タックル技術とケガ
こんにちは。
Re-Viveの真木です。
前回は、ラグビーにおけるタックルの種類や、
どんな種類のタックルでケガが多く生じるのか、
といったお話をしました。
今回は、タックルの技術とケガの間に関係はあるか、
というお話を、
一本の論文からご紹介したいと思います。
Burger(2017)らは、
南アフリカUnder 18のユース大会をビデオで解析して
ケガが生じたタックルと生じなかったタックルの違い
をまとめています。
(Burger N et al. Tackle technique and tackle-related injuries in high-level South Africa rugby union under-18 players: real-match video analysis. BJSM. 932-938; 2016)
26件のタックルによる受傷場面を
248のケガが生じなかったタックルと比較しています。
その結果、
タックルすることで生じたケガのうち、
31%はタックルが成功していて、
40%以上(11件)は、正面からタックルに入ったものでした。
残りの15件は、横から、もしくは後ろからタックルに入っていた。
26件のうち14件は、一人でタックルに入っていて、
残りは、2人、もしくは3人、
またはセカンドタックル
(誰かがタックルに入っているところに2番めに入る)
に入ったときに生じていた。
タックルのスキルに関しては、
Gabbetらが行っている1対1のタックルスキル評価を参考にして、
評価項目を作成しています。
Gabbetらは、2009年に、
以下の評価をして、実際にレベルの高い選手が良いスコアだったこと、
経験年数の長い選手のスコアが良かったことを報告しています。
その評価項目がこちらです。
1.ターゲットのcenter of gravity(つまり体の中心)にコンタクトしている
2.肩でターゲットにコンタクトしている
3.ボディポジションがスクエア(相手に正対してまっすぐ)
4.足を動かし続けている
5.肩越しに相手をしっかりと見据えている
6.支持基底面の前に重心がある
の6項目。Burgerは、この評価を更に細かくして、
16項目で評価しています。
結果、正面からタックルに入ってケガをした選手の点数は、
平均で7.00±1.95点
ケガをしていない選手の点数は
平均で9.35±2.56点
この間には有意な差があったということ。
技術の違いがどこにあったかというと、
タックルした後にしっかりとボールキャリアを離している、
タックルする前に細かくステップしている、
肩でコンタクトしている、
しっかりと腕を使っている
(パンチするように両腕を伸ばし、相手を包むように掴む)、
といった項目に差があったようです。
横から、とか後ろからのタックルでは、
ケガをしたタックル15件の点数が
平均で5.47±1.6点、
ケガをしていないタックルの点数は、
平均で8.14±1.75点と、
こちらも差がありました。
ボールキャリアを腕で引っ張ってグランドに倒す、
爆発的にコンタクトしている、
相手の重心をしっかりとらえる、
肩でコンタクトしている、
タックルした後に相手を離している、
といった項目に差があったようです。
上手な人はケガをしないのかどうなのか。
上手な人は何度もタックルに行くので、
それだけケガのリスクも高くなります。
それでもタックルでケガをしない人は、
やはり何らかのスキルが熟達していると想像できます。
今回は18歳以下を対象にした研究でしたが、
ケガをしているときとそうでないときでは、
やはり「正しいとされる技術」からの逸脱があるようです。
ラグビーをするなら、
安全にタックルに入る技術をしっかり身につけて臨みたいですね!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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