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こんなタックルは危険だ!

前回の記事では、

タックルの技術と怪我の関係についての論文を

ご紹介しました。

タックルの技術をスコア化して、

発生した怪我との関連をみたものですが、

タックルで怪我をした選手のスコアが

有意に低かった、というものです。

ラグビーでは、

こういうタックルは危険だ!

と言われるタックルの種類がいくつかあります。

今回は、

「危険なタックル」つまり、

どのようなタックルが怪我に繋がりやすいか、

についてのお話をしようと思います。

Fullerら(2010)は

英国プレミアリーグ13チームの645選手を対象に

2シーズンの前向き調査を行っています。

その結果、

ボールキャリアー、タックラー共に、

高速度で正面から衝突するのはリスクが高く、

collision tackle(相手をつかまずに吹っ飛ばすタックル:写真下)

スクリーンショット 2020-04-17 10.20.32

(Fuller CW et al. Injury risks associated with tackling in rugby union. BJSM (44);159-167: 2010より引用)

では、ボールキャリアー、タックラー共に怪我のリスクが高いことが

わかりました。

このように相手を掴まずに、吹っ飛ばすようなタックルは、

大変危険で、ルール上、

「No bind tackle」

という反則を取られます。

これは、Foul playとなるので、

絶対にしてはいけません。

では、ルール内でプレーしている場合はどうでしょうか。

この記事の連載2回目でご紹介した

Brooksら(2005)の報告では、

怪我の生じたタックルの56%は

正面から相手にコンタクトしたもので、

38%は横からコンタクトしたものだったとされています。

半分以上は、正面からタックルに入って、

怪我をしているわけですね。

スクリーンショット 2020-04-17 11.11.46

        (Fuller et al. 2010上記より引用)

タックルした選手に生じる怪我で多いのは、

脳振盪と頚部の神経根障害(バーナー症候群など)ですが、

重症度が高いのは肩関節の脱臼・亜脱臼だとされています。

また、Querrieら(2008)は、

New Zealandのプロリーグで

434試合から140,249のタックルを抽出し、

怪我が生じたタックルのうち詳細が把握できた281のシーンから

要因を探っています。

その結果、

タックルする選手がボールキャリアーの

大腿部より下に入ることは、

骨盤、体幹にタックルするより

怪我のリスクが高く、

ボールキャリアーのスピードが速くなれば、

それだけ危ないことがわかりました(写真下)。

スクリーンショット 2020-04-17 11.07.21

Fuellerらは、前述の論文で、

頭と頭がダイレクトにコンタクトすることも

頭頚部外傷のリスクであるとしており、

まとめると、

ボールキャリアーが勢いよく走ってきて、

正面からlow tackleに入ったり、

頭と頭が衝突するようなタックルは

怪我のリスクが高くなる、ということが言えそうです。

Foulとなるような

collision tackleやLift tackleはさておき、

スクリーンショット 2020-04-17 12.02.33

         (Lift tackle:Fueller et al.より)

1対1の局面でタックルする際は、

足下に飛び込んだり、

相手の頭部と直接コンタクトするような高さに体を位置させず、

相手の骨盤から体幹にしっかり肩でコンタクトすることが、

怪我を防ぐために必要な技術であると言えそうです。

次回は、

1対1のタックルで、

特に気をつけたい「頭の位置」

に関する情報をお伝えしたいと思います。

最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

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今回記事の引用:

Fuller CW et al. Injury risks associated with tackling in rugby union. BJSM (44);159-167: 2010

Brooks JHM et al. Epidemiology of injuries in Englis proffessional rugbyunion; part 1 match injuries. BJSM (39); 757-766: 2005

Quarrie KL and Hopkins WG. Tackle injuries in professional rugby union.AJSM (36); 1705-1716: 2008.

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