こんなタックルは危険だ!
前回の記事では、
タックルの技術と怪我の関係についての論文を
ご紹介しました。
タックルの技術をスコア化して、
発生した怪我との関連をみたものですが、
タックルで怪我をした選手のスコアが
有意に低かった、というものです。
ラグビーでは、
こういうタックルは危険だ!
と言われるタックルの種類がいくつかあります。
今回は、
「危険なタックル」つまり、
どのようなタックルが怪我に繋がりやすいか、
についてのお話をしようと思います。
Fullerら(2010)は
英国プレミアリーグ13チームの645選手を対象に
2シーズンの前向き調査を行っています。
その結果、
ボールキャリアー、タックラー共に、
高速度で正面から衝突するのはリスクが高く、
collision tackle(相手をつかまずに吹っ飛ばすタックル:写真下)
(Fuller CW et al. Injury risks associated with tackling in rugby union. BJSM (44);159-167: 2010より引用)
では、ボールキャリアー、タックラー共に怪我のリスクが高いことが
わかりました。
このように相手を掴まずに、吹っ飛ばすようなタックルは、
大変危険で、ルール上、
「No bind tackle」
という反則を取られます。
これは、Foul playとなるので、
絶対にしてはいけません。
では、ルール内でプレーしている場合はどうでしょうか。
この記事の連載2回目でご紹介した
Brooksら(2005)の報告では、
怪我の生じたタックルの56%は
正面から相手にコンタクトしたもので、
38%は横からコンタクトしたものだったとされています。
半分以上は、正面からタックルに入って、
怪我をしているわけですね。
(Fuller et al. 2010上記より引用)
タックルした選手に生じる怪我で多いのは、
脳振盪と頚部の神経根障害(バーナー症候群など)ですが、
重症度が高いのは肩関節の脱臼・亜脱臼だとされています。
また、Querrieら(2008)は、
New Zealandのプロリーグで
434試合から140,249のタックルを抽出し、
怪我が生じたタックルのうち詳細が把握できた281のシーンから
要因を探っています。
その結果、
タックルする選手がボールキャリアーの
大腿部より下に入ることは、
骨盤、体幹にタックルするより
怪我のリスクが高く、
ボールキャリアーのスピードが速くなれば、
それだけ危ないことがわかりました(写真下)。
Fuellerらは、前述の論文で、
頭と頭がダイレクトにコンタクトすることも
頭頚部外傷のリスクであるとしており、
まとめると、
ボールキャリアーが勢いよく走ってきて、
正面からlow tackleに入ったり、
頭と頭が衝突するようなタックルは
怪我のリスクが高くなる、ということが言えそうです。
Foulとなるような
collision tackleやLift tackleはさておき、
(Lift tackle:Fueller et al.より)
1対1の局面でタックルする際は、
足下に飛び込んだり、
相手の頭部と直接コンタクトするような高さに体を位置させず、
相手の骨盤から体幹にしっかり肩でコンタクトすることが、
怪我を防ぐために必要な技術であると言えそうです。
次回は、
1対1のタックルで、
特に気をつけたい「頭の位置」
に関する情報をお伝えしたいと思います。
最後までお読みいただき、
ありがとうございました。
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今回記事の引用:
Fuller CW et al. Injury risks associated with tackling in rugby union. BJSM (44);159-167: 2010
Brooks JHM et al. Epidemiology of injuries in Englis proffessional rugbyunion; part 1 match injuries. BJSM (39); 757-766: 2005
Quarrie KL and Hopkins WG. Tackle injuries in professional rugby union.AJSM (36); 1705-1716: 2008.
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