トイレが好きな人間

*ヒトはどうしてトイレが好きなのか?と考えたとき、いろいろと理由は出てくると思うんだけど、やっぱりまずは「ひとりの空間だから」がおおきいよなぁ。誰にも見られておらず、広すぎず狭すぎず、自分ひとりがすっぽりと入って、まあちょっと軽い体操くらいはできるほどのスペースに、ずっしりと座っている。お金持ちの友人の部屋みたいにムダに広くたって落ち着かないし、狭すぎても圧迫感がある。

あともうひとつは「トイレは用を足す場所」というのが、じつは二番目に大きい、いや、皆言わないだけでほんとは一番じゃないかなー。用を足す場所、つまり自分の肌の露出が増える、もっと言えばデリケートゾーンをあらわにしていい場所、というのがあるだろう。あと、いわば「きたないこと」をする場所でもあるからだ。心のどこかで、汚れてもいいという感覚は存在していると思うんだよね。もちろん、きれいに使うけれど、自分の部屋みたいに所有物があったりするわけでもなく、なにひとつ自分のものはなくって、かつ、汚いものを出す場所でもある。その感覚は、たぶん誰しもが持っているような気もする。

同じ感じで言ったらお風呂もそうだけど、お風呂は「きれいにする場所」のイメージが強いよね。でも、きたないものを出したり洗ったりするという意味合いではトイレもお風呂もおなじようなものだけど、トイレは「きたないを排出する場所」として捉えている気がする。ちょっと前まで自分の一部だったものを汚いと思ってしまうのって、どこか滑稽なようだよね。

トイレはどうして、こうまで落ち着くのか。トイレで考え事も、読書も、ぼーっとすることもできる。トイレから宇宙を考えることだってできるんだ。なんてことを、おれはトイレに居ながら考えているのである。ま、書いているのは、トイレから戻った自分の部屋だけどさ。もちろん、パンツもズボンも履いている。


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