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バイトの日々いやでたまらねぇよ

受験が終わった春休み、時間もあり大学生にもなるんだからと母、祖母に「バイト、バイト…」と勧められた。

隠キャの俺にしては我ながら思い切ったと思う。自らメール→面接→実地ですんなり始まった。

寒かったなぁ~。手をかじかませながら立体交差を自転車でのぼり、頬を赤くして鼻水が出かかっている状態で店長と裏へ…。

春休みで暇だから私は始めたんたぞ!月曜日はいいとして、何故土・日曜日に働かねばならんのか。

私はこのような場で反論?ではないが、嫌だと正直に断ることが出来ないのである。こうしてバイトは始まったのだ。

薬局だったので言うまでもなく春休み期間中のみ働いて、新学期が始まったら退職ということは出来なかった。

多忙な大学生活が始まってもなおバイトをやめることは出来なかった。


もう春やすみは終わったんだぞ!

暇だったからバイトを初め、挙げ句の果てに休日を潰した週3シフト。

学校が始まっても土・日・月のシフトは不変。というかあの優しい店長だったら言えば配慮してくれると分かっていたが私は言えない。

不幸にも私は土曜授業があった(よりによって体育。運動音痴も甚だしい私)。土曜の朝っぱらから午後の土曜シフトに憂鬱な気分を抱きながら電車で大学に向かう。

辛かったのは帰りの電車である。

土曜昼前の電車内。休日を享楽する人々。笑顔に満ち、孫を連れたその子の祖父母。ランチについて話し合うカップル。

私は土・日が大嫌いだ。嫌悪する。

今まで大好きだった土・日。嫌うほどそう感じるものなのか、週末が凄まじいほどの勢いで迫ってくる。毎週毎週毎週…。

今までは週末を待ち望んでいたこの私が。

「まだかまだか(まだ火曜日だぞ…)。」
「もう金曜日か?」

皆様はサザエさん現象が分かるだろうか?

日曜のあの時間帯にそれを見聞きすることにより週始め月曜日の到来を痛感するあれである。

それを私は金曜日に感じるのである。私にも訳がわからない。

未曾有の経験である。なぜ金曜日にサザエさん現象を感じるのか…。

特に日曜は肉体的にも精神的にも辛い。シフトが最も長くそれも午前から入らなければいけない。

私の中でプロと称している人が同じ日曜日のシフトに入っている。

その人は土・日のどちらも午前からの長時間シフトに入っている。三連休を全て長時間のバイトに捧げるほどである。
(単純にすげぇ~。しかも高校生でしょ。オレが高校生のときこんなこと出来やしなかった)

先ほど述べた通り日曜は長時間であり午前と午後をまたぐ。故に休憩がある。

バイト先でする休憩など休憩ではない。私は休憩になるとわざわざ帰宅するのである。

とてつもない開放感。まるで監獄から自由になったような清々しい気持ちである


そんなこんなで大学生活と両立しながらバイトを続けて5ヶ月。

はぁ、このタイミングではもう”辞めたい”しかなかった。毎週毎週休みを潰して…。

— 今日も日曜日がやってきた。休日にも関わらず太陽の日を浴びながらいつもの道を自転車で行く。今ごろリキは寝てるだろうなぁ…。
私の母がリキの母とばったり遭って話を聞いたという。リキは今バイトなどしておらず家にいると…。ただただ羨ましいだけである。 —


「いやだ いやだ」。小さい頃こんな題名の本を読んだ。何故この題名を今思い出すのか…。

いやな事を無理やり我慢してやることで何を得る。耐力?だとしたら他により良い方法があるだろう。

「いやなものはいやなのだ」

こうとしか言いようがない。しかし実に単純だろう。万人に通じる。「いやなものはいやなのだ。」

「これだから現代の若者は…」

所謂オトナたちの声が聞こえる。

私はよくバイト前のソワソワを乗り越え、家を出る直前に「戦場に参る」、また休憩で帰宅した際には「一時休戦だ」と言っている。

そうバイト(先)は戦場なのである。

先日私の同級生がバイトしている回転寿司店へ行った。

その同級生は裏の厨房で仕事していると聞いていたため、そのバイト先にこうしておもむくことに躊躇はなかった。

さぁ帰ろうと立ち上がったそのとき、いたのである仕事中の同級生が。

言っただろ。バイト先は戦場なのだ。

仕事中の同級生の顔はまさにその戦いのさなかとでもいうような顔をしていた。

そんなこんなで面白かったことや大変だったこと、友の頑張る姿を見たりと様々な経験をした。もう少しでバイトを初めて一年経つ。


青天の霹靂とはまさにこのことである。思いもよらなかった。

店長の口から”人件費削減”の言葉がでるとは。

「今しかない」

私はそう決心した。

元々、新学年への進学のタイミングで伝えようとは心に決めていたのだ.


明らかに緊張している。明らかに心臓の鼓動が激しくなっている。明らかに作業の手がまごついている(いつもやっている簡単なことなのに)。

「いいから落ち着け…」

ただ自分に言い聞かせる…。

我ながら、思いのほか潤滑に伝えることができた。

時折そのセリフを口ずさんでいたお陰であった。

店長の反応は…相変わらずの店長であった。

深刻な顔をするわけでなく、私の聞き取りづらいであろうボソボソとした言葉も一語一語親切に聞いてくれた。

私はこうして上手にバイトを辞めることに成功した。店長は最後までいい店長だった。

もうこんな良い店長に会える気がしない。ふむ。感謝しかない。

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