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今日のうんち

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食べたら、でるもの。なにかを食べては、今日も出す。 2018年4月16日よりまいにち更新される、白川烈が書くエッセイです。 クサいときもあるかもしれませんが、それはご愛嬌で。… もっと読む
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#白川烈

労働後のビールがウマいわけ。

*きのうは、海の近くの塩屋という街に行った。先日飲み屋で出会った方がその街でギャラリーを営んでいるというので、塩屋に住むお姉さまに案内してもらいながら、坂道だらけの街をえっほえっほと歩いた。寒かったけれど、すぐに暑くなるどころか、汗だくだったけどね。あの街に住む人は、みんな健康そうだなぁ。さんぽが、ちょっとした登山くらいあるもの。

塩屋は特に坂が多い街で、上からけっこうな勢いで何かが転がってきそ

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「尊敬」と「軽蔑」のちがい。

*ナオユキさん、というスタンダップコメディ、もとい漫談を生業にされている芸人さんがいる。2年ほど前だったかな、愛知県のフェスで見て以来トリコになり、ちょくちょくとライブに通うようになった。右手にハイボールを、左手でタバコを持ちながらスタンドマイクに向かって、ショートショートのネタをリズム良く披露していく。それはまるでブルースのようで、メロディの中にある音符の矛盾や可笑しさに、聴いているこちらが思わ

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あらゆる言葉や考えの背景に。

*ネットをひらけば、あらゆるところで「あなたにおすすめのもの」が出てきます。サブスクのサービスなんてのはまさに、その宝庫だね。アルゴリズムなんて難しそうな言葉のものを使って、「よりあなたの好みに近いもの」が統計や傾向によって算出されているのだろうけれど、ちょっとくどいなぁと思い始めてきた。便利ではあるが、そのシステム自体が好みかと言われるとそうではない。

「好きの押し付け」が苦手なのかと思ったけ

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折り紙ひとつで。

*子供ながらに、少し達観しながらいろんなことを思っていた記憶がある。それは「折り紙」の記憶だ。小学生だったか幼稚園だったかは定かではないが、みんなで遊んでいるテーブルの上に折り紙が置かれ、みんなで折っているときがあった。わーっとみんなが集まってきて、好き好きの色を取っていく。1セット20枚くらいあったのかな。しかし、同じ色は一枚ずつしかないので、早い者勝ちということになる。

ぼくは手先が不器用な

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質問するために質問を考えない。

*質問ウォタクのぼくの手帳には、いくつかのページに、その日に思いついた質問がメモされている。コレクトしてもなんの役にも立たないし、正直、そこまで熱はない(じゃあ、ウォタクじゃないじゃねーか!)。会話の流れや、考えているうちにぱっと思いついた質問を、「これはあの人に聞いてみたいなぁ」と忘れないようにメモしているだけの話だ。ぼくは汽車、じゃなかった記者でも面接官でもないので、質問をするために質問を考え

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いつだって帰り道のうえで。

*家を出て駅まで歩いているあいだに、ふと思い出すのだった。いつだってぼくたちは「帰る」ための旅をしているようなものだ。どこかへ向かったり、行ったり、足を運んだり、友人に会ったり、見たことのない景色を見にいくのも、すべてさいごには「帰る」がある。よくよく考えてみれば、目的地はゴールではない。折り返し地点だ。目的を達成したら、あとはホームに「帰る」んだからね。ゲコ。

そう思えば、すべての往路、つまり

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発想も実力のうちうち。

*ここ最近、知り合いのバーの店主に教えを乞うて、デージェー(DJ)の練習をしている。その店主は、元プロのデージェーで、ぼくもよく遊びに行くので分かるのだが、ほんとうに上手だ。素人でも上手だと分かるくらいなのだから、相当、上手なんだと思う。その人に教えてもらっているが、教え方がまたイイ。ぼくのことを知ってくれているのもあるので、ぼくに合ったやり方を考えて、教えてくれる。名選手が名監督とは限らないと言

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影響を受けないと決めること。

*「好きな人の全部を好きになる必要はあるんですか?」という質問がラジオで流れていた。いい質問だなーと思いながら、仕事をする手が止まり、すこし考える。好きな人の全部を好きになる必要は、果たしてあるのだろうか。

至極個人的な意見を述べさせてもらえば、その必要はない気がする。恋愛に限らず、親しい友人、家族、恋人、尊敬する先輩、心が近い人。そういった人たちのすべてを好きになる必要はないし、自分のことをす

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ないことわざをつくる。

*あるバーのマスターと盛り上がり、「ないことわざを作る」遊びをしていた時期があった。「のれんに腕押し」「猿も木から落ちる」「豚に真珠」といったことわざだ。それを、新しく作ってみようというものだ。しかも「ある感じ」ではなく、できるだけ「ないっぽい」感じでつくる。ただの酒の場での遊びだったんだけど、これがなかなかおもしろかった。

個人的に好きだったのをいくつかご紹介しよう。

「修行僧のジャンバラヤ

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閉ざされた場所。

*2023年になって最初のよろこびは、去年からはじまった #ほぼ日5年手帳 が2週目に入ったことだった。これからは同じ日付が2週目なので、去年のその日、ぼくは何をしていて、どんなことを考えていたのか、手帳に書き残した文字から分かる。ぼくは手帳に予定を書き込むというより、その日起きた出来事や、考えたことについて記録しているので、去年も似たようなこと考えてたなぁとか、そういえばこの考えどこにやったっけ

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ぎっくり腰といううそ。

*「ぎっくり腰」というのは、思えばヘンテコな名前だ。だって、痛みの擬音って「ズキっ」とか「ちくちく」とかでしょう。「ぎっくり」痛かったことなんて、人生であるだろうか。どちらかといえば「ぎっくり」は、嘘がバレたときの擬音だ。「あなた、実はかくしごとしてるでしょう?」「(ぎっくり)し、してないよ。おいらがやってるのは書く仕事さ」なんてなもんだ。

「ぎっくり腰」という名前は、どうやって付けられたんだろ

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いいとかわるいとか、それ以外のもの

*お世話になっている先輩の家で、録画されていた「ドキュメント72時間」を一気観していた。この番組はいいよー。72時間、つまり3日間、ある場所にスタッフが張り込んで、そこに訪れる人々に話を聞いたり景色を撮ったりしてつくられる番組だ。ナレーターが回ごとに変わるのもいい。それぞれの語り口と声色を楽しみながら、世界のどこかにあるあらゆる場所を覗き見ることができる。

そして、取材へと訪れる場所のセンスがす

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相手に気を遣わせる気遣い

*高校球児だった僕は、それはもうコッテコテの体育会系で青春を過ごしたものだった。挨拶は欠かさない、靴は揃える、ノックをする、常に周りを見る、机の上にあるペットボトルは横に倒しておく、、、思い返せばいくらでも出てくるくらい、当時の高校での気遣いのイロハを叩き込んでもらった。もちろんそれがすべて正解だとは今は思わないし、あえてサボることもあるよ。ま、当時は「郷にいれば剛に従え」だったわけだね。あれ、こ

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思惑のない場所。

*新年早々、けっこうな人数がいる場での会議があった。年代は二十代から五十台まで、エラい人からエロい人まで、そうそうたる人たちが「会議室」と呼ばれる殺風景な部屋にすし詰めになっている。正月とは思えないほど、色とりどりではない。モノトーンで、むしろ冠婚葬祭に近い。(でも冠婚葬祭に出てくる料理って色鮮やかだね。あれは人々の服装がモノトーンだからなのかなあ?)

ある企画の会議で集まってはいるが、それぞれ

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