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反乱から革命へ

From Rebellion to Revolution

発信元/Source: Viewpoint Magazine/ビューポイントマガジン

筆者/Writer: Kali Akuno/カリ・アクノ

https://www.viewpointmag.com/2020/06/11/from-rebellion-to-revolution/?fbclid=IwAR3WRofCLfcZrqMqI8b7YVuwBgUEOOqLs3VtAFb6eVtci5VX6iTzxUSRMS4

ジョージ・フロイドの反乱は、我々の目の前で世界を変えている。どのような形で、またどの程度で支配者と被支配者、持つものと持たざる者の間の勢力のバランスが変わるかはまだわからない。明らかなのは、この二つの勢力の間で、活発的で露骨な権力争いが行われているということだ。

今のところ、右派と共和党支持者は傍観者としてこの論争にあまり関わっていない。本当の争いは、一方はリベラル派と民主党支持者、もう一方は警察や監獄の廃止、経済民主主義や脱植民地化のような、アナーキズム、共産主義、社会主義的な分析観点と組織化の伝統からなる、批判的で左翼的な要求を検討し推し進め、アメリカ中の、そして世界中の街頭で抗議しているラディカルな大衆の間で起きている。この論争は街頭で、メディアで、そして
ソーシャルメディアを通して起きている。

これらの場所で世界の動きを見ていると、リベラル派と民主党支持者は、いくつかの点でナレーティブ戦争と「位置の戦争」における有利な立場に立ったように見える。重要な点の一つは「良いデモ参加者」と「悪いデモ参加者」の区別をつけたということだ。このようなナレーティブの優勢は、ネガティブな結果を生じるだろう。その例をいくつかをあげると (1) 反乱のフォーカスを狭めること、(2) この体制の永続を強化する「民主的」な改革と資本主義的な修正の神話を再主張すること、そして (3) この反乱の革命的可能性と底力を弱めることである。

リベラル派の立ち位置の確保の正味の影響は、各地で深刻化する街頭での運動の取り締まりによって、反乱が緩和される明確な兆候を見せていることだ。これが左派を孤立させ、そのラディカルな提案を防御的な立場に追いやっている。これはリベラル派が、警察の廃止や出費の取り消しなどの要求を、徹底してやわらげようしていることが最も明らかに示されているが、それは後で戻るとしよう。リベラル派と民主党の狙いは、この大衆運動を選挙政治、特に2020年の大統領選挙、そして限られたコスメティクな修正と改革に向けて方向転換させることだ。

リベラル派と民主党支持者達が、もっとも重要な進歩をとげたのは、主流メディアを通して反乱の範囲を狭めることだ。もし主流メディアが伝えることを信じるなら、それは根本的に見て、警察を改革することだけにあり、あいまいな「ブラックライブズマター」という要求の枠組みを繰り返すだけである。これは明らかに表された白人至上主義、資本主義、異性愛者中心の家父長制、入植植民地主義の根絶に向ける明瞭な呼びかけを軽視するものである。これら問題を抜きにして、入植植民地主義や奴隷制を啓発する像や象徴の排除や、特定のターゲットに対する報復行為、抑圧、搾取、ジェントリフィケーション行う機関の強制的な解体を理解することは難しい。

その理由は明らかである。リベラル派と民主党支持者たちは革命を支持しないからだ。彼らは、人類を封じ込める抑圧体制を解体することに、まったく興味がない。むしろ、現存の資本主義体制を維持しようと努力している。この目的を達成するためであれば、社会を作り上げる社会関係、特に生産手段の所有と統制の関係を、根本的に壊したり改めたりしない限り、彼らは人々が何をしてもかまわないと思っている。彼らが推し進める歪んだ「ブラックライブズマター」という枠組みは、2020年度大統領選挙のための基盤、特に彼らが勝つために頼らなければならない、黒人やラテンアメリカ系の有権者を強化させることが目的である。そのためなら彼らは、機関とその社会機能の解体はとがめながらも、警察の改革は支持する。

