか?
私の経験上、多くの企業では、正確かつ最新のマスタは存在していません。この記事では、この原因と、個人的な結論を共有します。
なお、ここで扱う業務委託は、成果物の納品型ではなく、委託元に常駐、またはPCの貸与を受け、委託元従業員と同様に業務を行うケースを指します。
非直接雇用を含むスタッフのマスタの構築がなぜ難しいか
部門別の役割と関心範囲
スタッフの情報について、各部門は、それぞれ異なる役割と関心を持っています。
人事部門:直接雇用の管理に注力しており、非直接雇用者には関心がが無い
法務部門:雇用契約や業務委託契約といった契約の締結や、業務委託の場合は契約期限にいては関心を持つが、実際に働く個人の情報には関心がない
IT・総務部門:雇用形態に関わらず、社用PCやセキュリティカードなどの貸与物やシステムアカウントの管理のため実際に働く個人の情報に関心がある
入社(契約開始)・退職(契約終了)の補足方法
次に、スタッフの入社(契約開始)・退職(契約終了)を補足する方法についてみていきます。
入社(契約開始)
入口については、比較的容易です。PCの貸与やアカウント発行、セキュリティカードの貸与の際にはIT部門・総務部門に連絡が入るため、この時点でマスタに登録することで一定の管理が可能です。
退職(契約終了)
出口はより複雑です。受入部門(業務部門)は契約終了について法務に報告するかもしれませんが、ITや総務に情報が共有されず、貸与物の回収漏れやアカウントの停止漏れが発生しがちです。契約終了日に自動停止する運用も可能ですが、申告漏れによる誤停止で「業務が停止した」といったトラブルが発生するリスクがあります。
IT主導のマスタ管理の必要性
上記で見たように、非直接雇用を含む全スタッフについて、by nameで関心があるのはITと総務のみです。これを踏まえ、システム導入・運用の専門性や、貸与物・アカウント管理との親和性があることから、私はIT主導のマスタ管理が最適だと考えます。
実現に向けては、プロセスとシステムの2面で考える必要があります。
プロセス
プロセスについては、上述のように入口を抑えるのは難しくありません。課題となる出口管理を強化するために、以下のいずれかのプロセスを整備します。
法務からの契約更新・終了通知:契約更新・終了日を法務からIT部門へ通知するフローの確立。
受入部門からの情報申告:事業部門に契約更新・終了日の申告を徹底。
契約終了日ベースの自動対応:契約終了日を入口で確認し、更新連絡がなければ貸与物回収・アカウント停止を実施。
システム
システムとしては、以下の選択肢が考えられます。
スプレッドシートや自前データベースによる管理
Entra IDなどのディレクトリサービスの活用
YESODなどのこの領域の課題解決に特化したSaaSの利用
以上です。