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やさしいてをめぐる旅。 Soap&Perfume Shiho

「やさしいて」をめぐる旅、つづいては
海の見える街、塩屋で石鹸やトワレをつくっているShihoさん。
やさしいては何と言っても「手」の絵本ですから、
手洗いのことも欠かしたくなかったのです。
Shihoさんのつくるやさしい石鹸たちのことを
素敵なアトリエでじっくりお聴きしました。
やさしいて対談、第2回のはじまりです。

Shiho Morioka 

神戸、塩屋のアトリエで石鹸・練り香水・トワレを制作。木々から生まれたオイルやバターで、時間をかけた石鹸作り。色やクレイやハーブなど。香りは花、草、樹脂などの天然香料で穏やかに。自分好みのオイル配合、インスピレーションでの調香を楽しみながら、洗髪、メイク落とし、ボディ、お掃除など10年以上石鹸ひとつでなんでも済ませる生活をしています。時々ワークショップなど楽しいことも。



白川:
ぼくね、まず最初に言いたいセリフがあって。


しほ:
お、なになに?


白川:
「しほです。」


しほ・カメラマン:
あっはっはっは。

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白川:
よーしウケた。今日の仕事おしまい(笑)

いやね、しほさんはSNSを更新するとき
ぜったいに「しほです」が書き出しでしょう。
あれ、すごい発明ですよ。
あの書き出しがあるだけで、しほさんだって分かるもん。


しほ:
あれはね、元々石鹸作りは
グループでやってたんですよ。
だから文頭に誰の投稿かを書かないと
誰が書いてるか分かんないから付けたんです。


白川:
元々グループでやってたんだ!初耳です。


しほ:
そうそう。
石鹸作れるって子が友達にいて
実際にみんなでやってみたんですけど、
初めてだし、なんとも使い心地が悪くって(笑)
ちょうど手作りの石鹸が日本でも流行り始めた頃でね、
パッケージもちょっとダサかったんですよ。
で、これおしゃれにして作ったら楽しくない?って。


白川:
へえー!
なんだか女の子の感じですよね。
あの子ぜったい化粧映えするから、
ちゃんとお化粧してあげようよ!みたいな。


しほ:
その感じですね(笑)
とにかく遊びをしたかったんですよ、当時。
ビジネスを遊びにしたかったというか。
でも私たちもただの主婦だし、そんな
大きいビジネスなんてできっこないから
ビジネスと言いながら遊ぼう、と。

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白川:
遊びながらちいさい仕事をする感覚ですね。


しほ:
そのときは石鹸そのものが身体に良いとか
考えたこともなかったんだよね。
でもよく考えたら私、アトピーも持ってるし
皮膚も薄いし弱いし、だんだん私だけ
のめりこんじゃって。気づいたら一人に(笑)


白川:
その頃から製法とかは変わってないんですか?


しほ:
そもそも石鹸って、化学変化でつくるんですね。
ざっくりまとめると、油とアルカリで出来るんです。
で、人によってその配合が違う。


白川:
なるほど。


しほ:
肌に使うものだからセオリーはあるんだけど。
私はすごい研究して、もちろんし尽くしてはないんだけど、
数年前にちょうどいい配合を見つけたから
これでいっか!って(笑)


白川:
配合というのは、
使うオイルを変えていくんですか?


しほ:
そうそう。
オリーブオイルとか、ココナッツオイルとか、
パームオイルとか色々あって。
それを何グラムずつ入れるかを配合するんです。


白川:
香りは、そのオイルの香りに?


しほ:
私は、香りには精油を使ってるんです。
ちょっと持ってきましょうか。(ぱたぱた…)


白川:
おお、これが精油。
エッセンシャルオイルってやつですね。

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しほ:
良い香りの葉っぱの裏に小さな香りの袋があって。
指で触ったら匂いがつくんだけどね。
その葉っぱを蒸したり冷やしたりしたら、
油っぽい香りの成分が採れる。それが精油。
簡単に説明すると、ですけど。


白川:
へえー!香りの袋があるんだ!


しほ:
植物から集めた本物の精油だけを
使うって私は決めてます。


白川:
これが香りになるんですね。
例えば、この2つを何滴ずつ、
みたいなのもあるんですか?


しほ:
石鹸って、ひとかたまりでつくって
カットするから元は大きいんです。
だからひとかたまりに70滴くらい入れるかな。

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白川:
あ、そっか!
数滴じゃ香らないですもんね。


しほ:
もちろん刺激物ではあるから、
入れすぎはよくないんだけどね。
だから研究しもって、香りを調合します。


白川:
はあー。職人というかもう、研究者だ。

調香って、とてもむづかしくて繊細じゃないですか。
そのときのコンディションや気分によって
つくりたい香りは変わったりします?


しほ:
私、そんなにコンディション変わんないんだよね。健康だし。


白川:
生活のプロだ(笑)
でもちいさい揺らぎはあるでしょう?

