隣人はどこまでが隣人か?

*先日のラジオでね、話しながらポンと思いついたテーマがある。「隣人とは、どこまで隣人か?」だ。書いてみて、なんだか似たようなことをそういえば書いた気がするけれど、まあいいだろう。ようするに、隣人とはどこまで隣人だと思いますか?っちゅーわけである。

「隣人を愛せ」とキリストのおっちゃんが言った時代ってのはね、まさに「隣」までが隣人だったと思うのよ。半径3~5mくらいの人までが、隣だったと思うのよね。つまり、心の距離と体の距離ってのがほぼイコールだったと思うわけですよ。ところがどっこい、今の世の中ってのはそうじゃないでしょう?世界中どこへでも行けるようになって、インターネットも繋がったからすぐにテレビ電話もできてさ、まさに距離がなくなったわけでござんすよ。

同じ職場ではたらいている同僚よりも、地球の裏側を旅している友人の方が心の距離が近い、つまり隣として感じられることはもはや普通だと言ってもいいよね。
とすると、今のぼくたちの隣人ってのは、いったいどこからどこまでが隣人なんだろう?と思うわけです。人それぞれだとは思うんだけど、ぼくにとっての隣人ってのは、いったい誰のことだろう?似たようなことを、ぼくは毎月はじめに考えているんだけどもね。

「昔仲よかった友人が亡くなったことよりもね、家で飼っている猫が亡くなったことの方がね、なんだかさびしかったんですよ」吉本隆明さんの本の中に、こんな一文があったのを憶えている。このことはまさに、吉本さんにとって、猫の方が隣に近かったことなんだろうと思った。隣ってのもさ、限りがあるわけでさ。全員を隣に置くことなんかできないわけでね、いったいぼくの隣はどこだろうと思うわけでね。


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