笑うバロック展(423) 今朝の新聞広告をごらんください(その2)

道和書院さんから。バロックを過ぎてからの、なんですが。なんだか立派な出版社さんですな。

こうしてみると、この本の歴史的区分1740年を境に、バロックとそれ以降と考えられます。確かに飛躍的に何かが今現在に近づいたのが、1740年から1840年の100年間らしい。1740年以前は、チェロが生まれてからの成長期にあたります。バロック時代の楽器を復元したら、いまなら「バロックチェロ」と呼ばれます。それくらい、大きな意味を持つ時代だったといえそうです。

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伴奏のための楽器から、重要なソロ(独奏)楽器へ――
チェロが、現在のチェロとなるまでの
波乱万丈の物語。
ボッケリーニ、デュポール兄弟など
名手たちがこの楽器で成し遂げた革命、
演奏習慣の変化など、
この楽器の歴史の最も重要な100年を詳細に描きます。
譜例、図版多数。索引つき。
原書: Valerie Walden, 1998, One Hundred Years of Violoncello: A History of Technique and Performance Practice, 1740-1840, Cambridge University Press.
*推薦
鈴木秀美氏「チェロ奏者・教育者には必読の書」
懸田貴嗣氏「バロック以降のチェロと奏法の歴史が見事に整理された名著」
河野文昭氏「音楽表現の本質についても深く考えさせられる」
■目次
第1章 チェロ奏者と演奏流派 イタリア、フランス、英国、オーストリア、ドイツ、東欧
第2章 ヴィオロンチェロ、弓、記譜法の発達
第3章 弓の持ち方と楽器の構え方 アンダーハンドとオーバーハンド、独奏と伴奏、左手の置き方、親指ポジション
第4章 フィンガリング技法の発達 1785年以前の親指を使わないフィンガリング、親指ポジション
第5章 ボウイングの方法とその実践 ダウンボウ、デタッシェ、スラー、アルペジオ、バトリ、ブリジュア、バリオラージュ、オンデッジアンド、ピケ、ポルタート、スタッカート、マルテレ、ソティエ、スラー・トレモロ、ダブルストップ、複数弦コード
第6章 特殊効果 ダイナミクス、ハーモニクス、ピッツィカート、スコルダトゥーラ、コン・ソルディーノ、スル・ポンティチェロ、オンデュレ、ヴィブラート、ポルタメント 
第7章 装飾音のきまり トリル、連続シェイク、アッポジャトゥーラ、モルデント、ターン、即興演奏
第8章 伴奏の奥義 リズム、拍節、テンポの統制、装飾音、和声に関する規則、レチタティーヴォの伴奏
第9章 美学とスタイルの諸要素 「よい」音楽の目的、どうやって「よい」音楽を実現するか
■著者・訳者紹介
ヴァレリー・ウォルデン(Valerie Walden)
ニュージーランドのオークランド大学より音楽学の博士号を取得。現在、米国カリフォルニア州のセコイア・カレッジのチェロ教師。独奏・室内楽・管弦楽などで活発に演奏活動を続けている。『ニュー・グローブ音楽辞典』で32項目を執筆、専門誌に多数の記事を執筆。 松田健(Takeshi Matsuda)
関西外国語大学教授(社会学)。著書に『テキスト現代社会学』(ミネルヴァ書房)、訳書にウィリアム・ウェーバー著『音楽テイストの大転換』(法政大学出版会)など。チェロを山口香子、竹内良治、Marion Davies、Leopold Teraspulsky、Eric Bartlettに師事、バロックチェロを懸田貴嗣に師事。1990年代前半に米国マサチューセッツ大学アマースト校のPerforming Arts Divisionでチェロ講師を務めた。
お知らせ
NEW! 2020-08-07
【音楽】朝日新聞 広告
チェロの100年史
2020-07-31
【音楽】日経新聞 広告
チェロの100年史

第9章は気になります。

編集氏の訳者発見もなかなか見識深いです。

著者は、定評あるニューグローヴ音楽事典でチェロを中心に多数の項目を執筆しているヴァレリー・ウォルデンさん。訳者の松田健さんは、音楽関係では、法政大出版局から『音楽テイストの大転換:ハイドンからブラームスまでの演奏会プログラム』という大著を訳出されています。こういう本をちゃんと訳してくれる人がいるんだ! と以前から注目しておりました。

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何が、そして、誰が、「クラシック」となったのか。18世紀後半から19世紀終わりにかけて、ウィーン・ライプツィヒ・ロンドン・パリという音楽都市で、人びとの音楽テイストが分化していく過程を、当時の「演奏会プログラム」を分析して実証的にたどり、演奏会における各種の慣習の変化から、音楽そのもののあり方が転換していく一大パノラマを示す。
■目次
演奏会プログラムの図版
テキスト表記による演奏会プログラム事例
序章
第Ⅰ部 寄せ集めと同僚主義の時代――一七五〇〜一八〇〇年
第一章 概念と文脈
第二章 寄せ集め方式のいろいろ
第Ⅱ部 危機と実験の時代――一八〇〇〜一八四八年
第三章 音楽アイデアリズムと旧秩序の危機
第四章 室内楽演奏会の興隆
第五章 慈善演奏会とヴィルチュオーソ演奏会における慣習と実験
第六章 管弦楽演奏会のクラシカル・レパートリー形成へ向けて
第七章 プロムナード・コンサート――「ポップス」の興隆
第Ⅲ部 新秩序の創立期――一八四八〜一八七五年
第八章 クラシカル音楽が覇権を確立する
第九章 一般公衆のための声楽
エピローグ――一九一四年における音楽界の状況

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