「警察の廃止」や「警察への出費の取り消し」の要求については、現在時点ではまだ、革命が起きていない状況のもとでの問題提起であることを忘れてはならない。この問題への返答はたいてい「警察がなければ、地域社会はどうなるんだ?」という質問だ。この質問は、資本主義的な生産関係や社会再生産が、今まで通り継続されることを推定している。資本も国家も解体や破壊はされず、実際にその(革命の)可能性を提案したり、それに向けて準備している人々は、ほんの少数にすぎない。もし根本的な社会関係が変わらなければ、この改革は、国家の工作員がすぐに攻撃し弱体化させるであろう、一時的な鎮静でしかない。彼らはそれを大失態に仕立て上げ、人々を思いとどまらせるための悪い例とするだろう。何がともあれ、支配階級が与えるものは、すべて取り上げることができるのだ。

もしそうでないと思うのなら、歴史上に、そして現在も進行している、資本主義や帝国主義体制が、その体制から抜け出そうする限られた努力を歪曲し、様々な方法で絞殺、否認し、プロパガンダの道具に仕立て上げた例がいくつもある。このようにして彼らはハイチ、キューバ、そしてベネズエラ、チアパス、ロジャヴァを(奴隷としての)むち打ち刑の例とするのだ。

明確にするが、私は警察廃止への要求は、これらの矛盾を高めるために掲げるべきだと考えている。しかし、それは革命への呼び声と、その体制すべての解体に向けた組織化の努力と共に行わなければならない。その達成なしでは、帝国は必ず逆襲するだろう。それは決して間違いではない。

もう一度言うが、このリベラルな考えの狭さがもちえる結果は、絶対に軽視してはならない。アメリカ全土の国家機関は、何千人もの若いパルチザンたちを追い詰め、「正義」と「法と秩序の復旧」の名のもとに投獄するために、反乱が静まるのを待っている。それは歴史を見れば明らかである。1992年に起きたロサンゼルス反乱の後に、ロサンゼルス警察と保安官部は、「ルール」を破っている場面がビデォに映っていたという理由で、15,000人以上の人々を追い詰め、逮捕した。もし彼らが再び成功すれば、それはこの反乱の有効的な打消しとなるだろう。

我々左派(アナーキスト、共産主義者、先住民主権主義者、革命的ナショナリスト、社会主義者)は、リベラル派と民主党支持者のナレーティブと立場の向上に抵抗しなかればならない。我々は全ての活動領域において、フロイド反乱を、変革的な可能性のある何かに変えるために、カウンターナレーティブを主張しなければならない。これは(原則のある)自立的な行動、戦術の多様性、財産と利益以上の命の尊厳、そして社会関係と勢力のバランスを変えることができる、二重権力の構築と実行を含まねばならない。そしてそれは、もし我々が失敗した場合、国家のハンマーによって狙われ、処刑される第一の犠牲者は左派であるということを、好むと好まざるにかかわらず、理解した上で行わなければならない。

この権力争いにおいて、様々な難関が我々に立ちはだかっているにもかかわらず、革命というオルタナティブはまだ残っている。革命への道は実際に存在する。私の考えでは、それは既に存在した、そしてパンデミック中に初期的な形態で現れた政治化された共済、食糧主権、協同経済、地域生産、自己防衛、人民集会やゼネストなどによって固定された戦略の進行にある。それは二重権力の基礎を築くために、これらの取り組みを大衆レベルで連合させる民主的な努力によって活かすことができる。

我々が様々な団体と援助者たちと作り上げてきた協同ジャクソン (Cooperation Jackson) と人民ストライキ連合 (People's Strike) は、大衆運動に左派としてのカウンターナレーティブを挿入するために、このようなプログラムを進行してきた。次に我々が行おうとしている運動への提案の一つは、大規模な人民集会を行うことだ。オキュパイ運動での経験を基盤に、ニューヨーク、オークランド、ポートランドやシアトルなどの都市部で自発的な発展として人民集会が行われてきた。これは画期的な発展だ。しかし、我々はこのような集会がより多く必要だ。

我々人民ストライキ連合は、集会が全ての場所で行われるように呼び掛け、特に来る7月1日には、全国ストラィキ行動の第一回を行う予定だ。我々が提案してきたこと、そしてその過程で我々が提供することは、ゼネラル・ストライキの実行に向けて人民を組織化することだ。現在の状況下におけるゼネストの始まりは、街頭で人民集会を行い、ゼネストについて議論し、その実行か否かを投票で決めることだ。これが街頭における抗議運動を、社会を根本的に変革することができる二重権力の手段として開花させる方法である。

団結して戦え!ゼネストを構築せよ!

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筆者のカリ・アクノ氏。彼は協同ジャクソンの創始者の1人である。

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