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台風被災地・千葉の現状と展望

 昨日は、千葉の被災状況を確認するため、一日かけて山武市・佐倉市・富津市・鋸南町を回りました。そこで見えてきた課題について、住宅被害と農業被害についてまとめます。

■住宅被害

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 鋸南町が顕著でしたが、千葉ではほぼ全域にわたってブルーシートがかけられている家が点在しています。
 今回の台風被災の課題は、屋根が吹き飛ばされて実質的に生活が困難な家であっても、区分上は全壊でも半壊でもなく一部損壊になってしまうことです。半壊なら60万円弱の修理費用が公的支援から得られますが、一部損壊ではゼロ。地震保険も、全半壊では保険金額の30-100%得られますが、一部損壊では5%に留まリます。9/20時点では、全半壊465棟に対し、一部損壊が9,544棟(※1)。95%の住宅被害への対応が大きな課題です。
 千葉の自治体からの強い要請により、国土交通大臣は交付金で手当する方針も示すなど(※2)、国も対応を急いでいますが、どこまで支援が行き届くか注視する必要があります。
 また大量に修理の要請があるため、住宅の工事が追いついていません。富津市のコワーキングスペースの方に話を伺ったところ、ガレージの修理で業者に連絡したが返事もなく、数百件も待機がでている状況とのことです。

※1 千葉県災害対策本部会議資料(9/20時点)
https://www.pref.chiba.lg.jp/bousai/bousai/documents/saitaihonbukaigisiryou5-1.pdf

※2 住宅一部損壊も修理支援 国交省、千葉の台風被害(9/20)
https://www.sankei.com/affairs/news/190920/afr1909200032-n1.html

■農業被害

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 台風による農業被害では、まず強烈な突風でハウスが吹き飛ばされたことがあります。さらに一週間以上の停電があったことで、野菜に水を与えるといった作業や、米の収穫作業も滞ってしまいました。また冷蔵・冷凍していた加工品もダメになっています。
 加えて問題なのが、人材不足・資材不足です。農家は、これから被害があったハウスを撤去し、新設する必要があります。しかしブルーシート張り同様に、ハウスを撤去する業者が足りません。また、ハウス資材が完全に不足しています。このままでは、来シーズンのメロンやスイカの種まきも追いつかず、被害が拡大するのでは、との心配の声がありました。地元の皆さんも、自治体レベルではどうにもならず、国全体での対応が必要ではないか・・と話されていました。

■広域連携・中央地域連携の課題

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 東日本大震災でも、被災地域が広がったためにメディア報道や政府・民間の支援が行き届かなかった面がありました。今回も同様の側面があり、自治体が回っていないなかで取り残された個人や事業者がいます。
 政府も省庁をこえて各地の課題に対応する必要がありますし、民間団体も情報連携が求められます。地域側も、横のネットワークを作り情報や人材を連携することが必要です。
 基礎自治体、県、国の連携も課題がありそうです。千葉県の初動が速くなかったことに批判的な報道があります(※3)。地元の方に聞くと、そのような印象を受けるとのこと。背景としては、千葉の農業は巨大市場が隣にあるために、政府・行政の支援を得ずとも事業が成り立っていたこと。そのため、行政と農家間で強いパイプがないと指摘する声がありました。
 なお、初動対応についてはメディアの課題もありそうです。9月11日の内閣改造にメディアが注目し、千葉の報道がほとんどありませんでした。ジャーナリストの堀潤さんは11日の午後には鋸南に現地入りし、その日の深夜に記事をアップされています(※4)。政府・企業に限らず、メディアや民間の取り組みの課題も残ります。

※3 停電なぜ長期化したか 千葉県の初動対応腰重く 全容今も分からず
https://mainichi.jp/articles/20190920/k00/00m/040/328000c

※4 「電話も繋がらない、テレビも見られない、情報が手に入らない」停電続く千葉県鋸南町の住民のいま
https://news.yahoo.co.jp/byline/horijun/20190912-00142282/

■今後に向けて

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 一方で、今回の災害が新しい農業に千葉が生まれ変わる契機になるのでは、との声もありました。
 千葉県も農家の高齢化が著しく、10年前にくらべて農家数が3分の2に減っています。以前は北海道につぎ国内2位の農業県でしたが、茨城県・鹿児島県に抜かされました。今回被害を受けた高齢農家は、いくら国の支援があっても、新たなハウスに投資はできません。そこで、若い農家がこれを機に拡大を目指すべき、との声がありました。
 千葉では二年前にも台風の大きな被害がありました。そして今年。気候変動により、今後も災害の発生が予想されます。であれば、災害が起きてもすぐに農産物を加工品にできたり、災害があっても切れない独自の流通ルートを作るべき、との声がありました。また、味は抜群なのに曲がっただけでキュウリを廃棄していたような、そうした発想を変えられる農業に転換すべき、との声もありました。みなさん、この災害を機に、そうした取組を一段階前進させようとしていました。被災の只中にも関わらず。

 RCFとしては、こうした被害状況を理解しましたから、千葉地域の復旧に向けて何ができるかを考えたいと思います。そしてできうれば、復旧に終わらせず、新しい千葉の取り組みが生まれるような機会提供ができないか、今後検討を続けていきます。

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RCF代表。一橋大学卒業後、マッキンゼーを経て独立。社会事業コーディネイター集団として活動しています。著書に『社会のために働く』(講談社)『人生100年時代の国家戦略~小泉小委員会の500日』(東洋経済新報社)、共著に『東日本大震災 復興が日本を変える』(ぎょうせい)他
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