笑うバロック展(257)  バディネリ調査レポート

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バッハ作曲 管弦楽組曲
第2番 ロ短調 BWV.1067
第7曲「バディネリ (Badinerie)」

サンプル① バディネリ メンゲルベルク指揮アムステルダムコンセルトヘボウ 1939年録音(歴史的録音)

② バディネリ ヘイドンクラーク指揮コンソートオブロンドン 1990年録音(現代的な演奏例)

③ バディネリ コープマン指揮アムステルダムバロックオーケストラ 1989年録音(古楽器使用例)

④ バディネージュ サバール(ガンバ) 1977年録音(マレがガンバ用に作曲した同じ意味の名前の舞曲)

⑤ ルジュイサンス  コープマン指揮アムステルダムバロックオーケストラ 1989年録音(バッハのニ長調組曲BWV1069から第5曲、バディネリと同じ趣向の舞曲)


バッハ作曲管弦楽組曲第2番 ロ短調BWV.1067
第7曲「バディネリ (Badinerie)」

この舞曲について。
無伴奏バイオリンのパルティータの「シャコンヌ」のような規模の大きな舞曲が「組曲」の最後をしめくくる場合が多くみられます。
こうした「バディネリ」のような小さな舞曲でしめくくる意味は、「アンコール!」曲です。
「バディネリ」という言葉は、「いちゃつき」とか「おふざけ」「たわむれ」という意味です。
最後を締めくくる陽気で愉快な曲の総称のひとつにあたります。
ウィキペディアでは、次のような紹介です。

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バディヌリー(badinerie)は、バロック音楽の器楽曲の一ジャンルであり、舞曲調の小品のことに漠然と使う。日本では、英語読みした「バディネリー」が広く通用している。フランス語の動詞「バディネ badiner」(冗談を言う、ふざける)から作られた女性名詞であり、男性名詞の「バディナージュ badinage」が使われることもある。
バディヌリーないしはバディナージュは、18世紀になってフランスやドイツの作曲家によって、組曲の楽章に採用された。それ以前の用例は稀である。とりわけバッハの《管弦楽組曲第2番 ロ短調》BWV1067の終曲が有名。バッハはこの作品を、文字通りの「おふざけ」として作曲しているわけではなく、締めの余興(座興としてのアンコール)として作曲している。ちなみにバッハは、同じ調性の鍵盤楽曲《フランス風序曲》の終曲を「エコー(余響・余韻)」と名づけているが、この場合も意味するところはバディヌリーの場合と同じく、「余興」であろう。
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そこで、3種類の「バディネリ」のあとに、マラン・マレが1717年に作曲した「バディナージュ badinage」を付け加えます。暗い嬰ヘ短調の曲で、「異国趣味の組曲」の中の1曲です。マレの伝記映画でも締めくくりに使われました。
さらに、リズムが違いますが、同じ趣向で「喜び」「遊び」「お祭り騒ぎ」を意味する「ルジュイサンス」です。バッハ自身が、ニ長調の第4組曲のフィナーレに使っています。
「バディネリ」は、実はバッハの作品以外なかなか見当たりません。
「バディナージュ」はマレ以外にクープランにもあります。
バッハ以降では、スケルツォにとってかわられた、という感じです。ウィキペディアでは、次のような紹介です。

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スケルツォ(scherzo)は、楽曲の区分に用いられる名前のひとつ。イタリア語で「冗談」を意味し、諧謔曲(かいぎゃくきょく)と訳すことがある。語源的にはふざけた音楽を指すが、その意味あいは形骸化していった。
スケルツォは、メヌエットに代わって多楽章形式の器楽作品に組み込まれるようになり、室内楽曲にハイドンが導入したり、器楽ソナタや交響曲にベートーヴェンが導入したのをきっかけに、頻繁に用いられるようになった。

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