連載が終わらせられない(2019年9月24日再録/ラストに後日談加筆有り)

※これは、2019年に書き連ねた同人文字書きとしての感情の発露の文章の再録です。へっぽこ文字書きがうだうだ言ってるって感じの内容で良ければご覧ください。


 もしあなたが、とある誰かが書いた作品が好きだとして(同人に限らず)、その人がある日突然作品を消して居なくなってしまったとしても、それを責めないであげて欲しいっていうのは大抵の同人歴ある読み手や書き手なら(すごく寂しいけれど)理解できる感情だと思う。
 さらにここから発展させて考えたい。ある物書き(マンガとかも含む)が何か連載っぽいものを長期間ウェブで上げていたり本か何かで発表していたとして……その連載がパタリと止まったとしても、気長に待って欲しいと、文字書きの末端の一人として思うのだ。

 待ってますとか楽しみにしていますみたいな言葉はすごく嬉しい(プレッシャーになる人もいるが、やる気をもらえて嬉しい人も多いと思う)。そういうのは状況次第では伝えてもいいと思う。
 勿論そのジャンルへの興味を無くして書けなくなっちゃった。書く気が無くなった。もう未練がなくなった、単純に同人に割ける時間がなくなったからこれでもう諦めたってこともあると思うけど、もしかしたらその人は続きに悩んでいるのかもしれない。本当はすごくスローペースに書くタイプなのにストックを一気に放出してしまっただけなのかもしれない。何かあって一年くらい創作できない状態になってしまっているかも……そういうのは想像できると思うんですけど、連載の続きがすぐにアップできないって、それ以外にも理由があると思うんですよね。これはあくまで連載ばっかりしておる私の個人的な意見ですが。

理由は単純に「最後を書くのがこわい」から。

 何を甘いことを言っているんだ、って思うでしょう?私もこれが仕事ならそう思うし、読み手の立場からすれば「ふざけんな、広げた風呂敷しっかり閉じろ」って言いたい気持ちわかるんだよ。言われても仕方がないと思っている。
 最後まで書いても次に違うもの書けばいい、違うものも見たいから書いてよと叱咤激励されたらすごく嬉しい、のだけど……こわいの。二つのことが。

連載している間は少なくとも読んでいる人がある程度追ってくれているけれど、それが終わってしまえば「過去の人」扱いになって誰も相手にしてくれなくなること。

 →こわい。でもこれはね〜〜仕方がないよね。前の方が良いって言われるのも仕方がない。だって他人の気持ちなんて考えて同人創作しているわけじゃないもの……自分の一番が過去作だと言われても、あとは蛇足だと言われても、仕方がない。人の気持ちは私ごときには変えられないって言い聞かせている。これまで読んでくれたことに感謝しなきゃ、と思うしかない。

終わりを書いたら、その世界への創作興味を無くしてしまうかもしれない。もしくは創作そのものへの興味も。

 →これです。これが一番こわい。満足しちゃうと書けなくなるかも……いやこれまで散々書き散らかしたお前なら平気だろって思うでしょ? いや、書き終わったときにどうなるかなんて、書き終えたその人にしかわからないからね。怖がっている本人にもわからない。創作欲がなくてもそれはそれで平和なんだろうけど……一度うまい汁を吸うともう戻れないんですよ……書けないのに書いたあの快楽だけを得たいって感覚に、この先苦しむかもとか考えるだけで、すげーこわい。

 書くのは楽しい、読んでくれて嬉しい、でも終わりはこわいし、簡単に終わらせてくれって言われるとツライ……そんな風にビクビクウサギのように生きている創作者のことを、少しでも気に留めて頂けると嬉しい。

 私の場合はDQはそうなるのが嫌だと思い、最後まで書ききって(60万文字超)から少しずつ放出する手段に出たのであまり何も思わないのだけど、ホプライの(最初のではなく)今の長編の連載がそれで。あとはラストの話だけなのにそれが終えられずに二年経ってしまっている。もともと表に出すつもりで書いたわけじゃないから、って気持ちも手伝って中途半端になっている。


 なんでこんな薄暗いことを唐突に書いたのかというと……ホプライの連載のラストの話の展開がだいたい浮かんだから。ほんと突然な……今まで全く浮かばなかったのに。
 これを書いたら私はどうなるのかわからない。けれどストーリーがそこに流れているなら従うしかない。それが同人文字書きだと思っている。


***

後日談

 この後、さまざまな葛藤を経て私は創作を続け、2020年4月に連載を完結させることができた。
 おそれていた通り、連載終了後の活動について、連載中に比べて感想をいただく機会や反応を頂く機会はめっきり減ってしまったが、興味を失われてしまったのだろうから仕方がないと思っている。
 一番こわいと思っていた創作意欲の消失についてだが、これは回避できた。色々な興味あることに向き合っているうちにどのジャンルでも書きたい話が出てきてくれて、結局連載を終わらせた2020年には私は同人小説本を10冊出している(再録含む。書き下ろしの本は5冊)
 連載を終わらせるのは寂しい。だけど満ち足りた気持ちになる。終わらせられて良かったと本当に思う。
 

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