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しほ:
それはありますよ。
本当はすごく衝動的だし、
感情も爆発しやすいタイプだけど
あんまり仕事には影響しないかな。


白川:
逆に、しほさん自身が調香に向き合うことで
落ち着けているのかもしれませんね。


しほ:
ああ、そうかも。
仕事として、というのもあるし、
そもそも落ち着いてつくらないと危ないしね。
でも、調香というほど立派なことしてませんよ。


白川:
そーれは謙遜でしょう。


しほ:
そもそもぜんぶいい香りだから、
どう混ぜてもいい香りなんです(笑)
私が何かするというより、
植物がどうにかしてくれる。


白川:
しほさんとは、この春からスタートした塩屋文芸部
という部活動でグッと距離が縮まったじゃないですか。
それこそ、ぼくもしほさんも、
今日カメラを撮ってくれている部長も
塩屋文芸部の一員です。
でね、その塩屋文芸部の第6回課題で、しほさんは
「調香ノート」という作品をお書きになったでしょう。


しほ:
あ、そういえば書きましたね。

調香ノート、その一部より

(第6回作品「調香ノート、その一部より」)


白川:
あれ、とてもいい作品でしたよね。
職人の体内に蓄積された技術の断片を
見させてもらった感じでした。
ひとつの精油から、いくつもの印象を書き出していて。
印象を逃さずキャッチする能力がすごい。


しほ:
なんとなく、ではあるけどね(笑)


白川:
それらを組み合わせてつくるのって、
やっぱりすごいことですよ。

ぼく、香りと思い出は近いものだと思っていて。
『僕等がいた』という少女漫画のなかで
すごい好きなセリフがあるんです。


しほ:
お、その漫画知らない。


白川:
「思い出は忘れなくたっていい。
大事に心の隅の箱にしまっておいて
ときどき箱を取り出してふたを開けて
懐かしめばいいじゃない」
みたいなセリフだったんですけど。


しほ:
へえー。いいセリフ。


白川:
ぼくはしほさんのつくった
石鹸とか練り香水とかを
4つくらい持ってるんですけど。
香りは、気分によって「今日はこれ!」みたいな
選び方ができるのがいいんですよね。
それこそ、箱から出して懐かしむように。

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しほ:
香りと、記憶や感情はリンクしてるしね。
その使い方は推奨したい。


白川:
自分の気分で使い分けるんですけど、
じつは逆もできるんですよ。
この気分になりたいから、これにしよう。
香りって、そういう使い方もできますよね。


しほ:
ほんっとそうなんです!
笑うから元気になる、みたいなね。


白川:
香りも、さりげなく、やさしく
目には見えないけれどたしかに
その人に寄り添ってくれるもので。
石鹸は手洗いでも使うものですし。
なので今回、しほさんの石鹸もぜひ
絵本の売り場に置かせてください!
ってお願いしたわけですけども。


しほ:
ありがとうございます。
それをさ、読みたいんだよ。


白川:
あ、お渡しするの忘れてた。
(ごそごそ)
ささ、おひとつどうぞ。

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しほ:
わー!ちいさい!
知ってはいたけど、思ってたよりちいさいサイズでした。


白川:
ちょうど、文庫本をよこに倒したくらいです。


しほ:
ふむふむ…
はあーっ。
こうくるんだー。


白川:
あっはっは。
そうきます。


しほ:
あ、これがおまけ。
どれどれ…

はあー。このおまけも、こりゃいかんね。


白川:
おまけ、いいでしょう。
おまけにするにはもったいないくらいのおまけ。


しほ:
プレゼントにぴったりの絵本だね。
贈りやすいし、貰いやすい。

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白川:
しほさんの石鹸と一緒に贈らせてもらえるのもね、楽しみですね。
今回、絵本と一緒にぼくの好きなものたちを
セットで販売させてもらおうと考えたんですけど。
売り場そのものも賑やかにしたいんです。
お買い物って、ムードも含めて楽しいじゃないですか。


しほ:
ほんとそうだね。
私の石鹸以外のものも、楽しみです。


白川:
ああ、あとね、しほさんのつくる石鹸は
ぜーんぶ「おいしそう」なんですよ。


しほ:
えっへっへ。


白川:
これ、すごいことだと思うんです。
だって「おいしそう」だと感じるものって
身体にわるいわけないでしょう?

動物ですから、危ないものは
本能的に口にしませんよ。
でもしほさんのつくる石鹸は、
制作過程も含めて「おいしそう」なんです。
感覚としては、纏うスイーツに近い。


しほ:
おいしそうなものは、見てても楽しいしね。
たまにシナモンの香りとかもつくるんですが、
つくってるときが一番テンションが上がります。
食べたくなっちゃう。食べないけど。


白川:
しほさんのつくるおいしそうな石鹸たちも、
ぜひ手に取っていただけたら嬉しいです。

しほさん、今日はありがとうございました。


しほ:
こちらこそ。
あ、明後日は塩屋文芸部の〆切だから
お互い頑張りましょう。

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(撮影:櫻井みずき)

Soap&Perfume Shihoさんの石鹸と絵本のセットはこちらから!


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